ヤバイ(ほめ言葉)。
前回、2015年におなじ会場でひらいた個展「白のワンピース」のときと、かなり違う。
いや、うまいのは以前から変わっていないのだけど。
前回はなんというか、大正ロマン、竹久夢二の現代版というか、清楚な少女たちの笑い声が聞こえてくるような絵が多かった。
今回はその少女たちがすっかり大人に成長している。
すごく官能的な薫りがする。
官能的、といっても、イヤらしいというのとは異なる。
胸元がチラっと見えている絵もあるが、たとえば「私の髪が長い理由(一)」などは、黒髪をかき上げてしばろうとする若い女性のうなじが見えて、ドキっとしてしまう。首で色気を表現するなんて、並みの手腕ではできっこない芸当だろう。
「午前二時」では、猫と暮らしている女がキャミソール姿でたばこをのんでいる。
このアンニュイな感じはどうだろう。
こういう空気を表現できるイラストレーターはなかなかいないだろう。いても、どうしても昭和レトロになってしまうと思う。すごく現代的なのに、懐かしさを拒んでいないのが松浦流だ。
とくにおどろかされたのが「降声」。
これは、現代の狩野芳崖といっていいような像だ。
上半身が裸の女性だが、観音のような気高さをまとっている。身に着けている服の文様は平面的な処理がなされており、日本銀行紙幣の文様のようだ。
前回の個展を見た人と見ていない人に(要するにみなさんに)見てもらいたい個展だ。
冒頭画像は彼女が装画を手がけた本のコーナー。テレビドラマ化された奥田瑛朗氏の小説なども並んでいる。
松浦シオリさんは1993年生まれ。札幌在住のイラストレーター。
作品はコンピューターグラフィックスで作成されている。
2017年11月28日~12月10日午前10:30~午後10:00(日曜~午後8時)
to ov cafe ト・オン・カフェ(札幌市中央区南9西3 マジソンハイツ)
□ Shiori Matsuura www.shiori-matsuura.com/
□ツイッター @bucchibi_
■茶廊法邑芸術文化振興会企画 6色イリュミナシオン (2014)
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