■鉄 強さとやさしさの間で （12月21日まで）

　浅井憲一さん（札幌）、藤沢レオさん（苫小牧）、松田郁美さん（札幌）の３人による「鉄」の立体造形展。
　札幌の南隣にあるベッドタウン、北広島市の主催。同市は、市内在住のユニークな陶芸家、松原成樹さんのプロデュースで毎年、企画展をひらいているのです。昨年は「石」がテーマでした。
　昨年に続き、北広島在住の出品者はひとりもいません。市内在住でなくてはダメ－などとケチくさいことを言わない北広島市に拍手をおくりたいと思います。

　このうち、浅井さんは中堅、藤沢さんと松田さんは若手といえそうです。松田さんは道教大の大学院在学中です。
　松田さんは、大作「はじまり」や「立ち上がるリング」など、もともと在る立体に切れ目を入れた瞬間のような、動感あふれる様子をうまく表現しています。「CUBE DROP」も、大小の直方体がつながりあったかたちが斜めに立っていて、ダイナミックな作品です。

　藤沢さんは、茶廊法邑でことしの夏にひらいた個展とは異なり、細めの鋼線をつなぎ合わせて、向こう側が透けて見えるようにした作品がメーンです。
　いちばん大きいものは、直方体に組んだものと、紡錘型に組んだものとを、すこしずつ高さなどを違えて配した立体４点をならべた「音森」。
　どうしても重厚さや荘重さにはとぼしくなりますが、軽快さが感じられます。

　浅井さんのいちばん大きな作品は「螺旋」。曲線がもんどりうったような、抽象的な作品で、力がみなぎっています。
　その背後に並ぶのは、「卵と女」など、卵形から派生したさまざまなかたちを造形化した作品です。

　おもしろい展覧会ではあるのですが、一度見たことのある作品が目立ちます。藤沢さんは初見の作品が多かったですが、これもじつは、胆振方面ですでに発表したものかもしれません。

　出品作は次のとおり。
　松田
「重なるリングたち」
「PARTS」
「はじまり」
「CUBE DROP」
「立ち上がるリング」
「３つの侵食」

藤沢
「音森」
「noyau」（フランス語で「種」）
「素描」

浅井
「螺旋」
「浮遊する諦念」
「卵と女」
「出発進行」
「求めども…」
「時代のチャック」
「夢の中」
「Lock」
「誤産」
「Roots」
「Big City」
「走りながら卵」


07年12月12日(水)－21日(金)10：00－18：00、月曜休み
北広島市芸術文化ホール(北広島市中央6。北広島駅前)

□浅井憲一さんのサイト　http://www5f.biglobe.ne.jp/~az_asai/

□STVエントランスアート(06年の個展の様子)

■春展－浅井憲一・幸子作品展（07年2月）
■2004年11月の個展（憲一さんの個展。以下同じ）
■同3月の個展(画像なし)
■03年の個展
■02年の個展


□藤沢さんのサイト　http://homepage.mac.com/reof/

■藤沢レオ彫刻展（07年6月）