難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

地域における要約筆記者の役割(3)

2008年07月25日 07時47分41秒 | 要約筆記事業
紅いダリア80724-084436.jpg赤紫色のダリア80724-084452.jpgいくら難聴者が地域との接触を避けていても、そこに居住している以上、ゴミの処理から地域住民の寄り合い、冠婚葬祭、子どもの保育、通学など避けられない。高齢になれば、介護サービスを受けるために市町村の窓口、介護支援者とのコミュニケーションも必要になる。

その難聴者に接した近所の住民や市町村の職員、介護や保育のサービス従事者、教職員、自治会役員関係者、各種ボランティア団体、商店街、交通機関従事者が難聴者の特徴とコミュニケーション方法を知っていれば、それだけで難聴者のバリアーはかなり下がるし、またカウンセリングなどの専門的支援や身体障害者日常生活用具、補聴器の給付、購入補助、要約筆記サービスの利用につながる。

特に、高齢者支援ネットワークは地域に構築されているので、そのサービス提供者に難聴支援の必要性の理解やノウハウが入ると高齢難聴者のQOLは格段に高くなる。高齢者が各種サービスを利用するのに要約筆記サービスも併用することが考えられる。

障害者権利条約の批准に伴い、障害者福祉のみならず就労、教育、自治、司法そのほかの分野に、難聴者の権利擁護の手段として要約筆記の登場する割合は格段に高くなる。


地域福祉は、社会福祉法の第一条の目的にその推進が掲げられている。福祉サービス利用者の利益の保護及び地域における社会福祉(地域福祉)の推進を図ることだ。
第3条には、福祉サービス提供の理念として、「個人の尊厳の保持」と「自立生活の支援」が掲げられている。
(続く)


ラビット 記




地域における要約筆記者の役割(2)

2008年07月25日 06時26分23秒 | 要約筆記事業
黄色い花080724-084515.jpg紅い花80724-184936.jpg私たちは、要約筆記事業が地域生活支援事業の名の下で行われることにもっと注意を払うべきだろう。

難聴者は、地域社会から疎外され、また自ら関わりを避けていたということがあるが、そのことも含めて地域社会の中で支えられなければならない。
これが、新しい社会福祉のメインストリームである地域福祉の基本的考えだ。行政と住民が協動して、障害を持つものも持たないものも暮らしやすい、安心して過ごせる地域づくりを目指すことはどういうことか考えてみたい。

要約筆記はどういう支援なのか、一般の難聴者自身は知らないので利用しない。たいていは、難聴者協会や難聴者のいろいろな団体かが例会やイベント等でOHPによる要約筆記が行われているのを初めて見て、知ることになるのではないか。

しかし普及が遅れているのは難聴者のせいでも難聴者協会のせいでもない。聞こえに支障のある人々に要約筆記というコミュニケーション支援サービスがあり、利用を呼びかけるのは行政の本来の役割だ。
障害者自立支援法以前は要約筆記事業は都道府県で行われていたのがほとんどで市町村で実施していたところは少ないので、必須事業化されても障害福祉課の職員ですら知らない。未だに要約筆記者派遣事業を行っていない理由として、ニーズがないというのは話が逆だ。他の市町村、過去の都道府県の事業をみればニーズのあるのは一目瞭然だ。

要約筆記が地域の他の社会資源にどういう支援をするのか、どういう資格を持った人が支援するのかが知られていないことも一因だろう。
(続く)


ラビット 記







地域における要約筆記者の役割(1)

2008年07月25日 06時24分32秒 | 要約筆記事業
ひまわり080724-084530.jpgダリア080724-084452.jpg障害者自立支援法で、要約筆記者等コミュニケーション支援事業は市町村の必須事業となった。

必須事業となったことに多くの意義がある。
一つは、聴覚に障害を持つ人々はコミュニケーション支援を受ける権利のあることが法律で規定された、法定化されたということだ。
それまで、コミュニケーション支援事業、要約筆記事業は厚生労働省の通知によるもので、どこが実施責任を負うのか法的な根拠はなかったのだ。

二つは、コミュニケーション支援が行政の必須事業であるということは、その支援に社会福祉サービスとしての専門性が要求される。
特に財政状況が厳しい現状では、行政はサービスを厳選し優先順位をつけて実施せざるを得ない。誰もが出来る支援、思いやりなどは共生社会では互助として、地域住民が担う必要がある。

三つ目は、市町村の事業であることだ。
市町村の事業というのは、その人の居住する生活の場所で地域の実情に合わせた場所で支援サービスを受けるという「地域福祉」の意味であり、もちろん市町村の財政状況によって受けられるサービスに格差が生じるのはやむを得ないということではない。
本来は、誰でもどこでも日本国民として憲法に保障された健康で文化的な最低限の生活が保障されなければならない。

私たちは、地域福祉の事業として、要約筆記事業がセットされたという意味を深く考える必要がある。
難聴者は、その聴覚の機能障害がコミュニケーションの障害であることから、自治会の祭りや集まり、学校行事など自ら地域社会との関わりを避けてきた。近所の住民との挨拶すら避けたりする。それらの難聴者は移動の困難はない人が広域に活動、社会生活を送っている。
(続く)


ラビット 記