難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

障害者自立支援法延命の厚労省案に、地方マスコミから批判(2)

2012年02月16日 21時46分37秒 | 障がい者制度改革
神奈川新聞社説=障害者総合福祉法 提言の無視は許されぬ 2012.2.16
http://news.kanaloco.jp/editorial/article/1202160001/

 現行の障害者自立支援法を廃止し、2013年8月までに施行する目標の「障害者総合福祉法」(仮称)について、内閣府の諮問機関「障がい者制度改革推進会議」の総合福祉部会に厚生労働省案が示された。
 法案の方向性を示す概要だが、昨夏に同部会がまとめた骨格提言をほとんど無視した内容ともいえよう。部会の委員や障害者団体は強く反発しており、徹底した再検討が必要だ。
 厚労省案は、わずか4ページの簡略な中身だ。例えばサービス支給について、骨格提言は障害程度区分に代わる新たな支給決定の仕組みを求めた。これに対し、同省案は「法の施行後5年を目途に、障害程度区分の在り方について検討を行い、必要な措置を講じることとする規定を設ける」とした。現行の障害程度区分を維持したまま、部分修正のみ検討するという姿勢だ。

 新法制定ではなく、障害者自立支援法の一部改正にとどめようとする同省の姿勢が表れている。
 佐藤久夫部会長の整理では、骨格提言の内容60項目のうち、同省案で全く触れられていない事項が48項目にも上った。検討されているが、その内容が不明確なのは9項目。不十分ながら骨格提言を取り入れている事項は3項目にすぎなかった。

 委員からは「骨格提言を無視した内容であり、到底認めることはできない」「(国と障害者自立支援法訴訟原告との間で結ばれた)基本合意に反する。国は詐欺を働くのか」などの激しい反発の声が上がったという。
 骨格提言は、障害者、関係団体の代表らが一堂に会し、18回もの会合を重ねた末に一定の共通見解に達した歴史的な文書だ。
 障害者の地位を保護の客体から権利の主体へと転換し、障害者権利条約の精神を実現させるものだ。提言に基づく新法は、障害者福祉を大きく前進させるものとして期待されていた。

 厳しい財政状況下で、具体的なサービス支給には柔軟な対応もやむを得ないだろう。しかし、骨格提言が示した障害者の権利の在り方、制度の骨組みの具体化を法案で目指さなければ、部会を設置した意味がなくなる。
 障害者らは裏切られた思いだろう。深刻な不信感、政治・行政との亀裂は、今後に禍根を残す。政府与党は骨格提言に基づく制度づくり、工程表作成に真剣に取り組むべきだ。

◆2◆ 障害者自立支援法の確実な廃止を求める日弁連会長声明の報道から

○毎日新聞=日弁連:障害者自立支援法の廃止求める声明 2012.2.16
http://mainichi.jp/life/today/news/20120216k0000m040122000c.html 

 日本弁護士連合会(日弁連)は15日、障害者自立支援法の確実な廃止を求める会長声明を出した。
 同法を巡る違憲訴訟は、廃止と新たな福祉法制の実施を条件に国と原告団が10年に基本合意書を交わし、和解した。厚生労働省は、今国会に提出する予定の改正案を名称や理念を改めた新法とみなし、事実上廃止とする方針。声明では「廃止を明確にしておらず、新たな法制度を規定する法案が準備されているのか、重大な疑義を生じさせる。訴訟上の和解において確約した内容とは相いれない」と指摘している。

○2月15日の日弁連会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120215_2.html

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◆障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会◆
ニュース 2012.2.16 第185号(通巻293)
http://www.normanet.ne.jp/~ictjd/suit/
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総合福祉法骨格提言実現をめざす地域フォーラム

2012年02月16日 21時43分42秒 | 障害年金問題
◆5◆ 各地のフォーラムの成功を

2月18日:愛知 鯱城ホール/主催:愛知障害者フォーラム/講師=森祐司
2月25日:富山 富山県教育文化会館/主催:富山県障害者施策推進
 フォーラム協議会/講師=藤井克徳
2月25日:東京 新宿NSビル/主催:JDF地域フォーラム実行委員会/
 講師=東俊裕・森祐司
2月26日:愛媛 調整中/講師=東俊裕
2月29日:京都(全関西集会) 京都テルサ/主催:同実行委員会/
 講師=藤井克徳

