(承前。「東川の街角」から続く)
「東川賞」の受賞者展というと、7月末の写真フェスティバルで、受賞者や審査員によるパネルディスカッションを聴くのが楽しみなのですが、ここ数年は新型コロナウイルスの感染拡大により行われていないようです。
今年の受賞者は次の通り。
海外作家賞 ハ・ダオ(ベトナム)
国内作家賞 鷹野隆大
新人作家賞 笹岡啓子
特別作家賞 エレナ・トゥタッチコワ
飛彈野数右衛門賞 宮崎 学
ただし、会場では、鷹野さん →ハ・ダオさんの順に並んでいました。
鷹野さんの会場では「毎日写真」というシリーズがあり、東京タワーのある風景を10年以上にわたって同じ位置から毎日撮影した写真が、すごい速さで投影されていました。
筆者は20年ほど前に東京都写真美術館で見たシリーズとの違いに驚くとともに
「そっか~、東京は雪が積もらないから、1年の経過がわかりにくいなあ」
などとぼんやりしたことを思っていました。
この5人のうちで筆者がいちばん感服したのは、笹岡さんが被災地をとらえた一連の『Remembrance 3.11』でした。
個人的な回想につながるためかもしれませんが、水没しかかった土地、見る影もなく破壊された建物などを見ていると、これは単なる個人的なものではなく民族の記憶とでもいうべき何かではないのか、という気がしてなりません。
写真自体はそれほど大げさなものというより、淡々と記録しているものなのですが。
宮崎学さんは動物と人間のかかわりにレンズを向けてきたベテラン。
クマが、カメラを取り付けた三脚の後ろに立ち、まるでこれからシャッターを押すようなしぐさを見せていたのには思わず笑いました。
エレナ・トゥタッチコワさんは、出身はロシア、現在の拠点は京都ですが、知床に足繁く通って二人展「Land and Beyond|大地の声をたどる」などの受賞作を制作しました。
もっとも、ちょっと意地悪な言い方になりますが、スナップ写真・ドローイングやメモ、ドキュメンタリー的な30分間の映像…といった組み合わせが、いかにも「現代アートのフォーマット」にハマりすぎている感じがして、個人的にはいまひとつ乗れなかったのも事実です。
2022年7月30日(土)〜8月30日(火)午前10時~午後5時
写真の町東川町文化ギャラリー(上川管内東川町東町1)
「東川賞」の受賞者展というと、7月末の写真フェスティバルで、受賞者や審査員によるパネルディスカッションを聴くのが楽しみなのですが、ここ数年は新型コロナウイルスの感染拡大により行われていないようです。
今年の受賞者は次の通り。
海外作家賞 ハ・ダオ(ベトナム)
国内作家賞 鷹野隆大
新人作家賞 笹岡啓子
特別作家賞 エレナ・トゥタッチコワ
飛彈野数右衛門賞 宮崎 学
ただし、会場では、鷹野さん →ハ・ダオさんの順に並んでいました。
鷹野さんの会場では「毎日写真」というシリーズがあり、東京タワーのある風景を10年以上にわたって同じ位置から毎日撮影した写真が、すごい速さで投影されていました。
筆者は20年ほど前に東京都写真美術館で見たシリーズとの違いに驚くとともに
「そっか~、東京は雪が積もらないから、1年の経過がわかりにくいなあ」
などとぼんやりしたことを思っていました。
この5人のうちで筆者がいちばん感服したのは、笹岡さんが被災地をとらえた一連の『Remembrance 3.11』でした。
個人的な回想につながるためかもしれませんが、水没しかかった土地、見る影もなく破壊された建物などを見ていると、これは単なる個人的なものではなく民族の記憶とでもいうべき何かではないのか、という気がしてなりません。
写真自体はそれほど大げさなものというより、淡々と記録しているものなのですが。
宮崎学さんは動物と人間のかかわりにレンズを向けてきたベテラン。
クマが、カメラを取り付けた三脚の後ろに立ち、まるでこれからシャッターを押すようなしぐさを見せていたのには思わず笑いました。
エレナ・トゥタッチコワさんは、出身はロシア、現在の拠点は京都ですが、知床に足繁く通って二人展「Land and Beyond|大地の声をたどる」などの受賞作を制作しました。
もっとも、ちょっと意地悪な言い方になりますが、スナップ写真・ドローイングやメモ、ドキュメンタリー的な30分間の映像…といった組み合わせが、いかにも「現代アートのフォーマット」にハマりすぎている感じがして、個人的にはいまひとつ乗れなかったのも事実です。
2022年7月30日(土)〜8月30日(火)午前10時~午後5時
写真の町東川町文化ギャラリー(上川管内東川町東町1)