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淀井敏夫「飛翔」 釧路の野外彫刻(35)

2012年10月29日 22時48分12秒 | 街角と道端のアート
承前

 釧路市の大規模運動公園にある大作。

 同公園にあるフィリップ・キング作品とならび、道内にある野外彫刻の作品のなかでも、かなりの優品の部類に入ると筆者には感じられる。

 釧路らしく、タンチョウの群れが飛翔しているさまをとらえている。

 優雅で、しかも力強い。



 作者は淀井敏夫(1911~2005)。
 文化勲章の受章者である。彫刻の分野で文化勲章を得た人は、北村西望など数人しかいない。
 また、二科展の彫刻の大家であった。二科の彫刻は抽象が多いが、そのなかで一貫して具象に取り組んでいた。1999~2001年には二科会理事長も務めている。




 日外アソシエーツ社の建築家・彫刻家人名事典などによると、淀井敏夫さんは兵庫県朝来村(現朝来市)生まれ、東京美術学校彫刻科卒。
 1952年「ローマの公園」で日本芸術院賞を受賞し、82年に日本芸術院会員。

粘土を使わずに心棒に直接石膏を直付けする手法を用いて、粗い質感と鋭い躍動感を持つ人体像や鳥などの動物像を制作。両者を組み合わせた物語性の強いシリーズもある。
 



 54年、東京藝大講師、59年に助教授を経て、65年に教授となり、73年から美術学部長、78年退官。
 94年に文化功労者、2001年に文化勲章。

 代表作に「砂とロバと少年」「座」「波と少年と犬」「聖マントヒヒ」など。
 朝来に淀井敏夫記念館がある。






 それにしても、釧路市はせっかくの作品なのだから、維持管理に努めてもらいたいと思う。





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