◆みんなの手でつくろう!障害者総合福祉法を! 全関西集会
 日時:2月29日(水)
 時間:13:30~16:00(13:00開場)16:30~17:30(京都駅までデモ行進)
 場所:京都テルサ(京都府民総合交流プラザ)
 資料代:500円 ※手話通訳、要約筆記、点字資料あり  申込み:不要
 主催:「2/29 総合福祉法を求める 全関西集会 実行委員会」
 連絡先:大阪障害フォーラム(ODF)事務局
     〔障大連〕TEL 06-6779-8126 FAX 06-6779-8109
http://dpi.cocolog-nifty.com/mailmg/2012/20120214kyouto_zenkansai.do

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厚労省案に地方マスコミが一斉批判。

2012年02月16日 21時37分55秒 | 障がい者制度改革
◆1◆ 「なぜ変節したのか、説明責任を果たせ」東京新聞社説 2.16
    「提言の無視は許されぬ」神奈川新聞社説 2.16
    地方紙社説がビシバシと厚労省案を批判

○東京新聞社説=障害者の新法 現場の声を忘れるな 2012.2.16
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012021602000064.html

 民主党政権は公約の「障害者自立支援法の廃止」を反故(ほご)にするのか。障害者が十分な支援を得られない欠陥を残したまま厚生労働省は法律を温存する構えだ。
なぜ変節したのか、説明責任を果たせ。
 二〇〇六年に施行された自立支援法は身体、知的、精神の障害ごとにばらばらだった福祉サービスを一元化し、効率化を図った。だが、出足から評判が悪かった。
 サービス利用料の原則一割を支払うルールを取り入れたため、収入の低い人や障害の重い人ほど負担が急増した。授産施設では工賃が負担を下回るという逆転現象さえ生じ、サービスの利用を我慢する人が相次いだ。
 人権侵害だとして全国各地で違憲訴訟が一斉に起きた。この国の障害福祉行政は一体どこを向いて仕事をしているのだろうか。
 民主党政権もそんな自立支援法を問題視したからこそ原告団と和解し、法の廃止と新法の制定を約束したのではなかったのか。そして現場を熟知する障害者や家族らの知恵を借りようと、新法の枠組みづくりを委ねたはずだ。
 その現場の声は昨年八月に骨格提言として集約された。閣議決定通り今国会に向けて法案化されると信じたのに、新法案と称して厚労省が示したのは現行法の仕組みを維持した案にすぎなかった。

 提言内容はことごとくないがしろにされた。とりわけ問題なのは障害程度区分と呼ばれるシステムが残ることだろう。障害が軽いか重いかで障害者を六つのランクに分ける物差しだ。
 心身の機能や能力についてコンピューターを使ったり、専門家が話し合ったりして調べる。そして本人のいないところでそのランク、つまりサービス内容を一方的に決めてしまうのである。
 全国一律の客観的な物差しを使い、自治体によってサービスにばらつきが出ないようにするのが建前だ。裏を返せば、障害者がどんな暮らしを望み、どんな支援を求めたいのかという肝心要のニーズには応えないシステムだ。
 食事や排泄(はいせつ)、移動、コミュニケーションといった身の回りの支援は、障害者にとって命綱である。障害者が健常者と同じように社会生活を送るための必要最小限の手段だ。売り買いを目的とした商品ではない。

 いくら「障害者と健常者の共生社会の実現」と理念を掲げ、法律の名前を変えても、中身がそのままなら世界の六割が加盟する障害者権利条約の批准も危うい。

◆3◆ 本音のコラム「障害者の尊厳」
東京新聞 2012年2月16日
本音のコラム 障害者の尊厳  竹田茂夫(法政大教授)

先週、厚生労働省は悪名高い「障害者自立支援法」の改革案を出した。
だがこれが通れば、数ある民主党の公約違反のなかで最も露骨なものになるはずだ。

同法は、小泉改革の熱狂のなかで二〇〇五年に成立したもので、障害者福祉を彼らの権利ではなく、行政が提供し障害者が対価を払って享受するサービス、つまり準市場として捉える。この理念は選択・競争・契約主義を建前にする介護保険制度に通じる。

