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ことしの全道展(6月)で賞を受けた人々による展覧会。
以前は、協会賞(最高賞)の受賞者の個展をひらいていましたが、作品輸送費や滞在費などの負担がきついなどの理由もあって、2003年からは、受賞者のグループ展に変わっています。
ただ、せっかく受賞しても、出品していない人がけっこういるようです。
今回は、おもに、下のフロアに版画や工芸が、上のフロアに絵画が集まる陳列になっていました。
冒頭画像は上、次の画像は下の階です。
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上の画像の手前は、この中ではもっとも若手と思われる大場優子さんの作品。
裸の家族がテーブルを囲んでまずしい食事をしている-という基本線は、STEP卒業展やことしの全道展と変わっていません。ただ、白い卓を透かして、人の足が見えているのが、不思議でもあり、興味深くもあります。
手の描写が以前よりも写実的になっているので、尋ねたら、人間の質を描きたかった-というような答えが返ってきました。
となりは、石本久美子さんの作品。
今回もモノクロですが、ことしの全道展出品作とはうって変わって、白い部分が圧倒的に多くなっています。ただ、塗りが丁寧なためでしょう、平板な印象は受けません。
独立調の絵がわりあい多い全道展の会場では、こういう明度の高い作品は、かえって目立つと思います。
シンプルですが、となりの大場さんと同様、人間存在の根本を見る人に考えさせる作品です。
どんどん良くなっているのが澤田弘子さんの絵です。
何年か前は、木を擬人化しているおもしろさだけが目を引きましたが、今回の出品作では、背後のオーカーの色の帯がまるで砂漠を行く巡礼の列のようにも見え、人間を深いところで描いているような趣があります。
下のフロアの松井さんの絵は、ことし大同ギャラリーでの個展のあと、二紀展でも発表したそう。ただ、二紀展から返却された後にだいぶ加筆したとのことです。
しかし、全体的には、全道展のときとくらべると、やはり1年に同水準の作品を提示するのはむつかしいのでしょうか。なんとなく小粒な感じがします。
会員クラスには重鎮がそろう全道展ですが、中長期的にみた場合、若手が多い道展の元気よさに水をあけられていくのではないかという感じが否めません。
絵画はまだ活力がありますが、他の3分野は、会友・一般の奮起を望みます。
出品作はつぎのとおり。
●絵画
渡邊範子「生きる」80F
松井多恵子「サイエンス考(夕暮れ)」120F
大場優子「家族とともに」100F
石本久美子「人と骨」同
星川桃紅衣「生きてゆく意志」80F
大澤康「Paradigm Shift III」120F
佐藤静子「8月の鯨」100F
吉田翼「遊覧思考」同
澤田弘子「遊離する風景」同
平松桂和「rondeau」同
松田悦子「水辺の詩」同
西澤弘子「海鳴り(吹く風)」同
●版画
伊勢陽子「月と話した」70×50
高崎幸子「菜園」40×50
阿南ゆう子「アネモネ」56.5×43.5
山口星子「あたたかい雨」60×80
岩谷信昭「野末の春II」51×66
佐野和子「ポプラのみち」55×39.5
●彫刻
向川未桜「Loop II」30×30×130(原文ママ)
橋本諭「innocence」高さ107センチ
●工芸
村椿富子「防風林」73×47(陶)
堀田佳代「生II」50×35×25(陶)
馬場雅巳「悲情」30×30×70(ガラス)
石山和雄「風穴黄代への回帰」45×55×20(陶)
07年11月1日-6日10:00-18:00(最終日-17:00)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A)
■06年