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スタジオ・ドリフト「Shylight」 あいちトリエンナーレ :2019年秋の旅2019(70)

2020年01月10日 17時59分59秒 | 道外の国際芸術祭
(承前)

 豊田市美術館の館内で印象的だった作品を、もうひとつ。

 こちらは、ロネケ・ゴルダイン(1980年生まれ)とラルフ・ナウタ(1978年生まれ)により2007年、アムステルダムで設立されたユニットによる発表。

 冒頭画像は、作品を真下から見上げて撮ったもの。
 どういう雰囲気なのかは、横から撮影したつぎの画像で、だいたい分かると思う。


 天井からつり下がっている花のようなあかりが、ランダムに上がったり下がったり、開いたり閉じたりする―というもの。
 タイミングによって、すべてが閉じているときもあれば、いっせいに開きながら下がってくるときもあり、長い間眺めていても見飽きない。

 そして、難しい理屈を考える必要がないのも、魅力かもしれない(これは、筆者がこの一連の記事で取り上げた作品の中では珍しい部類に属する)。

 床の上に寝そべって、つぎの展開がまったく予想できないあかりの上下運動を眺めながら、筆者は2001年の横浜トリエンナーレで、現代中国を代表するアーティスト蔡国強さんの作品をぼんやりと思い出していた。
 あの作品は、天井に花火そっくりの色とりどりのあかりが明滅し、それを床の上にまるく並べられたマッサージチェアに寝ころがって眺めるという、超癒やし系のものだった。

 もちろん「花火のようなあかり」と「花のようなあかり」とでは、文字で見るとそっくりだが、実際はだいぶ異なる。
 スタジオ・ドリフトの作品では、床にあるのはマッサージチェアではなく、クッションである。
 したがって、「寝転がって見なくてはいけない」という強制力に乏しく、いろいろな場所から見てもかまわないという感じが大きい。

 次に掲げた画像は、会場に入る前の通路から撮影したもの。
 ちょうど学校体育館の左右にある中二階のような通路を経て、会場に入るという順路になっているのだ。


 そこからだと、花の灯火がこちらに迫ってくるのではなく、上下に行ったり来たりするのを、横から見ることになる。
 これは、作品をわりあい客観的な視線で眺めることにつながる。

 もうひとつ、18年前と違うことは、大勢の人がスマートフォンでこれを撮影していることである。

 2001年の横浜トリエンナーレでも、会場に撮影を禁止することは明記されていなかったが、そもそもそういう習慣が人々に根付いていなかったためだろう、まわりで携帯電話やカメラを作動させている人の姿はほとんど見かけなかった。

 その後
「芸術祭、トリエンナーレ系は、撮影OK、動画NG」
というのが、なんとなくの不文律になったように思われるのだが、今回のあいちトリエンナーレ2019では、静止画撮影が完全に可能になった上に、作者が「動画を撮ってください」という貼り紙をしている場合もあって、どんどんなしくずしになっている感がある。

 というわけで、これは動いているのを見たほうが絶対に楽しいので、勝手に撮らせてもらい、ユーチューブにあげました。
 まずいかなあ?


あいちトリエンナーレ2019 スタジオ・ドリフト「Shylight」
 

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