シルクスクリーンなどの技法による、美しい発色の絵画を制作している山田恭代美さん(札幌。1971年生まれ)の個展。
ギャラリーミヤシタでは初開催です。
「Nymphaea colorata」シリーズ。
熱帯のスイレンの学名だそうです。今回は7点が並んでいます。
とにかく、色の重なり具合が美しいです。
個人的なことを書いて恐縮ですが、山田さんの作品を見てまず思い出すのは、幼い頃に、色セロハン紙を飽かず眺めていた記憶です。
それは、ステンドグラスをとおして光をみることにも似た、法悦の体験でした。
色セロハンが美しいのは、異なる色のものを重ねることによって、違った色がそこに現出することも理由です。
版画もそれと似たところがあります。例えば、青と黄を重ねることで緑が表現できます。版画家は、少ない版数で多くの色彩を表現しようと、知恵を絞ります。
そして、重ねる枚数が多すぎると、色が濃く濁ってしまうことも、色セロハンと版画は、似ているかもしれません。
山田さんは、和紙やアクリル絵の具なども併用し、マチエールを工夫しています。
ギャラリー主宰者の宮下さんによると、小さい作品で6ないし7、大きい作だと10版ほどを使用しているそうです。
しかし、まんべんなく色をたくさんちりばめるのではなく、思い切って広く単色の部分をとったところと、比較的小刻みに色彩を変えるところを構図の中につくり、メリハリのある画面をつくりだしているのは、もちろんです。
スイレンというと、モネが有名です。
ただ、モネの場合、光の効果が前面に出ているのに対し、山田さんの作品は、よりフラットでデジタル的な色彩にもかかわらず、かえって、自然に対する思いのようなものがこめられていると感じます。もちろん、鮮烈な色彩の妙が、単なる風景画から、彼女の作品を遠く隔たらせているといえそうです。
ただし、これは欠点とか苦情とかそういうことではないのですが、色の配置が心地よいために、ちょうどモーツァルトを聴いているといつの間にか心ここにあらずで、想念が飛んで、うとうととしてくるのに似て、絵を見ているはずが、なんだか違うことを考えてぼんやりしだすのです。
これは筆者だけでしょうか。
小さい作品として
泡雪(あわゆき)
はるかぜ
はなびら
やわらかい花
冬の陽
花のかげ
ひかる風
汀の風景 prologue
も出品されています。
筆者が作品を拝見したのは、「ギャラリーどらーる」が閉鎖すこし前に、若手をフィーチャーして企画していた3人展「寒椿展」以来だと思います。昨年、茶廊法邑で、また2007、09年には東京でも個展を開くなど、盛んに活動しています。
2013年10月30日~11月17日(日)正午~午後7時(最終日~5時)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)
関連記事へのファイル
【告知】水面の風景・天の風景 山田恭代美展(2011)
■New Point vol.7 (2010年)
・地下鉄東西線「西18丁目」駅から約690メートル、徒歩9分
・市電「西線6条」から約820メートル、徒歩11分
・ジェイアール北海道バス「53 啓明線」(JR札幌駅、大通西4-西11丁目駅-啓明ターミナル)で「南3条西20丁目」降車、約330メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス「54 北5条線」(JR札幌駅発)に乗り終点「長生園前」で降車、約710メートル、徒歩9分
・東西線「円山公園」からジェイアール北海道バス「円10」「円11」「桑11」「円13」に乗り継ぎ「南6条西25丁目」降車、約540メートル、徒歩7分
※ギャラリー門馬からの帰路に使える手です
ギャラリーミヤシタでは初開催です。
「Nymphaea colorata」シリーズ。
熱帯のスイレンの学名だそうです。今回は7点が並んでいます。
とにかく、色の重なり具合が美しいです。
個人的なことを書いて恐縮ですが、山田さんの作品を見てまず思い出すのは、幼い頃に、色セロハン紙を飽かず眺めていた記憶です。
それは、ステンドグラスをとおして光をみることにも似た、法悦の体験でした。
