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(承前)
谷口明志さんもものすごいペースで制作・発表を続けている。
ゼロ年代の札幌の美術史に残る大型グループ展といえば、この「プラスワン」のほか「水脈の肖像」「絵画の場合」「北海道立体表現展」「ACT5」の五つということになると思うけど、谷口さんはそのうち、後の二つをのぞく三つに参加して出品している。
さらに、下のリンク先には挙がっていないが、ことし夏にプラニスホールで開かれた、道内の50歳以下の作家を集めた企画展にも出品しているし、体がいくつあっても足りないくらいの多忙な日々ではないだろうか。
そのプラニスホールでは、谷口さんの意図する「線の自立」がとてもわかりやすくかたちになっていた。
今回の展示もそれを引き継いでいると思う。
引き継ぐと同時に、「線による表現」を、めったにない大きな規模で展開しているといえる。
「単純に線をひく。そうすると、単なる紙ではなくなってしまう。それが絵の面白さ。たとえば、鳥を1羽描くと、そこが空になってしまう」
「力を入れたり抜いたりしながら線を引くと、途切れたり強くかかれたりする。今回、(作品が)地面から浮き上がったり、地面に沈み込んでいるように見えるのは、そういうことです」
このブログでの画像の並べ方は、もしかしたら谷口さんの意図とは反対向きかもしれない。
とりあえずこの配列に従って説明すると、彫刻美術館の2階展示室のタブローからはみだし、飛び出した白い線は…。
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近くの窓を伝うように1階に下りていき、屋外へと飛び出し…。
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前庭の芝生のなかを走り、ときには地面に沈み込むように見えたり(単に途切れているだけなのだけど)、いくつかに分岐を見せたりしながら…。
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本郷新の彫刻作品の間を抜けて、庭の片隅のほうまで行って、消えている。
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「線に意味はなくても絵になる。線1本できれい、そういうものをつくりたい。子どもや赤ちゃんがチョークを持ってぐちゃぐちゃ描いていること自体には意味はない。それでいいんじゃないかと」
他の出品作家から「イメージははじめからあったのか」という質問が出て、谷口さんは
「仕掛けは最初から決めていた。大きさや広さは、初めから計測していて材料も用意していた。空間とかいろんなことを考えながらセッティングした。ただ、下への流し方は場の雰囲気で決めた。半分ぐらいは現場でやるのが、最近のやり方です」。
ふつうの作家であれば、タブローの中でぐるぐる回ったりまっすぐ走ったりしている
「線」
が、自立して、絵から飛び出して空間の中を走り出す。
それが谷口さんの作品なのだ。
だから、谷口さんの作品はインスタレーションふうではあるけれど、出自も発想の源もまさしく絵画であるということができると思う。
2010年9月11日(土)~26日(日)10:00am~5:00pm(入館は4:30まで)、月曜休み(月曜が祝日の場合は翌火曜休み)
本郷新記念札幌彫刻美術館本館(札幌市中央区宮の森4の12)
入場無料
□プラスワン http://my.opera.com/Plus1Groove/blog/
■第7回北海道高等学校文化連盟石狩支部顧問展 (2010年1月)
■水脈の肖像09-日本と韓国、二つの今日 (2009年12月)
■PLUS 1 Groove (2009年8月)
■PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 谷口明志 坂東宏哉 大島潤也 ダム・ダン・ライ(2009年8月)
■谷口明志展(2009年3月)
■第6回北海道高等学校文化連盟石狩支部美術部顧問展(2009年1月)
■40周年小樽美術協会展(2008年6月)
■Dala Spaceオープン記念作品展(2007年)
■PLUS1 groove (2007年)
■第39回小樽美術協会展(2007年)
■絵画の場合(2007年)
■グループ プラスワン展(2006年)
■谷口明志展(2006年)
■第3回高文連石狩支部美術部顧問展(2006年)
■絵画の場合アーティストトーク(2005年)←一読を
■5th グループ・プラスワン(2004年)