だが実施されると、食事・身体移動・発話・作業など人間の基本機能に関して障害の重い者ほど高い利用料(一割負担)を払うことになり、サービス断念が相次いだ。自立支援どころか自立を阻害したのだ。大規模な反対運動は全国の違憲訴訟へ集約され、一昨年一月、人間の尊厳を深く傷つけた同法は廃止するという政府の劇的な謝罪で和解へと至った。

福祉を市場に見立てる考え方は英国の「第三の道」で打ち出された。価格の誘因効果で福祉のただ乗りを、資源配分効果でサービスの供給過剰を防ぎ、同時にサービス享受者の主体的選択を可能にするというわけだ。素晴らしい経済理論だ。だが理論と現実がこれほど乖離するのも珍しい。

福祉サービスを生存・生活の絶対条件とする障害者に「選択」の余地はあるのか。

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コミュニケーションの保障とコミュニケーション支援

2012年02月16日 12時49分20秒 | 障害年金問題
コミュニケーションの保障を権利として求めるとは言うが、 コミュニケーション支援の権利を求めるとは言わないのはなぜか。

コミュニケーションには障害者権利条約や障害者基本法のようにあらゆる形、手段が保障されることを求めているが、聴覚に障害を持つ人たちの問題で言えば、手話通訳、要約筆記のように人的資源によるサービス、これをコミュニケーション支援と言っているが、この他に補聴器や磁気ループを使って自らの機能を補償する場合もあるからだ。環境整備もある。

東京は雪だよ。お昼に外に出たら、ちらほらと。
写真は通勤途中の多摩川。

ラビット 記

日弁連会長が声明発表!障害者自立支援法の確実な廃止を

2012年02月16日 00時11分39秒 | 障がい者制度改革
◆2◆ 日弁連会長が声明発表! 2月15日
障害者自立支援法の確実な廃止を求める会長声明 

声明を発表し、野田総理大臣、小宮山洋子厚労大臣宛てに執行し、
厚労委員会、内閣委員会所属の全議員に送付されます。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120215_2.html

    障害者自立支援法の確実な廃止を求める会長声明  

 2012年2月8日、第180回国会に提出予定の「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(仮称)」につき、厚生労働省より内閣府障がい者制度改革推進会議総合福祉部会に「厚生労働省案」が示された。

 当連合会は、2011年10月7日に開催した第54回人権擁護大会において、「障害者自立支援法を確実に廃止し、障がいのある当事者の意見を最大限尊重し、その権利を保障する総合的な福祉法の制定を求める決議」を満場一致で採択し、障害者自立支援法の廃止と新しい法律の制定を国に強く求めてきた。

 国は、2010年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との間で、障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し新たな総合的な福祉法制を実施することを確約する「基本合意文書」を交わし、全国14か所の地方裁判所において、同合意を確認する内容の訴訟上の和解を成立させた。

 そして国は、内閣総理大臣を本部長とする障がい者制度改革推進本部の下、障がいのある当事者も参加した障がい者制度改革推進会議及び総合福祉部会を設置し、新たな法制度のための議論を経て、同部会は2011年8月30日付けで「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言-新法の制定を目指して-」(以下「骨格提言」という。)を公表した。この骨格提言には、上記「基本合意文書」が指針の一つとなったことが明記されている。

 ところが、今回示された厚生労働省案は、障害者自立支援法の名称を見直すことを検討するものの、その廃止を明確にしておらず、かつ、保護の客体から権利の主体への転換を図り地域での自立した生活を営む権利を保障するという重要な規定を設けないなど、骨格提言の主要な改革点についても法制度上の手当を予定しない対応としており、骨格提言に基づく新たな法制度を規定する法案が準備されているのか、重大な疑義を生じさせるものとなっている。

 また、もし、法案が厚生労働省案のような内容であれば、国が基本合意文書及び訴訟上の和解において確約した内容とは相容れないものであり、誠に遺憾といわざるを得ない。

 当連合会は、国が、上記「基本合意文書」に基づき、障害者自立支援法を確実に廃止し、骨格提言を尊重した総合的な福祉法案を上程するよう、強く求めるものである。

2012年(平成24年)2月15日
日本弁護士連合会 会長 宇都宮 健児

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