通称タウシュベツ川橋梁。1937年に旧国鉄士幌線(1987年廃線)の一部として作られたこのコンクリートアーチ橋は、およそ20年間、大雪山国立公園の中で鉄道橋として使用されました。その後、水力発電用のダムの完成にともない士幌線は移設。橋だけがそのまま残されて半世紀以上が経ちます。
タウシュベツ橋梁は、北海道遺産にも選ばれており、被写体としては、道民にはかなりおなじみだと思う。いつ崩落してもおかしくないこともあって、写真家の人気を集めているのだ。
ふつうに撮れば凡庸な写真になりそうなこの題材に、いろいろな角度・撮り方で迫っているのに、感服した。
望遠レンズで(?)近づき、劣化したコンクリートの表情をとらえたものもあれば、沈みゆくオリオン座やシリウスの星空と橋を同時に写したものもある(これは、おそらく3、4月の明け方だろう。寒そうだ)。
ちらつく雪にストロボの光を当てたものもあれば、虹のアーチが橋の上にかかっているものもある。
猛禽類が舞い降りた写真もあれば、遠景にエゾシカの群れが写っている1枚もある。
四季、時間によって、まったくことなる表情を見せる古い橋。水面からの高さも違う。
この写真を撮った岩崎さんは、北海道が好きで移住してきたという。
現在は、十勝管内上士幌町の糠平在住。いわば、「外の目」と「地元の目」をあわせもったカメラマンなのだ。
特異な題材でなくても、じっくり腰を落ち着け、角度を変えれば、多様な作品がつくれるという、お手本のような写真展だった。
2013年12月13日(金)~18日(水)午前10時~午後7時
富士フイルムフォトサロン(札幌市中央区大通西6)
□ http://r-y-z.jimdo.com/
参考□ 上士幌町観光協会 http://www.kamishihoro.info/topics/taushubetu
(この項続く)