■高文連石狩支部美術部顧問展(2004年2月6日の項。画像なし)
■札幌の美術2002(画像なし)
谷口明志さんもものすごいペースで制作・発表を続けている。
ゼロ年代の札幌の美術史に残る大型グループ展といえば、この「プラスワン」のほか「水脈の肖像」「絵画の場合」「北海道立体表現展」「ACT5」の五つということになると思うけど、谷口さんはそのうち、後の二つをのぞく三つに参加して出品している。
さらに、下のリンク先には挙がっていないが、ことし夏にプラニスホールで開かれた、道内の50歳以下の作家を集めた企画展にも出品しているし、体がいくつあっても足りないくらいの多忙な日々ではないだろうか。
そのプラニスホールでは、谷口さんの意図する「線の自立」がとてもわかりやすくかたちになっていた。
今回の展示もそれを引き継いでいると思う。
引き継ぐと同時に、「線による表現」を、めったにない大きな規模で展開しているといえる。
「単純に線をひく。そうすると、単なる紙ではなくなってしまう。それが絵の面白さ。たとえば、鳥を1羽描くと、そこが空になってしまう」
「力を入れたり抜いたりしながら線を引くと、途切れたり強くかかれたりする。今回、(作品が)地面から浮き上がったり、地面に沈み込んでいるように見えるのは、そういうことです」
このブログでの画像の並べ方は、もしかしたら谷口さんの意図とは反対向きかもしれない。
とりあえずこの配列に従って説明すると、彫刻美術館の2階展示室のタブローからはみだし、飛び出した白い線は…。

近くの窓を伝うように1階に下りていき、屋外へと飛び出し…。
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前庭の芝生のなかを走り、ときには地面に沈み込むように見えたり(単に途切れているだけなのだけど)、いくつかに分岐を見せたりしながら…。
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本郷新の彫刻作品の間を抜けて、庭の片隅のほうまで行って、消えている。
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「線に意味はなくても絵になる。線1本できれい、そういうものをつくりたい。子どもや赤ちゃんがチョークを持ってぐちゃぐちゃ描いていること自体には意味はない。それでいいんじゃないかと」
他の出品作家から「イメージははじめからあったのか」という質問が出て、谷口さんは
「仕掛けは最初から決めていた。大きさや広さは、初めから計測していて材料も用意していた。空間とかいろんなことを考えながらセッティングした。ただ、下への流し方は場の雰囲気で決めた。半分ぐらいは現場でやるのが、最近のやり方です」。
ふつうの作家であれば、タブローの中でぐるぐる回ったりまっすぐ走ったりしている
「線」
が、自立して、絵から飛び出して空間の中を走り出す。
それが谷口さんの作品なのだ。
だから、谷口さんの作品はインスタレーションふうではあるけれど、出自も発想の源もまさしく絵画であるということができると思う。
2010年9月11日(土)~26日(日)10:00am~5:00pm(入館は4:30まで)、月曜休み(月曜が祝日の場合は翌火曜休み)
本郷新記念札幌彫刻美術館本館(札幌市中央区宮の森4の12)
入場無料
□プラスワン http://my.opera.com/Plus1Groove/blog/
■第7回北海道高等学校文化連盟石狩支部顧問展 (2010年1月)
■水脈の肖像09-日本と韓国、二つの今日 (2009年12月)
■PLUS 1 Groove (2009年8月)
■PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 谷口明志 坂東宏哉 大島潤也 ダム・ダン・ライ(2009年8月)
■谷口明志展(2009年3月)
■第6回北海道高等学校文化連盟石狩支部美術部顧問展(2009年1月)
■40周年小樽美術協会展(2008年6月)
■Dala Spaceオープン記念作品展(2007年)
■PLUS1 groove (2007年)
■第39回小樽美術協会展(2007年)
■絵画の場合(2007年)
■グループ プラスワン展(2006年)
■谷口明志展(2006年)
■第3回高文連石狩支部美術部顧問展(2006年)
■絵画の場合アーティストトーク(2005年)←一読を
■5th グループ・プラスワン(2004年)
■高文連石狩支部美術部顧問展(2004年2月6日の項。画像なし)
■札幌の美術2002(画像なし)