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■藤本和彦展 ■CUBE■ 現象界―誕― (2016年12月27日~17年1月14日、札幌)

2017年01月13日 16時14分32秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 
 彫刻という枠にとどまらない、ユニークでコンセプチュアルな作品の制作を続けてきた藤本和彦さん(札幌)。
 大けがの後、初めての本格的な発表になると思います。

 ただし、案内状がギャラリーなどに置かれているのを見たことがないので、開かれていること自体、知らない人も多いかもしれません。筆者も、ツイッターではじめて知りました。

 今回の特徴は、ギャラリーの入り口を閉め切り、ガラス窓越しに鑑賞するというシステムです。
 ギャラリー内にはインスタレーションが設置されていますが、中には入れません。

 会場は、道銀本店ビル1階の自由通路に面して、大きなガラス窓が特徴です。
 札幌にはほかにも、ギャラリーエッセや HOKUSEN GALLERY ivory 、ギャラリー創が大きなガラス窓を有していますが、らいらっく・ぎゃらりいはこれらのギャラリーに比べると、窓の大きさの割に、中の面積が狭いです。大きな窓から、メインの壁面までは2~3メートルほどしかありません。

 この狭さのため、100号などの絵を飾る際には、後ろに下がって見ることがむずかしく、らいらっく・ぎゃらりいの大きな制約でした。
 絵画や現代美術の本格的な発表に使われることが少ないのも、会場の小ささと細長い形状が要因だと思われます。

 しかし、そのおかげで、奥にあるものも、通路の窓越しからよく見えるというわけです。

 こういう「窓越し鑑賞」という変則的な発表形態を採用したのはこれが初めてではありません。
 一昨年だったと思いますが、ハルカヤマ藝術要塞のサテライト展も、入り口を閉め切って、窓越しに見るようになっていました。
 しかし、いかに小さな画廊とはいえ、向こう側の壁面に掛けられている作品を、通路側の窓から見るのは、いかにも隔靴掻痒かっ か そうようの念がぬぐえません。

 その点、今回の藤本さんの展示は、会場いっぱいに広がるインスタレーションですので、もどかしい思いはそれほどしなくて済みます。
 とはいえ、やはり、展開されている空間に入りたいという気持ちはすこし残りますね。

 会場には入れない上、とくに説明などもないので、くわしいことはわからないのですが、作品の素材は、シュレッダーで裁断された紙のようです。
 裁断後なので、もともとどんな紙だったのかは判然としませんが、白い部分が多く、黄色いところもあります。
 いずれにせよ、材料費はあまりかかっていないのではないでしょうか。

 中央部の床の、紙くずの山の中に、裁断した紙片をかためた80センチ四方ほどの立方体が置かれています。

 背後の壁には、同じくらいの大きさの、金属製の正方形の枠が掛けられています。

 この正方形の枠は格子状になっており、中央の立方体にも同一の模様がうっすらついていることから、この枠を使って紙片を固着させたと、推測できます。

 おなじ素材でも、まったく異なる形状を見せるというのが、おもしろいところといえるかもしれません。


2016年12月27日(火)~17年1月14日(土)午前9時~午後5時(となっていますが、7時ぐらいまでは見られそうです)
らいらっく・ぎゃらりい(札幌市中央区大通西4 北海道銀行本店1階通路)


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