北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

本郷新「オホーツクの塔」

2012年12月11日 23時00分37秒 | 街角と道端のアート
 ことし(2012年)8月、北海道新聞夕刊のオホーツク面に「野外彫刻の旅」という小さな連載を掲載したことについては、9月の同題のエントリで記した。
 そのエントリで、まだこのブログでは紹介していない彫刻作品がいくつかあるので、順次アップしていく-と書いておきながら、何にもしてこなかった。ごめんなさい。

 ということで、まず、戦後日本を代表する具象彫刻家のひとりで、野外彫刻のパイオニアとしても活躍した札幌出身の本郷新
の「オホーツクの塔」。

 作品もすばらしいが、立地が雄大で、一度は訪れる価値があると思う。
 場所は、オホーツク海に突き出た能取 のとろ岬。

 残念ながら、能取岬に行くには、路線バスはない。
 道道網走公園線を車で進むのが唯一の手段だ。
 国道238号から分かれる道道網走公園線は、二見ケ岡から能取湖沿いに行っても、網走市街地からオホーツク海寄りに行っても、岬まで10キロほどある。
 
 その駐車場からさらに数分、舗装されていない細い道を歩いた岬の突端にある。

 筆者が行ったときは、ちょうど夕暮れ時で、鏡のように静かな湖面に太陽とあかね色の空が反射するさまは、荘厳なまでに美しかった。

 岬の周辺には、人家は全くない。
 あるのは牧場と、灯台。
 岬の突端にはイタドリが生い茂っている。

 そういう孤独な場所に、雄々しく立っているのが、本郷新の像である。

 北洋漁業を切り開いた先人をたたえる目的で、網走の経済人たちがお金を出し合い、建立したもののようである。
 1978年の設置。裏側の銘文には「水産日本の発展を希求」とある。

 網を肩にかけ、鋭い視線で遠くを見やる漁師の姿は、りりしく、かっこいいと思う。
 


 背後の海には、真冬になると流氷が押し寄せるのだろう。
 日本でも有数な「ワイルドなロケーション」にある野外彫刻かもしれない。
 流氷の季節にもう一度見てみたい作品だ。

 なお、とてもじゃないけどこんな遠くまで行けないという向きには、漁師とサケのエスキスが「オホーツク海」「大漁」の題で、網走市立美術館の前にあるので、そこで鑑賞するのも手だろう。





関連する記事へのリンク
魚の彫刻を正面から見るとヘンな顔になっている件について
本郷新「三輪龍揚像」「小林篤一像」
本郷新「オホーツク海」

宮の森緑地で
独創性への道標-ロダン・高村光太郎・本郷新展(2009年、画像なし)

札幌市西区・宮の森緑地(Miyanomori-greenhill,Sapporo)
本郷新「石川啄木像」 釧路の野外彫刻(11)
本郷新「釧路の朝」 釧路の野外彫刻(9)
本郷新「道東の四季 冬」 釧路の野外彫刻(6)
南部忠平顕彰碑
「北の母子像」本郷新

札幌・宮の森緑地 (鳥を抱く女、太陽の母子)

網走の野外彫刻

本郷新「奏でる乙女」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。