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写真家ロバート・フランクさん死去(文中訂正あり)

2019年09月11日 17時51分30秒 | 新聞などのニュースから
 世界的な写真家ロバート・フランクさんが死去した。94歳。
 スイス生まれで、主に米国で活躍した。亡くなったのは9月9日で、カナダのノバスコシア州インバネスだった。
 ニューヨーク・タイムズの追悼記事の一部を転載して末尾に載せておいた。冒頭(
https://www.nytimes.com/2019/09/10/arts/robert-frank-dead-americans-photography.html )に「20世紀の写真家に最も影響を与えたひとり」とあり、この一言にすべてが集約されていると思う。

 1958年にフランスで、その翌年に米国で初版が出た写真集「アメリカ人」(米国版の序文はケルアックが書いた)は、ダイアン・アーバスやリー・フリードランダーといった後続の世代に大きな影響を与えたし、この写真集がなければ、60年代の日本で「コンポラ」と総称された森山大道や中平卓馬、牛腸茂雄らの活動も存在しなかっただろう。

 今後、専門家や写真家による追悼文や批評が出るだろうから、恥をかかないために詳述は避けるが、私見では、
「私的な表現の領域を写真で拡張したこと」
「ストリートスナップの可能性を拡張したこと」
が、彼の大きな功績といっていいのだろうと思う。
 もちろん、アルフレッド・スティーグリッツだってロベール・ドアノーだって、シャッターを押す指先やプリントに思いをこめているのだけれど、ロバート・フランクの撮った写真からは、写真家の思いがびしびしと伝わってくるのだ。
 というか、これほど濃厚に思いをこめていいのだーというのが、後続の世代が彼から学んだことだったのではないか。しかも、19世紀のピクチャレスクとは全く違う仕方で、主観を込めているのだ。


 ところで、ロバート・フランクさんは何度か来日しているし、北海道ともゆかりがある。

 1989年、上川管内東川町の国際写真フェスティバルに、来たらしい(同フェスティバルのブログ)。
 2000年には、札幌市民ギャラリーで「みんなのロバート・フランク展」が開かれている。

 富良野出身で広告写真の第一人者、操上和美さんは「NORTHERN」という写真集を2002年に出しているが、ロバート・フランクと道内各地を歩いたという。
 2012年の北海道新聞のインタビューで、操上さんが次のように振り返っている。
(※操上さんの姓の表記が変換ミスで誤っていたので訂正しました。申し訳ございません)

「僕がお墓参りに行くと伝えると『俺も行く』と言って、一緒にお参りしてくれた。斜里から網走まで海岸線を汽車で移動した。阿寒の旅館に泊まった時、ロバートは雪を見たくて散歩しようとしたんだけど、靴がしまってあって見当たらない。そうしたら、はだしで雪の上を散歩して帰ってきて『雪がきれいだった』って」


 1992、94年のことらしい


 とにかく、手元に資料がぜんぜん無いので、取り急ぎアップしました。

 最後は、ニューヨーク・タイムズの追悼記事の第1、3段落です。

Robert Frank, one of the most influential photographers of the 20th century, whose visually raw and personally expressive style was pivotal in changing the course of documentary photography, died on Monday in Inverness, Nova Scotia. He was 94.

Born in Switzerland, Mr. Frank emigrated to New York at the age of 23 as an artistic refugee from what he considered to be the small-minded values of his native country. He was best known for his groundbreaking book, “The Americans,” a masterwork of black and white photographs drawn from his cross-country road trips in the mid-1950s and published in 1959.


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