(文中敬称略)
札幌で「美術ペン」の編集にたずさわったり、矢継ぎ早に著書を出すなど、活溌に活動している美術評論家の柴橋伴夫による企画展。
出品者は、朝地信介、伊藤洋子、小林文夫、駒澤千波、笹山峻弘、平向功一(以上札幌)、内崎さき子(江別)、西谷正士(登別)、羽生輝(釧路)、羽子田龍也(岩見沢)の10人。
最初は、正直なところ、これが「現在」かなあとも思った。
風景を写実的に描く人がわりあい多く、先鋭的な表現を試みる作家がすくないからだ。
しかし、よく考えれば「現在」と「最先端」とは、異なる。
それに、この展覧会は隔年で開いていくというから、いろいろな画風の人がとりまぜて選ばれている方がよいのだろう。
もちろん、お稽古ごとのレベルで花鳥風月をやっている人は入っていないわけだし。
そう考えると、ナットクのいく人選である。
左から
伊藤洋子「アルプス庭園の秋」P80
「ベルベデーレ宮殿の庭からの眺望」P80
羽子田龍也「WEAPON」127.0×99.0
「曇天の日陰の中で」F150
「TOY」127.0×99.0
羽子田(はねだ)は、1970年東京生まれ、東京藝大卒。
道教大の日本画教室が、川井坦の退官で一時なくなっていたが、羽子田の赴任で復活した。
「曇天の…」は昨年の院展入選作。
いわゆる「美しい風景画」ではない。ふつうならドラマもロマンティシズムもないところに、新しい美を発見しようという作者の意図が、地味な配色の画面からつたわってくるような気がする。
「WEAPON」と「TOY」は、一対の作。前者がエレキギターを手にしているのに対し、後者は機関銃であり、題に作者の皮肉がしのばせてあるようだ。
伊藤洋子はウィーンの風景が主題。
日本画の画材でいかにも西洋的な風景を描くとどうなるのか。そういう試みだと受け取った。
右の3点は、
笹山峻弘「聖地へI」177.0×88.0
「聖地へII」177.0×88.0
「KHAJURAHO」55.0×91.5
笹山は、一昨年まで2回ひらかれた、やはりスカイホールの企画展である「風」展のメンバー。
道内の日本画家の大多数が所属する道展や「北の日本画展」には出品していないので、こういう顔ぶれの中で作品が並んでいるという光景自体が、とてもめずらしい。
左端の羽生輝「海霧(07.オダイト)」F150は、次に、正面からの図像を掲載する。
羽生は1941年生まれ。
道東の厳しい自然、そしてそこに生きる人々の、生の原形質のようなものに迫る。
この顔ぶれの中では、会場全体を引き締める重鎮の作と言ってよいだろう。
(以下別項につづく)
08年8月12日(火)-17日(日)10:00-19:00(最終日-17:00)
スカイホール(中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階 地図B)
■第23回北の日本画展(08年5月、画像なし)=平向、朝地、小林、駒澤の各氏らが出品
■笹山峻弘展 インド・チベット紀行(08年5月)
■第2回にかわえ展(08年1月)=駒澤さんが出品
■羽生輝さんが2回目の創画賞(07年、画像なし)
■朝地信介日本画展(07年8月)
■駒澤千波展(07年7-8月)
■第22回北の日本画展(07年3月、画像なし)=伊藤、小林さん出品
■にかわえ展(07年1月)
■笹山峻弘展(06年)
■駒澤千波日本画展(06年)
■第21回北の日本画展(06年)=伊藤、朝地、駒澤、羽生の各氏が出品
■寒椿展(06年、画像なし)=駒澤さん出品
■第2回 風展(05年) ■こちらにも画像=笹山さん出品
■笹山峻弘個展(04年、画像なし)
■川井坦展・北海道教育大学札幌校日本画展(04年、画像なし)=朝地、駒澤さん出品
■笹山峻弘日本画展(03年、画像なし)
■平向功一展(03年7月)
■平向功一展(03年4月、画像なし)
■第18回北の日本画展(03年、画像なし)=朝地、駒澤、羽生の各氏らが出品
■笹山峻弘個展 インド紀行(02年)
■第17回北の日本画展(02年、画像なし)=朝地、平向さんら出品
■第77回道展(02年、画像なし)=朝地、西谷、平向の各氏ら出品
■第76回道展(01年、画像なし)=朝地、羽生、平向の各氏ら出品
