Ⅳ.障害者総合福祉法(仮称)(新法)作成にあたってのチェックポイントと引き続き検討すべき事項
1.新法作成にあたってのチェックポイント
(1)権利条約、改正障害者基本法の理念を反映した条項になっているか
・インクルーシブ社会の構築
・地域生活の権利の保障(確認)
・24時間介護の保障(対象を身体障害者以外に拡大)
・制度の谷間のない障害者の範囲
・自己決定・自己選択の保障(支援を受けた自己決定を含む)
・本人のニーズに基づくサービス支給決定(障害程度区分の廃止)
・利用者の立場に立ったサービス体系の確立
(2)訴訟団と厚労省との基本合意を反映した条項になっているか
・利用者負担は、支援費制度の時点及び現行の軽減措置による負担額を上回らないこと
・少なくとも市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと
・収入認定は障害児者本人だけで認定すること(ただし、骨格提言においては「児」については世帯主を対象としている)
・介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制の導入を図ること
・どんな重い障害者でも安心して暮らせる支給量の保障と支給決定への障害者の参加の保障
・国庫負担基準と障害程度区分制度との連動のしくみの廃止
【検討を要すべき事項】
①利用者負担の在り方
②支給決定の在り方
③報酬支払い方式
④制度の谷間のない「障害」の範囲
⑤予算の国際水準に見合う額への増額等
(3)骨格提言の6つのポイントを反映した条項になっているか
①障害のない市民との平等と公平
②谷間や空白の解消
③格差の是正
④放置できない社会問題
⑤本人のニーズに合った支援サービス
⑥予算の確保
(4)介護保険との統合を前提とする条項になっていないか
・自立支援法第7条の廃止
・障害程度区分の廃止
・報酬の支払い方式
(5)地域格差の是正を反映した条項になっているか
・地域格差の是正の観点から、全国共通のしくみで提供されるサービス体系の見直し(地域生活支援事業のうち必須事業は原則個別給付へ)
(6)事業の一体性と簡略化された条項になっているか
・GHとCHの一体化
・移動サービス(移動支援)の統一
・コミュニケーション
・日常生活用具給付は、補装具と同様、個別給付化
(7)事業体の経営の安定化と事務作業の簡略化を反映した条項になっているか
・利用者個別給付報酬=事業費(日払い)、事業運営報酬=事務費・人件費(月払い)、在宅系(時間割)
・常勤換算方式の廃止
(8)実施主体・事業体の賛同が得られる条項になっているか
(9)事業が円滑に移行できる条項になっているか
2.検討すべき事項
(1)支給決定のあり方(施行期日、試行事業の内容や実施期間等の全体計画、その間の自立支援法との調整など)
(2)障害者就労支援センターのあり方(同上)
(3)デイ・アクティビィテイセンターの在り方(同上)
(4)パーソナルアシスタンス制度の在り方(同上)
(5)報酬単価については、支給決定(特に、障害程度区分の廃止)及び支援(サービス)体系が決定・実施されるまでは現行基準を適用する
以上のことを踏まえて、24年3月総合福祉法案を国会提出し、24年6月成立、25年8月に施行する