全通研理事会が10月1日付で「骨格提言」に付いて見解を述べている。
見解の概要はうなづけるものだが、障害者の中の聴覚障害者の位置づけのあいまいさ、聴覚障害者と言えば手話を使うろう者の視点しかないことが歴史的弱点だ。
障害者福祉行政に関わる会員も多いのに、もっと聴覚障害者に対する視点を幅広く持つことはできないのだろうか。
障害者自立支援法から聴覚障害者制度改革まで、難聴者当事者組織との関わりは浅くないはずだ。
ラビット 記
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「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」への見解
障がい者制度改革推進会議第18回総合福祉部会において「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下「提言」という)が8月30日に取りまとめられた。
障害者自立支援法廃止後に制定される法律が実現すべき課題として、「障害に伴う必要な支援は原則無償」とされ、応益負担の廃止が明記されたことは、わが国の障害者施策の大きな転換として評価できる。
全通研は障害者制度改革において、「コミュニケーション支援事業(地域生活支援事業)における地域格差や予算不足などの問題点を解決し、聴覚障害者の暮らしや手話通訳制度の向上に結びつくこと」を提言してきた。
今回の提言を見ると、コミュニケーション関連事業の充実については、
1)「地域で自立した生活を営む基本的権利」の中で「障害者は、自ら選択する言語(手話など非音声言語を含む)及び自ら選択するコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、そのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される」とされた。
2)「支援(サービス)体系」の中で、「コミュニケーション支援」は「全国共通のしくみで提供される支援」と位置づけられ「その費用は求めない」とされ「基本的権利の保障であり、自治体の裁量には馴染まない」とされた。
3)「新たな相談支援の枠組み」の中で、15万~30万人の圏域を単位に設置される総合相談支援センターに「手話通訳士有資格者やろうあ者相談員等を配置する」とされた。
コミュニケーションを権利として保障しその基準は国が定める、手話通訳者を聴覚障害者に関わる専門職として位置づける、というこれらの記述は、聴覚障害当事者団体や全通研の提言に沿うものとして評価できる。障害者自立支援法に基づく現行制度と比べると、聴覚障害者の暮らしやすさや手話通訳者の働きやすさを前進させるものとなっている。
しかし、改正障害者基本法の関係する諸規定(アクセシビリティ、コミュニケーション支援担当者、使用言語の選択の自由等)を裏付ける制度はまだ用意されていないこと、コミュニケーション支援は無償とされているが、高額な収入のある者等には、収入に応じた負担を求めるという応能負担の考え方も残されている等の聴覚障害者の情報・コミュニケーション保障に関わる解決すべき課題は積み残されている。
また、総合福祉法の適用範囲の明確化、差別禁止法や当事者団体を中心に検討が進められている情報・コミュニケーション法(仮称)との関係整理という重要な課題も残っている。
全通研は、聴覚障害者団体をはじめとする関係団体と連携して、今後具体的な法案作成過程や法案上程後の国会に対する政策提言等に一層の努力を続ける。
2011年10月1日
一般社団法人全国手話通訳問題研究会理事会
見解の概要はうなづけるものだが、障害者の中の聴覚障害者の位置づけのあいまいさ、聴覚障害者と言えば手話を使うろう者の視点しかないことが歴史的弱点だ。
障害者福祉行政に関わる会員も多いのに、もっと聴覚障害者に対する視点を幅広く持つことはできないのだろうか。
障害者自立支援法から聴覚障害者制度改革まで、難聴者当事者組織との関わりは浅くないはずだ。
ラビット 記
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「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」への見解
障がい者制度改革推進会議第18回総合福祉部会において「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下「提言」という)が8月30日に取りまとめられた。
障害者自立支援法廃止後に制定される法律が実現すべき課題として、「障害に伴う必要な支援は原則無償」とされ、応益負担の廃止が明記されたことは、わが国の障害者施策の大きな転換として評価できる。
全通研は障害者制度改革において、「コミュニケーション支援事業(地域生活支援事業)における地域格差や予算不足などの問題点を解決し、聴覚障害者の暮らしや手話通訳制度の向上に結びつくこと」を提言してきた。
今回の提言を見ると、コミュニケーション関連事業の充実については、
1)「地域で自立した生活を営む基本的権利」の中で「障害者は、自ら選択する言語(手話など非音声言語を含む)及び自ら選択するコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、そのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される」とされた。
2)「支援(サービス)体系」の中で、「コミュニケーション支援」は「全国共通のしくみで提供される支援」と位置づけられ「その費用は求めない」とされ「基本的権利の保障であり、自治体の裁量には馴染まない」とされた。
3)「新たな相談支援の枠組み」の中で、15万~30万人の圏域を単位に設置される総合相談支援センターに「手話通訳士有資格者やろうあ者相談員等を配置する」とされた。
コミュニケーションを権利として保障しその基準は国が定める、手話通訳者を聴覚障害者に関わる専門職として位置づける、というこれらの記述は、聴覚障害当事者団体や全通研の提言に沿うものとして評価できる。障害者自立支援法に基づく現行制度と比べると、聴覚障害者の暮らしやすさや手話通訳者の働きやすさを前進させるものとなっている。
しかし、改正障害者基本法の関係する諸規定(アクセシビリティ、コミュニケーション支援担当者、使用言語の選択の自由等)を裏付ける制度はまだ用意されていないこと、コミュニケーション支援は無償とされているが、高額な収入のある者等には、収入に応じた負担を求めるという応能負担の考え方も残されている等の聴覚障害者の情報・コミュニケーション保障に関わる解決すべき課題は積み残されている。
また、総合福祉法の適用範囲の明確化、差別禁止法や当事者団体を中心に検討が進められている情報・コミュニケーション法(仮称)との関係整理という重要な課題も残っている。
全通研は、聴覚障害者団体をはじめとする関係団体と連携して、今後具体的な法案作成過程や法案上程後の国会に対する政策提言等に一層の努力を続ける。
2011年10月1日
一般社団法人全国手話通訳問題研究会理事会