
ギャラリー門馬アネックスほど、作家に、サイトスペシフィックな作品を作って展示してみよう-という思いをかきたてる会場はないだろう。
細長い会場、そして、奥の、緑の中のテラス。これらの舞台装置が、作品をぐっとひきたてる。
都会の白い壁のギャラリーに置かれたときよりも、作品が一段も二段も生き生きして見えてくるのだ。
今回の下沢さんのインスタレーションが、会場のおかげでよく見える-ということではもちろんないのだが、まさに、この会場あっての作品だという思いを強くした。
土と火の芸術が、この場所の緑と一体化しているのだ。
会場には、おなじ大きさの、漢字の「凸」に似たかたちのオブジェが12個、1列にならんでいる。
しかし、それぞれの表面は微妙に異なる。

陶のオブジェは、単に、一般の彫刻でブロンズや木を使うところに、土を使っていることが肝心なのではない。
下沢さんはオブジェを作るにあたり、ひび割れの有無など、かなり神経を用いている。にもかかわらず、火は、偶然を招来してしまう。
意図と偶然がせめぎあうところに、焼き物のオブジェの要諦があるのではないだろうか。
それにしても、7月に4人展を終えたばかりで、これだけの新作を持ってくるというのはすごい。精力的な制作ぶりには恐れ入る。

つきあたりのテラスには、背の高いオブジェが直立していた。
ふと、右側に目をやると…。

オブジェが、テラスから門馬宅の庭の中へとつづいている。

それにしても、8月の風のなんとさわやかなことか。
木々に囲まれたテラスや庭を気持ちよくふきすぎる。
テラスの下は、天然の小さな川が流れる谷間になっている。ここが「中央区」で、地下鉄の駅からタクシーで数百円で来ることができるのだから、つい東京の人に「どうだ、うらやましいだろう」と言いたくなってくる。
風化や、時の流れを感じさせる重厚な下沢さんのオブジェも、緑と風のなかに、やさしくとけ込んでいきそうだ。

さて、今回の個展は、アネックスだけでなく、手前のギャラリー門馬の本館でも同時開催されている。
画像は、ギャラリー門馬の玄関前に立つオブジェ。これは、今春の北海道立体表現展で発表したものだが、展示場所が異なると、印象がかくも異なるものか-と感じた。

室内で使用されているのは、玄関と手前の一室だけで、居間の部分や中二階などは、故門馬よ宇子さんの作品が展示されている。
画像は、手前の一室にならぶ8点組みのオブジェ「Re-birth HOLES」。
三角錐の上部を断ち切ったような形状をしている。
うつわ類は一切置いていない。
全体として、「土」が大自然に還ったような展示に感銘を受けた個展であった。
08年8月22日(金)-31日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)、会期中無休
ギャラリー門馬・ギャラリー門馬アネックス(中央区旭ケ丘2)
□下沢さんのサイト
■交差する視点とかたち vol.2(08年7月)
■「響韻と、在る。」石川亨信さんとの2人展(08年4月)
■交差する視点とかたち 川上力三・阿部典英・下沢敏也(07年7月)
■07年4月の個展
■田村陽子さんとの2人展(07年1-2月)
■下沢トシヤ陶展(06年12月)
■西本久子さんとの2人展(06年1月)
■下沢トシヤ陶展(04年6月)
■北海道立体表現展(03年)
■下澤敏也・多田昌代2人展(03年、画像なし)
■下澤敏也・多田昌代2人展(02年、画像なし)
・地下鉄東西線「円山公園」から、ジェイアール北海道バス「循環10、循環11 ロープウェイ線」で「旭丘高校」降車、3分
・おなじく「円山公園」から、ジェイアール北海道バス「円11 西25丁目線」で、終点「啓明ターミナル」降車、7分
・JR札幌駅・大通西4丁目から、ジェイアール北海道バス「51 啓明線」「53 啓明線」で、終点「啓明ターミナル」降車、7分
(ほかにも、南北線の中島公園駅、幌平橋駅から啓明ターミナルや旭丘高校へ行く循環バスの便があります)
細長い会場、そして、奥の、緑の中のテラス。これらの舞台装置が、作品をぐっとひきたてる。
都会の白い壁のギャラリーに置かれたときよりも、作品が一段も二段も生き生きして見えてくるのだ。
今回の下沢さんのインスタレーションが、会場のおかげでよく見える-ということではもちろんないのだが、まさに、この会場あっての作品だという思いを強くした。
土と火の芸術が、この場所の緑と一体化しているのだ。
会場には、おなじ大きさの、漢字の「凸」に似たかたちのオブジェが12個、1列にならんでいる。
しかし、それぞれの表面は微妙に異なる。

