庭のバラの続きで。赤いバラはどうしても情熱的、あるいは豪華絢爛といった派手なイメージが付きまとうが、育てるという観点からはなかなか難しいというのが率直なところ。実際、パパメイアンなどを何回も枯らしてしまったことがある。4年ほど前に苗を買って植えてみた、作家(漫画家)の池田理代子が監修したという「ベルサイユのばら」シリーズのうちの「王妃マリー・アントワネット」は見るからに妖艶(あるいは爛熟?)であり、香りも強い。ただ、なかなか育てるのが難しい赤いバラの中であまり手をかけていないのにいつの間にか木も大きく、沢山の花を一斉に咲かせてくれるようになったのは、気候があったせいなのか、あるいは土が良かったのかはわからない。。
ホワイトクリスマスの隣にあるピンクのバラの定番で名の通り花嫁を連想させる。作出からちょうど半世紀を過ぎたところで、その清楚な魅力は衰えていない。素人向きといわれていて、たしかにあまり手をかけなくても次々と花をつけてくれる。色の取り合わせとしては白バラのとなりにあると落ち着きが良いように思う。
花嫁、ということで思い出したのは、先週訪れたウエストミンスターアビーの前庭で中国のTV会社が花嫁衣裳のモデル(だと思うが)の撮影をしていたこと。曇り空の下、地味な服装ばかりの観光客の好奇の視線を受けながらも堂々とポーズをとっていたのが印象的だった。たぶんこのような企画は世界中の観光名所ならどこででも行われているのだろう。
しばらく留守にしていて家に戻ってみたらバラが一斉に咲き始めていた。今年はいつもより少し遅れている。
その中でハイブリットテイー系白バラの代表ともいえるホワイトクリスマスが満開になっていた。雨や病害虫にも弱い大柄なこの品種は、いまのところ真っ白で害虫の被害も受けていない。部屋の花瓶に活けたらかすかな甘い香りが広がってきた。
昨日の朝、羽田から北へ向かう機上で左手に遠く富士山が見えた。窓越しで、そのうえコンパクトカメラなので不鮮明な写真になってしまった。こんな風に飛行機から富士山を見たのは何年振りのことだろう。以前、東南アジアに頻繁に出張していた時分、日本に向かう帰りの深夜便で、羽田が近づいてくる早朝に朝陽を浴びた富士山をやはり左手に見たことが何回かあった。朝陽を浴びた富士山は、月並みだがやはり神々しく見えたものだった。この山は、あるいは仕事の成功を慶んでくれたり、または失敗をも許してくれる寛大さが感じられ、そこまでの眠れなかった夜が報われたように思えたことがある。
幸か不幸か、そういった修羅場から遠くなってしまった今はそんな感慨もただ懐かしく思い出すものだけになってしまった。
ロンドンからの帰途、窓から外をみていると、翼と空の色が刻々と変化して、一日を半分に凝縮したような、あるいは早送りの映像でも見ているいているような錯覚に陥る。船の時代から飛行機の時代へと移行してからもうずいぶん経つのに、人間が1万メートル上空に10時間も滞在するというのは今でもやはり非日常的と言える。
いまだ太陽の日が降り注ぐオランダ上空の明るい空と雲。
夜のとばりの降りはじめた東欧近辺。空の碧さが美しさを増してくる。
空の色が闇の色へと、徐々に濃くなってくる
ほぼ半月がロシアの南の空に。翼の下に見えるのは金星?
日本海上空で見る朝焼け。
朝陽に翼がまるで太刀魚のように銀色に輝く、新潟付近。