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釧路のジャズ喫茶「This Is(ジス・イズ)」が年内限りで閉店

2012年12月29日 21時01分12秒 | 情報・おしらせ
□ブログ「閉店 の ご挨拶」 http://blog.jazz-thisis.com/?eid=1187842

 北海道新聞データベースで「ジス・イズ」を検索すると、なんと229本もの記事がヒットする。
 それだけ、単なるジャズ喫茶にとどまらない、まさに釧路の文化の一大拠点ともいうべき存在だったと思う。

 実際、ナベサダこと渡辺貞夫さんをはじめとするジャズミュージシャンのライブはもちろん、日本を代表する舞踏家の大野一雄さんの公演を開いたり、細江英公さんの写真展が開催されたこともある。
 劇団「黒テント」などの地方巡業にもかかわっていたし、釧路に来る音楽・演劇・美術の相当な部分にこのお店と、マスターの小林東さん夫妻が携わっていたのは間違いあるまい。

 …などとえらそうに書いているけれど、じつは筆者は、このお店に行ったことがない。
 釧路にはもう何度も足を運んでいるが
「いつでも行ける」
との思いがあったことは否めない。残念なことをした。
 お店は1969年、釧路新聞社を退社した小林さんと、妻の詩人藤田民子さんが、退職金をもとでに開店したという。
公式サイトの「HISTORY」にくわしい)

 なので、お店にまつわる個人的な思い出はないのだが、北海道ともゆかりの深いジャズ・ドラマーのエルヴィン・ジョーンズが2004年に亡くなったとき、筆者は、夕刊社会面のレイアウトを担当していた(すべてのページでいちばん作業が大変な面)。

 締め切りの午後1時近くになって、共同通信の速報が彼の死を告げたとき、筆者は、整理委員(その日の事実上の編集長)とデスクに、一方的に宣言した(偉そうだな~)。
「段たてますね」
 一部員の分際で
「この人は重要だから、ベタにはしない」
と言ったわけである。
 そう言った手前、原稿が到着したのはほんとにぎりぎりだったが、なんとか押し込んできっちり降版した。

 締め切りを過ぎてから釧路報道部から談話が到着した。
 ジス・イズの小林東マスターの話だった。
 あと3分早く着いていれば、紙面に突っ込めたのに。
 せっかくウチの記者がゲットしてきた談話記事だ。残念だった。


 北海道の地方には、超人的な努力でそれぞれの地方の文化を支えている人がいる。

 文化の歴史はニューヨークや東京だけでつくられているのではない。

 地方の文化の積み重ねが、わたしたちの「生」とどう切り結ぶのか。

 閉店の報を耳にして、そんなことを考えている。


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