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岡山県新見市で猪風来さんの展示。6月5日から

2012年06月04日 23時29分52秒 | 新聞などのニュースから
 読売新聞のサイトに、次のような記事がありました。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/news/20120527-OYT8T00753.htm?from=tw

 猪風来 い ふうらいさんは、縄文をテーマにダイナミックな陶の造形などに取り組んでいた作家です。
 石狩管内浜益村(現石狩市浜益区)に窯を構えていましたが、その後、岡山県に拠点を移し、活動しています。

 記事は、5月28日の地域版に載っていたようです。
 かなり長い記事で、著作権の関係もあるので全文をコピペするのもためらわれるのですが、切れる部分もあまりないので、8割方を引用しておきます。

 新見市法曽ほう そ の山中に窯を構え、縄文土器の魅力を現代アートの中に表現しようと創作を続ける縄文造形家猪風来さん(64)が、30年以上に及ぶ活動の集大成となる陶器の新作オブジェ群を完成させた。6月5日から、同所の猪風来美術館(市法曽陶芸館)で展示する。オブジェ群は、縄文人の心を知るため、北海道の原野に縦穴式住居を構えて20年間「縄文生活」を送るなど、いにしえの土器に魅せられた男の挑戦の歩みそのものだ。(署名省略)


 猪風来さんは、広島県福山市出身。武蔵野美大短期大学部で油絵を学び、千葉県に住んでいた頃、偶然拾った縄文土器片の渦模様に衝撃を受けた。「体の奥底から感動がわき上がってきた。美しい洋画を見た感動とも違う。これは一体何だ」。千葉市立加曽利貝塚博物館が企画した、縄文土器を野焼きで製作する復元実験に参加し、1978年、国内で初めて成功した。

 土器復元の工芸家として評価は高まったが、満足できなかった。復元した土器を見た見知らぬ老人に「うまくできているが、何かが足りない」と言われ、気がついた。「老人の言う『何か』は、縄文スピリットだ。レプリカ(模造品)作りという工芸ではなく、芸術的に追究しなければ駄目だ」

 縄文人と同じ環境に身を置くため、86年、北海道石狩平野に竪穴式住居を造り、稲作を中心に自給自足の生活に入った。妻の村上美子さん(61)が四男原野さん(24)を出産した時は「助産師」を務めた。大自然の懐に抱かれて創作を続ける中で、古代人の心を感じた。「自然は、激しく、美しく姿を変えて豊穣ほうじょうをもたらす。縄文人は豊穣を得るため、自然の様々な姿をしっかり観察していた。炎や渦など縄文の模様はそこからうまれたのだ」

(中略)

 新たな境地を求めて新見市に移り住んだのは2005年。大学時代から交流のある高梁たかはし市の洋画家の紹介で、旧新見市立法曽小を借りて美術館と工房を構えた。

 この地で、江戸時代後期まで「法曽焼」と呼ばれる陶器が作られていたと聞き、興味を引かれた。江戸時代中期、備中松山城に国奉行として赴任した茶人の小堀遠州(1579~1647)も、茶道具を焼く窯を構えたという。

 「法曽焼をよみがえらせてほしい」という地元の声に応え、周辺の古窯跡から出た陶片を調べた。粘土を探し、釉薬を研究。江戸時代と同じ穴窯を築いて、09年に法曽焼を復興した。

 翌10年、身近な中国山地をテーマに、法曽焼の技法と「渦」など縄文文様を融合させた作品の制作を始めた。山に見立てた円筒から無数の「渦」が沸き立つ「霊峰大山」(高さ1メートル、直径60センチ)や、複雑な色合いと大胆ならせん文様の「霊峰上蒜山」(高さ75センチ、直径45センチ)など24点を2年がかりで完成させ、「中国山地大霊峰シリーズ」と名付けた。猪風来さんは「岡山に来たおかげで、ようやく方向性が定まった。多くの人に見てほしい」と語る。

 展示は9月2日まで。同美術館は午前9時半~午後5時。月曜休館。一般400円、高校生200円。問い合わせは同美術館(0867・75・2444)。




 地図で見ると、猪風来美術館は、広島県との県境に近い、山あいにあるようです。

 個人的な話になりますが、筆者にとってこのあたり(中国・四国地方)は、一大空白地帯です。

 旅行したことがあるのは徳島県のみ。
 岡山、広島、山口県は通過しただけ。
 鳥取、島根、愛媛、香川、高知の各県にいたっては、通過したことすらありません。
(九州・沖縄の未踏が宮崎と沖縄だけなのと、えらい違い)

 しかし、瀬戸内のビエンナーレの会場にもなった直島や、大原美術館、尾道、広島の平和記念公園、猪熊玄一郎現代美術館など、行ってみたいところがたくさんあります。

 国木田独歩や正宗白鳥などの文学にも瀬戸内の風土は深く関係しているだろうし、一度はゆっくり旅行してみたいです。


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