道内で活躍してきた画家の作品展で、10~20号ぐらいのものが多い(と思う。絵の号数を当てるのが苦手なので、すみません)。
顔ぶれは、北海道の美術史に残る画家が多く、そうそうたるものである。
「札幌芸術の森」の公式サイトに、こうある。
A氏って、バレバレだと思うのだが…。
そのビルは、2階と3階がギャラリーになっていて、5階にはA氏の事務室兼書斎がある。
A氏は小説家でもあり、事務室兼書斎に並ぶ本棚と参考資料の数は膨大である。
おそらく、個人の蔵書としては、道内でも屈指ではないか(札大に山口昌男文庫という、ちょっと桁外れのものがあるが)。
A氏は、これまでも、美術資料や画集などを折に触れ、札幌芸術の森美術館に寄贈してきた。
同館のミュージアムショップの奥が、一時、それらA氏から贈られた画集などの閲覧コーナーになっていたころもある。
その事務室兼書斎に、今回の出品作である野本醇「北の箱舟」が掛かっていた。
野本さんは伊達在住、主体美術と全道展のベテラン会員である。
1970~80年代は、いまの光と闇の対比を強調した抽象画ではなく、雪景色と動物たちを組み合わせた、いわば北方ルネサンス的な絵画を制作していた。
この「北の箱舟」では、動物たちが眠りながら重なり合っている。穴ぐらのなかにいる状態を象徴的にとらえたものともとれるし、実際に雪原の上に重なっているようにもみえる。
北国の厳しい風土を表層的になぞるのではない、深遠な世界を描いているように感じられ、好きな1点だった。
もう1点、目を引いたのが原善行「札幌落日」。
創成川のたもとにあった消防の望楼と、橋を渡る人々の姿が、明るい色彩と勢いのあるタッチで描かれている。
この望楼は、三岸好太郎も画題にとりあげており、テレビ塔ができるまでは、札幌のランドマークであった。
成長期にあるマチらしい活気と、夕方の哀愁とが、渾然一体となった作品だと思った。
ついでに言えば、伊藤仁「旧郵便局」は、いまの大通西2の市役所附近にあった石造りの中央郵便局だろう。
西1丁目と西2丁目の大通公園は現在より幅が狭く、北側の区画が公園側に突き出ていたようだ。
なお、現在の札幌中央郵便局は創成川沿いで、JR函館線のすぐ北側にある。この絵の大通西2から、道庁赤レンガの北側に移り、さらに現在の位置に移転している。
一木万寿三「流木と俳人」は、風景を直線的に把握して描出したこの画家らしい作。
正面を向いている女性の俳人は、夫人の榛谷美枝子さんであろう。
無料だし、芸術の森美術館まで足を伸ばしたときは、ぜひ見てほしいと思う。
出品作は次の通り。
小川原脩 「馬」 1972
上野山清貢「塘路湖」 ?
岩船修三「梨果」 1940
伏木田光夫「ラパンアジールの女」 1970
一木万寿三「流木と俳人」 1974
豊島輝彦「札幌郊外」 1970ごろ
伊藤正 「シテ島晩秋」 1962
西村計雄「ヘンリー四世の城」 1960
渡辺伊八郎「的(3)」 1982
小谷博貞「防雪林」 1969
野本醇 「北の箱舟」 1975
鎌田俳捺子「生物」 1981
原義行 「札幌落日」 ?
伊藤仁 「旧郵便局」 ?
