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冬と北海道のアートに思うこと

2013年02月22日 23時09分52秒 | つれづれ日録
 21日未明に、札幌の雪の多さについて記事を書いたが、その直後、札幌など石狩、空知地方をドカ雪が襲い、あまりにもタイミングの良すぎる記事になってしまった。

 北海道新聞によると、札幌は、都心ではそれほどの降りではなく、南区では降雪ゼロ。
 それに対し、北区では50センチ以上も降雪があったといい、東区や厚別区でも多かったとのこと。北区のさらに北側、石狩市では、観測史上の最高を記録した。
 時と場合によるが、札幌では北区、東区で雪が降っても、豊平区や南区ではそれほどでもないことがよくある。これは、西から来る雪雲を、札幌の西にそびえる手稲山などの山々がさえぎるためだといわれている。

 ところで、以下に述べることは、北海道民には当たり前のことだろうが、道外の人には新鮮かもしれない。
 冬期間、12月から3月にかけての、道内の美術をめぐる状況の特徴だ。
(なお、北海道では、3月は冬です。札幌は4月になるころに根雪が消える)

1 冬期間は閉鎖する美術館や博物館などがある。さすがに道立美術館などは開いているが、地方の小さな施設などはすっかり閉めてしまう場合が珍しくない。また、閉館時間を繰り上げる例も多い。

2 道立美術館などは、集客があまり見込めないこともあり、新聞社など主催の大型企画展などはあまり開かれず、収蔵品による展覧会が行われていることがほとんど。

3 貸しギャラリーなども借り手が少ないこともあり、卒展や、大学主催の学生展などが増える。大学写真部の写真展もこの時期に比較的集中する。

 3はともかく、1や2は、北国に特有の現象だと思われる。寒さ、雪、日没の早さ(12、1月は午後4時ともなると真っ暗である)のために、外出の足がすっかり鈍ってしまうのだ。

 北海道では、つらく長い冬は克服すべきものとされてきた。
 さっぽろ雪まつりのような大型の催しや、観光振興などが企てられたのもそのためだろう。
 美術館やギャラリーの側にしても、閑古鳥が鳴く状態は避けたいはずだ。

 それはそうなんだけど。
 でも、もし北海道から厳しい冬がなくなってしまったら、それはもう北海道ではないと思う。
 わたしたちの認識の枠組みからして、すっかり覆されてしまうのではないか。

 養老孟司の文章だと記憶しているが、現代の都会人は「自然」「四季」というものを全く感じないまま暮らしていくことができるようになっているという。たしかに、東京の都心の職場に、高層住宅から電車で通っているような人は、雨降りでもない限り、自然を肌で感じる機会はないのかもしれない。
 北海道人は、凍った道を歩くこと自体が大変な経験だし、吹雪や厳寒など、自然を肌で感じる機会がとりわけ冬に多い。
 そういう経験をすっかり失ってしまえば、もうそれは、人間とはいえない存在でしかないのではないかと思うのだ。


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