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シカたちのいる川岸●抜海へ、冬の旅(7)

2025年02月05日 08時51分57秒 | つれづれ日録
(承前)

 宗谷線の沿線のうち、旭川に近い名寄・士別地方は、畑作農業を中心に平地が広がっています。
 しかし、名寄の北隣の美深 び ふか町を境に、細かく言えば、美深町恩根内よりも北側は、急に平地が乏しくなり、酪農や林業が主体の地域になります(このことは以前も書きました)。

 車窓から見ても、恩根内あたりを過ぎると人家がぐっと減ってきます。
 2020年の国勢調査で宗谷線沿線の市町村の人口をみると、名寄市は2万7212人ですが、美深町は4145人、音威子府おと い ねっぷ村706人、中川町1525人、幌延ほろのべ町2371人、豊富町3974人、稚内市3万5563人となっています。
 名寄―稚内約180キロの間に5千人以上のまちは、ひとつもありません。
 宗谷線沿線に限らなくても、名寄以北に5千人以上のまちは、稚内市と宗谷管内枝幸町しかないのです。

 そのかわりに? たくさんいるのがシカです。
 
 この日筆者は、車窓から計50頭のシカを目撃しました。

 特に多かったのが、音威子府を過ぎて、次の駅の筬島おさしまの附近です。

 列車はシカを線路内に目撃するたびにブレーキをかけました。
 
 外を見ると、天塩川のほうへと跳ねていくシカたちが見えるのが常でした。
 
 
 音威子府村や中川町の人口密度は1平方キロメートルあたり2人台です。
 ちなみに、日本全国では333人ほど、東京都は6287人です(帝国書院のサイトより)。

 2人台というのは、シベリア並みです。

  
 特急は筬島を通過していきます。

 窓から見えるうち、画像中央の、屋根に雪を積もらせた低い建物は「アトリエ3モア」です。

 歿後30年以上たち、いまも高く評価される彫刻家の砂澤ビッキが、晩年に制作拠点としていたのが旧筬島小学校です。
 その建物を改装して「エコミュージアムおさしま アトリエ3モア」として公開しています。
 
 冬の間は、北海道あるあるで、休館していますが、4月26日から開館します。
 
 筆者は2008年に行ったきりです。
 とても良いところなので、今年はぜひとも列車で行ってやろうと思っています。 
 
(札幌から特急宗谷で天塩中川まで行き、普通列車で折り返して筬島で降りれば、日帰り可能ですが、村営の無料地域バスがあるようで、こちらに乗れば、そういう裏技を使う必要はなさそうです)
  
 
 シカって、いつもカメラ目線ですよね。

 このあたりまでくると、天塩川もすっかり結氷して、雪原と区別がつかなくなっています。

 かつてあった神路駅や橋の痕跡を車窓から探していましたが、まったくわかりませんでした。
 

 
 
 ところで、かなうならば今回もう1カ所訪れたかった駅があります。
 抜海駅とおなじく3月15日に廃止になる雄信内駅です。
 ごらんの通り、風格ある木造駅舎です。

 もちろん特急は止まりません。
 抜海駅と同様、1日上下合わせて7本の普通列車しか止まらず、駅前に立ち寄る路線バスもないため、今回は行けませんでした。


 
 
 訪れたところで、駅のまわりには廃屋ばかりだそうだと聞きました。

 雄信内駅は宗谷管内幌延町にありますが、ここから天塩川を渡って2~3キロほど行くと、留萌管内天塩町の雄信内地区があります。
 駅名が「おのっぷない」なのに対し、こちらは「オノブナイ」とよみ、郵便局などがあって集落を形成しています。
 
 前項にも書きましたが、もし宗谷線が天塩川の反対岸に敷かれていたら、この駅も廃止にならず、もう少し利用者がいたかもしれないのにと、残念に思います。
 


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