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■野上裕之展「i」 (3月1日まで)

2009年02月28日 23時50分43秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 「シリウス通信」に書いてあった概要がわかりやすいので、引用します。

 
「動き回ったけれど作品が良くならない、暫く尾道にじっくり腰を据えて製作したい。その節目の個展なので、これまでの札幌の活動をまとめる気持ちで」という。タイトルの「i」には、英語の「私」とローマ字読みの「イ」(意思のイ、異を唱えるのイ)等の思いをこめた。会場に木で壁を作成し、その壁を鋳型に連日鉛の鋳造を試みる。


http://blog.livedoor.jp/bluebook/archives/51755075.html

 「イ」には「鋳型」の「い」という意味もある。
 そう、野上さんは話していました。

 野上さんは1980年生まれ、札幌出身。
 道教大札幌校、「花の2003年卒」(←いま筆者が命名)のひとりです。


           

 木の壁から、高い位置に視線をうつすと、縦型の木の型が見えます(上の画像の、右側)。
 これを、冒頭画像の右側に見える木の壁に押し当て、すき間から熔けた鉛を流し込みます。
 鉛の融点は300℃弱と低いので、簡単に熔けて、冷えると固まります。

 野上さんは26日までその作業を会場で繰り返し、さまざまな鉛の型を、木と木の間から取り出しました。
 それらは、偶然にできたかたちです。


           

 鉛を押しつけられた側の、木の壁には、焼けこげた跡が、生々しくついています。

 壁の下、床上には、溶け落ちた鉛の、銀色のくずがちらばっています。


                  

 そして、大小の鉛板が、周囲の壁に貼られたり、天上からつりさげられたりしています。
 鉛を板からはがす際に、一緒にはがれてきた細長い木片がくっついたままのものも多いです。

                  

 入り口の上部にもふたつ飾ってありました。

           


 このほか、会場には、以前の個展や「Born In Hokkaido」展で発表した旧作も展示されています。

 野上さんは、単なる彫刻家ではなく、パフォーマンスを通じてさまざまな活動をしてきました。
 しかし、筆者はどうもタイミングが悪いというか、彼のそういう活動を目にしていません。
 ライジングサン・ロックフェスティバルでのファイヤー・ダンスも、
「国際現代アート・デメーテル」での、人力で電気を生み出す「ぼくでん」も、
函館など全国で展開した、リキシャを引っぱる行為も、
現代アートグループ「ロッパコ」の面々が北九州へ行った際にメンバーでひとり札幌に残って黙々と穴を掘り続けた営為も、
なにひとつこの目で目撃できていないのは、アートブロガー失格というか、非常にくやしい思いがします。
 2004年の個展「世界焼生 BAKED WORLD」も、札幌を異動で離れていたので、見ることができませんでした。
 筆者は、野上さんについてなにかをまとめて語る資格がありません。

 すでに拠点を広島県尾道市に移している野上さんですが、この個展を機に、本格的に腰を落ち着けるそうです。しばらくしたら、瀬戸内海の島に移り住むかもしれないと話していました。
 個展会場にたくさん浮かぶ鉛の薄い、不定型な板が、さまざまな局面ごとの野上さん自身なのかもしれませんし、そうではないかもしれません。
 また、どこかで再会したいです。


2009年2月17日(火)-3月1日(日)11:00-19:00、月曜休み
temporary space(北区北16西5 地図H)

・地下鉄南北線「北18条」から徒歩5分


http://nogami.noblog.net/

Pre-MADE(2008年3月)
Born in HOKKAIDO 大地に実る、人とアート(2007年11月-08年1月)
野上裕之彫刻展「nu」(2007年12月-08年1月)
アートあけぼの冬のプログラム(2006年)
ライジングサン・ロックフェスティバル2002
地上インスタレーション計画(2001年)


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2 コメント

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Unknown (ブレードランナー)
2009-03-01 20:11:21
う~ん、梁井さん、写真いいです!作品の感じがよく分かります。
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うむむむ (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-03-01 23:21:42
ブレードランナーさん、ありがとうございます。

でも、これケータイで撮ったものなので、本人としては非常に不満が残ります。

個人的には
http://blog.goo.ne.jp/h-art_2005/e/c0676ec9681d141c29486c44e92b9627
とか、わりと好きです(成功した流し撮りとはいえませんが…)。
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