色セロハンが美しいのは、異なる色のものを重ねることによって、違った色がそこに現出することも理由です。
版画もそれと似たところがあります。例えば、青と黄を重ねることで緑が表現できます。版画家は、少ない版数で多くの色彩を表現しようと、知恵を絞ります。
そして、重ねる枚数が多すぎると、色が濃く濁ってしまうことも、色セロハンと版画は、似ているかもしれません。
山田さんは、和紙やアクリル絵の具なども併用し、マチエールを工夫しています。
ギャラリー主宰者の宮下さんによると、小さい作品で6ないし7、大きい作だと10版ほどを使用しているそうです。
しかし、まんべんなく色をたくさんちりばめるのではなく、思い切って広く単色の部分をとったところと、比較的小刻みに色彩を変えるところを構図の中につくり、メリハリのある画面をつくりだしているのは、もちろんです。
スイレンというと、モネが有名です。
ただ、モネの場合、光の効果が前面に出ているのに対し、山田さんの作品は、よりフラットでデジタル的な色彩にもかかわらず、かえって、自然に対する思いのようなものがこめられていると感じます。もちろん、鮮烈な色彩の妙が、単なる風景画から、彼女の作品を遠く隔たらせているといえそうです。
ただし、これは欠点とか苦情とかそういうことではないのですが、色の配置が心地よいために、ちょうどモーツァルトを聴いているといつの間にか心ここにあらずで、想念が飛んで、うとうととしてくるのに似て、絵を見ているはずが、なんだか違うことを考えてぼんやりしだすのです。
これは筆者だけでしょうか。
小さい作品として
泡雪(あわゆき)
はるかぜ
はなびら
やわらかい花
冬の陽
花のかげ
ひかる風
汀の風景 prologue
も出品されています。
筆者が作品を拝見したのは、「ギャラリーどらーる」が閉鎖すこし前に、若手をフィーチャーして企画していた3人展「寒椿展」以来だと思います。昨年、茶廊法邑で、また2007、09年には東京でも個展を開くなど、盛んに活動しています。
2013年10月30日~11月17日(日)正午~午後7時(最終日~5時)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)
関連記事へのファイル
【告知】水面の風景・天の風景 山田恭代美展(2011)
■New Point vol.7 (2010年)
・地下鉄東西線「西18丁目」駅から約690メートル、徒歩9分
・市電「西線6条」から約820メートル、徒歩11分
・ジェイアール北海道バス「53 啓明線」(JR札幌駅、大通西4-西11丁目駅-啓明ターミナル)で「南3条西20丁目」降車、約330メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス「54 北5条線」(JR札幌駅発)に乗り終点「長生園前」で降車、約710メートル、徒歩9分
・東西線「円山公園」からジェイアール北海道バス「円10」「円11」「桑11」「円13」に乗り継ぎ「南6条西25丁目」降車、約540メートル、徒歩7分
※ギャラリー門馬からの帰路に使える手です
色セロハンや色ガラスの重なりで生まれる色に、私も幼少時からとても魅かれていました。それが、現在の「薄いレイヤーを何層も重ねて色を創る」という試みに繋がっています。版・アクリル絵具・和紙の「薄いレイヤー」を重ねて色を創る手法は、まだまだこれからも様々な色を生み出してくれる可能性があり、とても興味深く取り組んでいます。
最後のほうにお書きいただいている、見ているとうとうととぼんやりする、ということ、うれしいです。
というのは、作品をみているうちに異空間にひきこまれて溶け込んでしまうような、そんな風景みたいなものを創りたいと思っているからです。
作品に囲まれてお昼寝してトリップするような、そんな世界にしたいと思ってます。
じっくり色の重なり合いやマチエールを鑑賞しようとしても、いつの間にか別のことをぼや~っと考えていて、絵を見ているんだか見てないんだか、自分でも分からなくなるんですよ(笑)。
こういうことって、ほかの美術作品ではあまり無いので、なんだか不思議でした。
アクアライン、がんばってください!