木田金次郎「くれいく岩内の海」 1949
武田範芳「ピエロの人形」 1960
佐藤武 「〔女性像〕」 1978
亀山良雄「影」 1971
砂田友治「家族」 1992
阿部国利「翼」 2000
堀内掬夫「作品 MANDAS-9」 1997
2011年10月29日(土)~12月18日(日)午前9時45分~午後5時
10月31日以外の月曜、及び11月24~28日休館
札幌芸術の森美術館 B展示室
観覧料:無料
顔ぶれは、北海道の美術史に残る画家が多く、そうそうたるものである。
「札幌芸術の森」の公式サイトに、こうある。
札幌市内で長年ギャラリーを経営するA氏のコレクションが、昨年札幌芸術の森美術館の所蔵品として収蔵されました。様々な作家との交流の中で集められたコレクションの一部を紹介します。
A氏って、バレバレだと思うのだが…。
そのビルは、2階と3階がギャラリーになっていて、5階にはA氏の事務室兼書斎がある。
A氏は小説家でもあり、事務室兼書斎に並ぶ本棚と参考資料の数は膨大である。
おそらく、個人の蔵書としては、道内でも屈指ではないか(札大に山口昌男文庫という、ちょっと桁外れのものがあるが)。
A氏は、これまでも、美術資料や画集などを折に触れ、札幌芸術の森美術館に寄贈してきた。
同館のミュージアムショップの奥が、一時、それらA氏から贈られた画集などの閲覧コーナーになっていたころもある。
その事務室兼書斎に、今回の出品作である野本醇「北の箱舟」が掛かっていた。
野本さんは伊達在住、主体美術と全道展のベテラン会員である。
1970~80年代は、いまの光と闇の対比を強調した抽象画ではなく、雪景色と動物たちを組み合わせた、いわば北方ルネサンス的な絵画を制作していた。
この「北の箱舟」では、動物たちが眠りながら重なり合っている。穴ぐらのなかにいる状態を象徴的にとらえたものともとれるし、実際に雪原の上に重なっているようにもみえる。
北国の厳しい風土を表層的になぞるのではない、深遠な世界を描いているように感じられ、好きな1点だった。
もう1点、目を引いたのが原善行「札幌落日」。
創成川のたもとにあった消防の望楼と、橋を渡る人々の姿が、明るい色彩と勢いのあるタッチで描かれている。
この望楼は、三岸好太郎も画題にとりあげており、テレビ塔ができるまでは、札幌のランドマークであった。
成長期にあるマチらしい活気と、夕方の哀愁とが、渾然一体となった作品だと思った。
ついでに言えば、伊藤仁「旧郵便局」は、いまの大通西2の市役所附近にあった石造りの中央郵便局だろう。
西1丁目と西2丁目の大通公園は現在より幅が狭く、北側の区画が公園側に突き出ていたようだ。
なお、現在の札幌中央郵便局は創成川沿いで、JR函館線のすぐ北側にある。この絵の大通西2から、道庁赤レンガの北側に移り、さらに現在の位置に移転している。
一木万寿三「流木と俳人」は、風景を直線的に把握して描出したこの画家らしい作。
正面を向いている女性の俳人は、夫人の榛谷美枝子さんであろう。
無料だし、芸術の森美術館まで足を伸ばしたときは、ぜひ見てほしいと思う。
出品作は次の通り。
小川原脩 「馬」 1972
上野山清貢「塘路湖」 ?
岩船修三「梨果」 1940
伏木田光夫「ラパンアジールの女」 1970
一木万寿三「流木と俳人」 1974
豊島輝彦「札幌郊外」 1970ごろ
伊藤正 「シテ島晩秋」 1962
西村計雄「ヘンリー四世の城」 1960
渡辺伊八郎「的(3)」 1982
小谷博貞「防雪林」 1969
野本醇 「北の箱舟」 1975
鎌田俳捺子「生物」 1981
原義行 「札幌落日」 ?
伊藤仁 「旧郵便局」 ?
木田金次郎「くれいく岩内の海」 1949
武田範芳「ピエロの人形」 1960
佐藤武 「〔女性像〕」 1978
亀山良雄「影」 1971
砂田友治「家族」 1992
阿部国利「翼」 2000
堀内掬夫「作品 MANDAS-9」 1997
2011年10月29日(土)~12月18日(日)午前9時45分~午後5時
10月31日以外の月曜、及び11月24~28日休館
札幌芸術の森美術館 B展示室
観覧料:無料
南区は雪が多いです。やっと、Aコレクションに。野本醇・國松登画家の冬景色を、しっかり眺めてきました。
中庭に渋谷さんのインスタレーション が展示されていました。12月23日~の展示と別なのでしょうか?やはり、曇っている方が、きれいに映りますね。