札幌で「美術ペン」の編集にたずさわったり、矢継ぎ早に著書を出すなど、活溌に活動している美術評論家の柴橋伴夫による企画展。
出品者は、朝地信介、伊藤洋子、小林文夫、駒澤千波、笹山峻弘、平向功一(以上札幌)、内崎さき子(江別)、西谷正士(登別)、羽生輝(釧路)、羽子田龍也(岩見沢)の10人。
最初は、正直なところ、これが「現在」かなあとも思った。
風景を写実的に描く人がわりあい多く、先鋭的な表現を試みる作家がすくないからだ。
しかし、よく考えれば「現在」と「最先端」とは、異なる。
それに、この展覧会は隔年で開いていくというから、いろいろな画風の人がとりまぜて選ばれている方がよいのだろう。
もちろん、お稽古ごとのレベルで花鳥風月をやっている人は入っていないわけだし。
そう考えると、ナットクのいく人選である。
左から
伊藤洋子「アルプス庭園の秋」P80
「ベルベデーレ宮殿の庭からの眺望」P80
羽子田龍也「WEAPON」127.0×99.0
「曇天の日陰の中で」F150
「TOY」127.0×99.0
羽子田(はねだ)は、1970年東京生まれ、東京藝大卒。
道教大の日本画教室が、川井坦の退官で一時なくなっていたが、羽子田の赴任で復活した。
「曇天の…」は昨年の院展入選作。
いわゆる「美しい風景画」ではない。ふつうならドラマもロマンティシズムもないところに、新しい美を発見しようという作者の意図が、地味な配色の画面からつたわってくるような気がする。
「WEAPON」と「TOY」は、一対の作。前者がエレキギターを手にしているのに対し、後者は機関銃であり、題に作者の皮肉がしのばせてあるようだ。
伊藤洋子はウィーンの風景が主題。
日本画の画材でいかにも西洋的な風景を描くとどうなるのか。そういう試みだと受け取った。
右の3点は、
笹山峻弘「聖地へI」177.0×88.0
「聖地へII」177.0×88.0
「KHAJURAHO」55.0×91.5
笹山は、一昨年まで2回ひらかれた、やはりスカイホールの企画展である「風」展のメンバー。
道内の日本画家の大多数が所属する道展や「北の日本画展」には出品していないので、こういう顔ぶれの中で作品が並んでいるという光景自体が、とてもめずらしい。
左端の羽生輝「海霧(07.オダイト)」F150は、次に、正面からの図像を掲載する。
羽生は1941年生まれ。
道東の厳しい自然、そしてそこに生きる人々の、生の原形質のようなものに迫る。
この顔ぶれの中では、会場全体を引き締める重鎮の作と言ってよいだろう。
(以下別項につづく)
08年8月12日(火)-17日(日)10:00-19:00(最終日-17:00)
スカイホール(中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階 地図B)
■第23回北の日本画展(08年5月、画像なし)=平向、朝地、小林、駒澤の各氏らが出品
■笹山峻弘展 インド・チベット紀行(08年5月)
■第2回にかわえ展(08年1月)=駒澤さんが出品
■羽生輝さんが2回目の創画賞(07年、画像なし)
■朝地信介日本画展(07年8月)
■駒澤千波展(07年7-8月)
■第22回北の日本画展(07年3月、画像なし)=伊藤、小林さん出品
■にかわえ展(07年1月)
■笹山峻弘展(06年)
■駒澤千波日本画展(06年)
■第21回北の日本画展(06年)=伊藤、朝地、駒澤、羽生の各氏が出品
■寒椿展(06年、画像なし)=駒澤さん出品
■第2回 風展(05年) ■こちらにも画像=笹山さん出品
■笹山峻弘個展(04年、画像なし)
■川井坦展・北海道教育大学札幌校日本画展(04年、画像なし)=朝地、駒澤さん出品
■笹山峻弘日本画展(03年、画像なし)
■平向功一展(03年7月)
■平向功一展(03年4月、画像なし)
■第18回北の日本画展(03年、画像なし)=朝地、駒澤、羽生の各氏らが出品
■笹山峻弘個展 インド紀行(02年)
■第17回北の日本画展(02年、画像なし)=朝地、平向さんら出品
■第77回道展(02年、画像なし)=朝地、西谷、平向の各氏ら出品
■第76回道展(01年、画像なし)=朝地、羽生、平向の各氏ら出品