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■SAPPORO IS WHITE (7月2日で終了)

2008年07月03日 22時48分28秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
(文中敬称略)

 札幌時計台ギャラリーが発行しているフリーペーパー「21 ACT」で札幌芸術の森美術館の吉崎元章副館長が明らかにしているように、この展覧会は、例年2ないし3月に札幌市民ギャラリーでひらかれている「札幌美術展」を前倒ししたものです。
 市民ギャラリーは改修工事の必要に迫られていましたが、ご存じのとおり同ギャラリーを利用する団体は毎年決まった時期に展覧会を開くことが多く、なかなか一時閉鎖にふみきれません。閉めるなら「札幌美術展」のころしかない-ということになり、なんと9カ月の前倒し、場所も美術館へ移しての開催となったのです。
 とにかく、短期間で展覧会をかたちに仕立てた学芸員や関係者の労苦は多としたいと思います。

 さて、作品が出ているのは、絵画や彫刻、インスタレーションの計21人ですが、扱いには差があります。
 いいかえると、21人がおなじように取り上げられているのではなく、物故・ベテラン作家は美術館の所蔵品が1、2点展示されているのに対し、現役・中堅作家(木路毛五郎をふくむ)は、もっと多くの作品が並んでいるか、より広いスペースに大作が設置されているかのいずれかです。主催者・学芸員としては、現役作家のほうを、より見せたかったのではないかと思われます。
 その顔ぶれは、
田村佳津子
富原加奈子
白鳥 洋一
西田 陽二
堀田 真作
柿崎  熙
伊藤 幸子
木路毛五郎
藤田 真理
渡邊 慶子
の10人。
 また、1点の作家は、本間莞彩、松島正幸、八木伸子、三岸好太郎、菊池又男、岸葉子、八木保次、阿部国利、藤野千鶴子。2点の作家は小川マリと栃内忠男です。
 図録には、会場構成の図面が載っていますが、これによると、最も広い面積を専有しているのは堀田真作です。
 ただし、これは個人的感想で恐縮ですが、彼の作品は白というよりも銀色であり、それがいちばん目立つ扱いになっていることには、違和感を禁じ得ません。
 それと「札幌」「白」というテーマで、伊藤仁がラインナップされていないのは意外な感じがしました。

 柿崎熙のインスタレーションは、これまで道立近代美術館での「水脈の肖像」や「北海道立体表現展」、札幌宮の森美術館の「SCAN DO SCAN」、ポルトギャラリーでの個展などいろんなところで見てきたけれど、今回のが一番良かったです。作者の意図を最もよく反映しているように感じられました。

 また、伊藤洋子幸子の着彩の彫刻もおもしろいです。
 彫刻の世界にはトルソとか半身像という形式があり、よく考えると不自然な人体のあり方なんですよね。
 でも、海水浴で、人体の下半分は水に隠れている-と考えれば問題はないわけです。
 そういえば、ブロンズなどの色一色というのも、彫刻の約束事で、それもすんなり破っているところが興味深いです。
 手前の犬が、ソフトバンクの携帯電話のCMに登場するお父さんみたいでかわいいですね。「青春は待ってくれないぞ!」なんちって。(美術展も…)

(7月4日、お名前を訂正いたしました。申し訳ございませんでした)

 タブロー組では、このテーマなら出てくるしかないでしょ!という感じの西田陽二。
 アプローチ的には先ごろ亡くなった高塚省二に共通するものがあると思います。「冒険の末にたどりついた、引き算の美学」
とでもいいましょうか。
 あと、藤野千鶴子の「宙」。
 彼女は個展の回数がいささか多すぎるぐらいなのですが、この2004年の大作は、近年の頂点の一つだと思います。
 阿部国利の作品もひさしぶりに見て、作品の持つ訴求力の強さをあらためて感じました。 


08年6月1日(日)-7月2日(水)9:45-17:30(入場-17:00)、会期中無休
札幌芸術の森美術館(南区芸術の森2)


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2 コメント

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 (ミト)
2008-07-04 17:20:27
サミットのせいでひまなので、職場のパソコンからコメントします。
本文中の伊藤幸子さんのお名前が洋子になっとります。
どうぞこれを見たら訂正お願いいたします。

伊藤さんはご近所さんなんですよ。
私は犬の散歩で近くをいつも通りかかります。

西田陽二先生もご近所さんらしいのですが、愛犬を抱いて散歩されているそうです。

まだそのお姿、拝見しておりませんが・・。
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ミトさん、レス遅れてすいません (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-07-05 10:50:15
名前はなおしました。
知っている方なので、そうとう恥ずかしい…。



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