見たのが最終日になった上、アップが遅れて申し訳ありません。
中島ゼミのメンバー・関係者の作品を見る機会は多いのですが、ほかのゼミの学生の絵なども拝見できたのが良かったです。
5点とか7点出品している人がけっこういます。1点限りの人が大半を占める他の大学や専門学校との最も大きな違いだと思います。
岩井玄「披露宴」など
岩井さんの絵は、ギャグマンガふうなのですが、それだけで片づけられない魅力を持っています。「披露宴」は、べつに結婚式の模様が描かれているわけではなく、おびただしい化け物がならんでいるだけなのですが、よくもまあこれだけの妙な顔の種類を考えつくなあと感心せざるをえないほどひとつひとつの顔つきが異なっています。
「嫌味」は4つのアタマを持つ化け物がモティーフです。やまたのおろちかと一瞬思いましたが、これはこれでオリジナリティに富んでいます。
舘内美久「こしかけの夢」など
昨年暮れの2人展に出品していた作品が多いですが、新作もあります。「こしかけの夢」は、じょうろからピンクの雨粒が降り注ぐ舘内さんらしいメルヘンの世界。アーチ型をした山もふしぎ。
瓜生裕晃「道」など
テンペラによる写実の風景画6点がならんでいましたが、筆者は「道」がいちばん好きです。何の変哲もないいなか道、野、林…を、夏の空気感もふくめ、破綻なく描いています。
おもしろいのは、まるでスローシャッターで撮影した写真のように、草々がぶれて描かれているように見えること。風という、本来は目に見えないものを、草を通して描いているのだなあと感心しきり。
川島裕子「流動-X-1」「祖母の肖像」
前者がオレンジを主体にした「熱い抽象」なのに、後者は堅実な筆致でおばあさんを描いています。同一人物がこんなに違う絵を!とおどろきです。
藤井英莉「イモテンと目くらまし」「クラゲとムツゴ」
美工展に染色作品で入賞するなど高い評価を得ている学生。型染めを9点も出品しています。なんだかモゴモゴしてユニークな意匠は、ミカミイズミさんなど、中島ゼミの伝統に連なると言っていいかもしれません。といって、遠目から見ると、きちんとした文様に見えるからおもしろい。
田中康晃「snow paper」
昨年秋にpraha2 + deep sapporo内「いろへや」で個展をひらき、さらに先ごろのSNOW SCAPE MOEREでも発表しています。雪の夜、家の外に紙を広げ、ラッカースプレーを噴出して、雪片を紙の上に定着させるという技法で制作することを、冬の間ずーっと取り組んでおり、卒展の会場では、それらの大きな紙をインスタレーションにして構成しています。
田中さんのえらいところは、雪で絵を描く-という発想もさることながら、1回きりで終わらせずに、何十、何百回と行為をくりかえしていることです。会場の説明文に「水と油と心の反応で…」とありました。なんでもないようなモノトーンのかけらが散る画面には、夜ごとの作者の思いがこめられているのでしょう。
山本悠太「soblin lighting」「a luner eclipse」
工芸畑で水準の高い作品を出していたのが山本さんという学生。すっきりしたデザインのあかりです。
ほかに、道展で昨年入選した吉田誠さん「メッセージ」などがホール部分に展示されていました。
水彩部門にこういった描写力の高い若手がどんどん進出してくると、おもしろいことになりそうですね。
08年2月5日(火)-11日(月)10:00-18:00(初日13:00-、最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
□道都大 http://www.dohto.ac.jp/
■IZUMIKU展-三上いずみ・舘内美久(07年12月)
■第44回道都大学中島ゼミ展(07年8月)=岩井、藤井、舘内さん出品
中島ゼミのメンバー・関係者の作品を見る機会は多いのですが、ほかのゼミの学生の絵なども拝見できたのが良かったです。
5点とか7点出品している人がけっこういます。1点限りの人が大半を占める他の大学や専門学校との最も大きな違いだと思います。
岩井玄「披露宴」など
岩井さんの絵は、ギャグマンガふうなのですが、それだけで片づけられない魅力を持っています。「披露宴」は、べつに結婚式の模様が描かれているわけではなく、おびただしい化け物がならんでいるだけなのですが、よくもまあこれだけの妙な顔の種類を考えつくなあと感心せざるをえないほどひとつひとつの顔つきが異なっています。
「嫌味」は4つのアタマを持つ化け物がモティーフです。やまたのおろちかと一瞬思いましたが、これはこれでオリジナリティに富んでいます。
舘内美久「こしかけの夢」など
昨年暮れの2人展に出品していた作品が多いですが、新作もあります。「こしかけの夢」は、じょうろからピンクの雨粒が降り注ぐ舘内さんらしいメルヘンの世界。アーチ型をした山もふしぎ。
瓜生裕晃「道」など
テンペラによる写実の風景画6点がならんでいましたが、筆者は「道」がいちばん好きです。何の変哲もないいなか道、野、林…を、夏の空気感もふくめ、破綻なく描いています。
おもしろいのは、まるでスローシャッターで撮影した写真のように、草々がぶれて描かれているように見えること。風という、本来は目に見えないものを、草を通して描いているのだなあと感心しきり。
川島裕子「流動-X-1」「祖母の肖像」
前者がオレンジを主体にした「熱い抽象」なのに、後者は堅実な筆致でおばあさんを描いています。同一人物がこんなに違う絵を!とおどろきです。
藤井英莉「イモテンと目くらまし」「クラゲとムツゴ」
美工展に染色作品で入賞するなど高い評価を得ている学生。型染めを9点も出品しています。なんだかモゴモゴしてユニークな意匠は、ミカミイズミさんなど、中島ゼミの伝統に連なると言っていいかもしれません。といって、遠目から見ると、きちんとした文様に見えるからおもしろい。
田中康晃「snow paper」
昨年秋にpraha2 + deep sapporo内「いろへや」で個展をひらき、さらに先ごろのSNOW SCAPE MOEREでも発表しています。雪の夜、家の外に紙を広げ、ラッカースプレーを噴出して、雪片を紙の上に定着させるという技法で制作することを、冬の間ずーっと取り組んでおり、卒展の会場では、それらの大きな紙をインスタレーションにして構成しています。
田中さんのえらいところは、雪で絵を描く-という発想もさることながら、1回きりで終わらせずに、何十、何百回と行為をくりかえしていることです。会場の説明文に「水と油と心の反応で…」とありました。なんでもないようなモノトーンのかけらが散る画面には、夜ごとの作者の思いがこめられているのでしょう。
山本悠太「soblin lighting」「a luner eclipse」
工芸畑で水準の高い作品を出していたのが山本さんという学生。すっきりしたデザインのあかりです。
ほかに、道展で昨年入選した吉田誠さん「メッセージ」などがホール部分に展示されていました。
水彩部門にこういった描写力の高い若手がどんどん進出してくると、おもしろいことになりそうですね。
08年2月5日(火)-11日(月)10:00-18:00(初日13:00-、最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
□道都大 http://www.dohto.ac.jp/
■IZUMIKU展-三上いずみ・舘内美久(07年12月)
■第44回道都大学中島ゼミ展(07年8月)=岩井、藤井、舘内さん出品