陶のオブジェは、単に、一般の彫刻でブロンズや木を使うところに、土を使っていることが肝心なのではない。
下沢さんはオブジェを作るにあたり、ひび割れの有無など、かなり神経を用いている。にもかかわらず、火は、偶然を招来してしまう。
意図と偶然がせめぎあうところに、焼き物のオブジェの要諦があるのではないだろうか。
それにしても、7月に4人展を終えたばかりで、これだけの新作を持ってくるというのはすごい。精力的な制作ぶりには恐れ入る。

つきあたりのテラスには、背の高いオブジェが直立していた。
ふと、右側に目をやると…。

オブジェが、テラスから門馬宅の庭の中へとつづいている。

それにしても、8月の風のなんとさわやかなことか。
木々に囲まれたテラスや庭を気持ちよくふきすぎる。
テラスの下は、天然の小さな川が流れる谷間になっている。ここが「中央区」で、地下鉄の駅からタクシーで数百円で来ることができるのだから、つい東京の人に「どうだ、うらやましいだろう」と言いたくなってくる。
風化や、時の流れを感じさせる重厚な下沢さんのオブジェも、緑と風のなかに、やさしくとけ込んでいきそうだ。

さて、今回の個展は、アネックスだけでなく、手前のギャラリー門馬の本館でも同時開催されている。
画像は、ギャラリー門馬の玄関前に立つオブジェ。これは、今春の北海道立体表現展で発表したものだが、展示場所が異なると、印象がかくも異なるものか-と感じた。

室内で使用されているのは、玄関と手前の一室だけで、居間の部分や中二階などは、故門馬よ宇子さんの作品が展示されている。
画像は、手前の一室にならぶ8点組みのオブジェ「Re-birth HOLES」。
三角錐の上部を断ち切ったような形状をしている。
うつわ類は一切置いていない。
全体として、「土」が大自然に還ったような展示に感銘を受けた個展であった。
08年8月22日(金)-31日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)、会期中無休
ギャラリー門馬・ギャラリー門馬アネックス(中央区旭ケ丘2)
□下沢さんのサイト
■交差する視点とかたち vol.2(08年7月)
■「響韻と、在る。」石川亨信さんとの2人展(08年4月)
■交差する視点とかたち 川上力三・阿部典英・下沢敏也(07年7月)
■07年4月の個展
■田村陽子さんとの2人展(07年1-2月)
■下沢トシヤ陶展(06年12月)
■西本久子さんとの2人展(06年1月)
■下沢トシヤ陶展(04年6月)
■北海道立体表現展(03年)
■下澤敏也・多田昌代2人展(03年、画像なし)
■下澤敏也・多田昌代2人展(02年、画像なし)
・地下鉄東西線「円山公園」から、ジェイアール北海道バス「循環10、循環11 ロープウェイ線」で「旭丘高校」降車、3分
・おなじく「円山公園」から、ジェイアール北海道バス「円11 西25丁目線」で、終点「啓明ターミナル」降車、7分
・JR札幌駅・大通西4丁目から、ジェイアール北海道バス「51 啓明線」「53 啓明線」で、終点「啓明ターミナル」降車、7分
(ほかにも、南北線の中島公園駅、幌平橋駅から啓明ターミナルや旭丘高校へ行く循環バスの便があります)