難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

NHKの国会中継の字幕放送の出来ない理由あれこれ。

2012年02月15日 23時41分08秒 | 放送・通信
NHKの国会中継に字幕放送を要望した人への回答がFBで紹介されていた。
NHKの字幕放送が出来ない理由を述べているが、「字幕付加に便利な機械」の登場を待つとはあまりにも無責任だ。
現実に聞こえない人が放送に、国会議論にも政見放送にもアクセス出来ない状況がもうかれこれ20年以上続いているのだ。

普通は、このやり方が効果がないと分かれば次善の策を講じるものだが、それすらもしていない。
その理由は何か。
生放送の字幕制作に、10人以上の要員が必要なこと、事前に手配出来ないこと・・・
「はあ?」となってしまう。
「事前に」というのは確かだ。オリンピックも、英国の皇太子の結婚式も、紅白歌合戦も生放送でも事前にスケジュールや内容がわかっているものには、字幕放送が実施されている。
何のために「事前に」か。
事前に要員の手配、要員がその番組で出るであろう言葉の調査、登録、その他の作業が必要なのだろう。
それにしても、10人も制作要員がいるとは、欧米に比してべらぼうにコストが高い訳だ。
その10人を貼付ける理由は何か。
字幕に間違いがあってはいけないために、認識された言葉が誤変換していないかを確認、修正する人も必要だからだ。

なぜにそんなにコストをかけてまで正確さを期すのか。
放送法では、間違ったことを放送することが許されない。放送事故になるのだ。
字幕放送をしないことが放送事故にならない方がおかしいと思う。

ラビット 記
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いつもNHKの番組やニュースをご視聴いただき、ありがとうございます。
このたびは国会中継の字幕放送についてのご意見をお寄せいただきまして、誠にありがとうございます。

国会中継への字幕付与については、さまざまな角度から検討していますが、以下の理由から、現時点では字幕付与には至っていません。

○正確さが保証できない
質問・答弁ともに政治・経済・外交等々の専門用語や、外国語が多く使用される。
また、会話形式のため、正確な発話ではなくニュアンスで伝えようとする場面も多々ある。
このため、通常番組と異なり事前に台本や原稿が入手できない中、正確にしかも逐語で文字化することは極めて困難である。
○字幕の遅延
一般的な生字幕番組では、発話から10~20秒程度字幕が遅延する。このため、番組終了間際の字幕は表示されない。
国会中継の場合も同様となるが、終了間際の発言を字幕表示できないことは、質疑・応答形式の中継では公平性を欠く。

○要員手配が困難
「国会中継」の実施が決まるのは、前日夕方である。
*月曜の「国会中継」は金曜夕方に決定
生字幕を担当する多くの要員を前日夕方に手配することは非常に困難である。
 
例:最低限必要な要員数 10人
ただし、緊張感の持続等を考えると2時間の作業が限度なので、複数クルー必要。

こうした理由から字幕放送に至っておりません。
ただ、今後、字幕を付与する便利な機器が開発されれば可能にはなってきます。
こうした外部状況も見極めながら視聴者の皆さまへのサービス向上に努めてまいります。

今後とも、NHKをご支援いただきますようお願いいたします。
お便りありがとうございました。

NHKふれあいセンター(放送)
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NHK24-26経営計画の20ページ「生番組の字幕放送を拡充するとともに・・・」
www3.nhk.or.jp/pr/keiei/plan/pdf/24-26keikaku.pdf

声明 障害者総合福祉法骨格提言の実現を今こそ求める

2012年02月15日 22時00分46秒 | 障害年金問題
2012年2月14日
声明 障害者総合福祉法骨格提言の実現を今こそ求める

聴覚障害者制度改革推進中央本部 本部長 石野富志三郎
構成団体 財団法人全日本ろうあ連盟
     社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
     社会福祉法人全国盲ろう者協会
     一般社団法人全国手話通訳問題研究会
     一般社団法人日本手話通訳士協会
     特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会


 2月8日の総合福祉部会資料において「厚生労働省案」が公表されました。私たち聴覚障害・盲ろう当事者及び支援者6団体で構成している聴覚障害者制度改革推進中央本部は、同案についてまったく同意できません。

 昨年8月、障がい者制度改革推進会議第18回総合福祉部会において「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下「骨格提言」という)が取りまとめられました。骨格提言は、聴覚障害者、盲ろう者を含む当事者・関係者55人により構成される同部会が一年にわたり議論した成果です。
障がい者制度改革推進会議は、障害者の権利を保障するための障害者権利条約に基づいて設置され、権利保障ではなく自己負担を伴うサービス提供という現在のわが国の障害者施策を抜本的に改正しようと論議を進めてきました。その成果である骨格提言は十分に尊重されなければなりません。
ところが、厚生労働省案には骨格提言の内容がほとんど盛り込まれず、障害者自立支援法を一部改正する内容となっています。私たちは、障害当事者・関係者の取り組みの成果を軽視するこの案に同意することはできません。
 また、2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟の原告団と国(厚生労働省)との和解により締結された基本合意文書では「障害者自立支援法の廃止と新たな福祉法制の実施」等が明記されていますが、今回の厚生労働省案は、合意事項が全く反映されていません。

 そして、厚生労働省案には、私たちが強く求めているコミュニケーション支援関連の記載がまったくありません。
聴覚障害者の生活に関わる情報アクセス・コミュニケーションを権利として保障し、相談支援にかかる情報・コミュニケーションのバリアを解消すること、コミュニケーション支援及び通訳・介助支援を全国一律の仕組みとして地域格差を解消すること、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳・介助員の身分保障等、私たち聴覚障害・盲ろう者関係団体のこれまでの要求に全く応えていません。聴覚障害者の暮らしや手話通訳者等業務の改善には結びつかない内容であり、私たちを大きく失望させる内容です。

 「すべての聴覚障害者に、情報アクセス・コミュニケーションの権利を保障する法制度の実現を求める要望書」全国116万人余の署名運動、「We Love コミュニケーション」パンフ普及の取り組みが示すとおり、情報アクセス・コミュニケーションの権利保障を求める私たちの要求は、幅広い国民の理解を頂いております。

 今回の厚生労働省案は、全国の障害者をはじめ、私たちの要求にはまったく応えていない内容であることを確認し、国(厚生労働省)、国会に対して、以下のことを強く要求します。



1.新法は、障害者総合福祉法の骨格に関する提言と、障害者自立支援法違憲訴訟団の基本合意文書を尊重したものにすること。

2.聴覚障害者、盲ろう者の情報アクセス・コミュニケーションの権利を保障し、そのために必要な支援体系を構築し、情報アクセス・コミュニケーション支援を保障すること。

以 上