斉藤幹男さんは、早稲田大を卒業後、ドイツや英国でアートを学び、このほど札幌に帰ってきた若手作家。
JR札幌駅構内にある「ART BOX」で自作のアニメーションを公開している。
三つの画面からなる。ふつうは横向きにおいてつかう大型モニターを90度傾けて縦長にし、それぞれ別の映像を流している。
左は美術を主なテーマに(9分44秒) 中央は動画の誕生をテーマに(11分9秒) 右は映像の原初的な形をテーマに(6分37秒)
…ということらしい。
なにせ発表の舞台が駅である。
リュミエール兄弟が世界で最初に制作した映画「列車の到着」を思い出さずにはおれない。
映画の発明には「動くことへの驚嘆の念」があったわけだ。
暴論を言ってしまえば、映画と汽車の発明前には、生き物以外では動くものがあまりなかった。
動きこそが、近代という時代を押し進めた要因のひとつではなかったか。
いま都市には、テレビの映像をはじめとして「動くもの」があふれかえっている。
斉藤さんが1枚1枚手描きしている絵は、むしろ、近代の始原にふさわしい懐かしさを感じさせるのだ。色があまり着いておらず、モノクロが主体だというためでもあるだろうし、ビル街を泳ぐ魚などがどこか童画ふうのためかもしれない。
しかし、だからこそかえって、その素朴で懐かしい画面が、「動く」ということ自体への素朴な驚きを惹起させる力を持っているのかもしれないと思うのだ。
画面は具象と抽象、左右の動きと縦の動きなどを超えて、自由に展開する。音はない。
ひそかなたたずまいが好ましい、独特のアニメーションであった。
2009年11月15日(日)-2010年1月31日(土)午前8:00-午後10:00
JRタワーART-BOX(札幌駅東コンコース)
□参考:ICCのインタビュー http://www.icc-jp.com/features/2010/01/000777.php
JR札幌駅構内にある「ART BOX」で自作のアニメーションを公開している。
三つの画面からなる。ふつうは横向きにおいてつかう大型モニターを90度傾けて縦長にし、それぞれ別の映像を流している。
左は美術を主なテーマに(9分44秒) 中央は動画の誕生をテーマに(11分9秒) 右は映像の原初的な形をテーマに(6分37秒)
…ということらしい。
なにせ発表の舞台が駅である。
リュミエール兄弟が世界で最初に制作した映画「列車の到着」を思い出さずにはおれない。
映画の発明には「動くことへの驚嘆の念」があったわけだ。
暴論を言ってしまえば、映画と汽車の発明前には、生き物以外では動くものがあまりなかった。
動きこそが、近代という時代を押し進めた要因のひとつではなかったか。
いま都市には、テレビの映像をはじめとして「動くもの」があふれかえっている。
斉藤さんが1枚1枚手描きしている絵は、むしろ、近代の始原にふさわしい懐かしさを感じさせるのだ。色があまり着いておらず、モノクロが主体だというためでもあるだろうし、ビル街を泳ぐ魚などがどこか童画ふうのためかもしれない。
しかし、だからこそかえって、その素朴で懐かしい画面が、「動く」ということ自体への素朴な驚きを惹起させる力を持っているのかもしれないと思うのだ。
画面は具象と抽象、左右の動きと縦の動きなどを超えて、自由に展開する。音はない。
ひそかなたたずまいが好ましい、独特のアニメーションであった。
2009年11月15日(日)-2010年1月31日(土)午前8:00-午後10:00
JRタワーART-BOX(札幌駅東コンコース)
□参考:ICCのインタビュー http://www.icc-jp.com/features/2010/01/000777.php