フォトグラファーのかたわら美術展に作品を出品、近年は写真作品を数多く発表している札幌の山岸せいじさんが、知人に声をかけてひらいた展覧会。
提示したのは「光を編む」という言葉だけで、とくに作風の統一などをしたわけではない。にもかかわらず、多彩な作品(映像を組み合わせたインスタレーションを含む)が並び、しかも統一感のある会場になっていたのは、さすが山岸さんの顔の広さ、というか、人柄だなと思う。
ともあれ、ことし屈指の見ごたえある展覧会だったことは間違いない。
札幌の写真シーンを特徴づける作風として筆者は、ネイチャーのほかに、「Sスクール」という概念を提示したことがある。
「S」はSapporoの頭文字であると同時に、Scenary、Snap、Sentimental…などの意味合いで、20世紀末から21世紀初頭にかけておもに大学写真部員とその出身者が撮っていた銀塩モノクロの、孤独感をたたえた風景などのスナップ写真をさすカテゴリーだ。
山岸さんが組織した写真展のうち「OPERA」は、ドキュメンタリーふうのもあったりして、作風は多様だった。今回の「光を編む」展は、新たに「心象派」とでも形容すべきあらたな一群の作家たちの姿が像をむすぶきっかけになったともいえるのではないだろうか。
てっとり早くいえば、被写体をはっきりと写すのではなく、ぼんやりとしたモティーフやイメージにこと寄せてじぶんの心象を表現する-そんな作風の人たちがまとまって登場した…、そんな感じが強いのだ。
そこには、紋切り型の、サークル展などにありがちなプリントは見られず、といって、一般的なスナップともちょっと異なる作品がならんでいる。
まず、山岸さん。
山岸さんのコンパクトデジタルカメラによる平面インスタレーション「あ・る・く」。
これまでは正方形にトリミングしたプリントが多かったという印象があるが、今回は、極端に細長くトリミングした18枚を、組み合わせている。
緑、花、太陽、木々、雲…。
劇的なところはまったくない、じつになにげない情景なのに、見ていると心から幸福さをおぼえるのはなぜだろう。
といって、宗教的でもない。
山岸さんの写真はふしぎだ。
あと、デジタルプリントの美しさにも目を見張った。
遠藤博美「last」。
配置のしかたがユニーク。
色とりどりのピン(画鋲)もちらばって、壁面に彩りをあたえているす。
廣島経明「光剣」。
フィルムにこだわり、色と光による抽象画やネオンアートのような美しい作品を作り続けている廣島さん。今回の連作は、雷鳴を感じさせる。
このほか、会場中央の隠しスペース(?)を使ってインスタレーションふうの展示を試みていた。「クリームソーダー&キャンディドロップ」「天変地異」など。
置田貴代美「blur」。
最近とりくんでいる海の写真。荒涼とした灰色の風景が、孤独感を漂わせる。
(この項続く)
2008年10月28日(火)-11月2日(日)10:00-19:00
コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下 地図C)
(北洋銀行のあるビルです)
・地下鉄東西線「西11丁目」から徒歩2分
・市電「中央区役所前」下車すぐ
・じょうてつバス「中央区役所前」から徒歩1-4分
■MOVE (08年2月)=リンクはこのエントリを参照してください
(18日一部訂正)
ブログいつも楽しく拝見させていただいております。
ところで、私の作品タイトルですが「plur」ではなくて、「blur」になります。
まぁ、いいかなと思ったんですけれど、前者でも単語検索に引っかかりますので念のために。
おきた
おきたさんの写真、いつ見てもいいですよね。
あんまり世界に対して肯定的な写真ばかりでも困るわけで…。
で、つぎは「oasis」でしょうか?(←ぜんぜんおもしろくないですね)
こっそり直していただきありがとうございます。
お褒めの言葉までいただいて光栄です。
で、「oasis」すですか(笑)
検討させていただきます~☆
おきた