あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

野菜の話

2013-04-09 | 
家では色々な野菜を育てている。
効率性だけ考えれば季節に合わせ一種類だけ育てればいいのだが、それではつまらない。
いろいろな物を食べたい、というのは人間の基本的な欲求である。
であるのでそれに沿って色々な野菜を作っているわけだ。
葉っぱものでは、シルーバービート、ほうれん草、キャベツ、レタス、こぼれ種から水菜なども育っている。
シルバービートは増えに増えて駐車場の砂利の隙間からも大きいのが育っている。
この野菜は市販の物はアクが強く、それで敬遠してしまう人もいるが、我が家のは土が良いのかアクがほとんどない。
ほうれん草のようにバター炒めにしてもよし、おひたしもよし、胡麻和えもよければ、味噌汁の具でもよい。
ホワイトソースにも合うのでグラタンやラザーニアにもこれを入れる。これで作る餃子がまた旨い。和洋中なんでもよしという野菜である。
レタスも時期が来ると勝手に芽が出て、周りの雑草を取り除いてあげれば良く育つ。
サニーレタスやコスレタスのような葉っぱをちぎって食べる物もあるし、玉になるレタスも育つ。
その辺で勝手に花を咲かせているので、来年もまた適当に芽が出てくるだろう。
思えば数年前、この家に移り住んできた時。庭は手入れがされておらず雑草がおいしげっていたのだが、雑草を刈り取った所に芽生えたのがこのレタスだった。
「ここに雑草も生えないぐらいレタスが茂って、そこから食べる分だけ取って食べられたらいいな」
その時はそう思った。
数年経ち、今その場所は立派な畑となり、色々な野菜で我が家の食卓を賑わせてくれる。
こうなればいいな、という思いは実現するのである。

ネギ類も豊富だ。
ネギはなんといっても強いのが良い。
放っておいても育つが手をかけてあげればもっと良く育つ。
餃子に欠かせないニラは株でも種でも育つ。
ニラの株分けは、これからやる事リストの一つだ。その前に土を耕さなくてはならないが。
赤玉ねぎも上手くできたし、庭の片隅には万能ネギもあさつきもある。
日本の長ネギも好調である。地面に深く植え、どんどん土をかぶせてあげれば白く甘い部分ができる。
これを串に刺して焼けば、それだけで立派な一品である。
固くなった葉はスープのダシをとったり、柔らかい葉っぱは肉じゃがやモツ煮などの煮物にもよい。
残った根っこを地面に戻しておけばそこからまた生える。
ネギの仲間かどうか分からないが、ニンニクも自家製。
1年分のニンニクを育て、乾燥させて編んで使っている。

豆類はソラマメを筆頭にランナービーンズ、インゲン、えんどう豆を作っている。
ソラマメは女房の好物なので毎年大量に作る。塩茹でにするとビールのおつまみによい。
ランナービーンズも好調で食べきれないぐらいに採れた。
えんどう豆は植えた場所が悪かったのか、芽を小鳥に食べられてほとんど育たなかった。まあこういうこともあるだろう。
枝豆を何回か試したが、昼夜の温度差が大きすぎるからか上手く育たなかったので最近は作っていない。
ネルソン辺りではよくできるそうだが、クライストチャーチではだめなのだろう。
ダメなものはあきらめ、この地で良く育つ物を育てればいいと思う。

根菜は人参、大根、ごぼう、じゃがいもなどなど。
大根は日本の『ときなし』という種類の種を売っていてそれを育てている。
ごぼうも『たきのがわ』という種類のものである。
最近ではこういう日本の野菜の種を売っているのがうれしい。
こういった根菜があるとモツ煮などの煮物が充実する。
人参は生でもたべられるのでサラダにも入れる。
ジャガイモはきっちりと畑で作ってはいない。
適当なところから雑草のように芽が出たものを育てるぐらいだが、取れたてのイモは塩茹でだけで充分に旨い。

夏野菜で言えば、トマト、きゅうり、ズッキーニ、茄子、ピーマン、とうがらし、かぼちゃ。
トマトは苗を買ってきて育てる。実が大きくなる種類とチェリートマトを4株ほど。
きゅうりはこれも日本のもの。立派なものがいくつも取れ、味噌をつけてもろきゅう、薄切りにしてサラダにと美味しくいただいた。
ズッキーニは3株。どれも良く育ち、うっかり収穫を忘れると30cmぐらいの大きさに育ってしまう。
ズッキーニは油と相性がいいので天ぷらも旨いし、オリーブオイルにニンニクをいためて香りをつけ薄く切ったのを塩コショウでシンプルに焼くというのも良い。
茄子も日本の種。実はこぶりだが味は良い。
今年は露地でやったので育ちはいまいちだったが、来年は温室で育ててみようと思う。
ピーマンも一株だけ育ててみた。
これも実はいくつかつけたが茄子同様だった。
とうがらしは鉢で植えたがこれまたよくできた。すごく辛いのと全然辛くないのができて食べてみるまで分からないというギャンブルのような所が好きだ。
生の唐辛子を刻んでタイサラダに入れるのも良い。もちろん焼いても揚げても良い。
かぼちゃは2種類。日本のくりかぼちゃと西洋カボチャ。
くりかぼちゃはおなじみ皮は緑で実は黄色のホクホクしたカボチャである。
これは天ぷらも旨いし和風に煮るのも旨い。
西洋かぼちゃは水気が多いので煮物よりオーブンで焼くのが旨い。
大きい実は人にあげたりもするが、小さいのもゴロゴロできる。
かぼちゃは堆肥の中から勝手に芽を出すので、時期が来るとそこらじゅうかぼちゃだらけになる。
そういったものは皮を剥き煮てペースト状にして、うちの卵とかぼちゃプリン。これがまた絶品である。
夏の野菜と呼べるのかどうか、ひまわりも今年は4株植えた。
大きな花をつけ、この前、種を収穫した。
家族で種の殻を割り実を取った。
これをフライパンで炒めると香り香ばしい木の実のような立派な食べ物となった。
これはサラダに振って食べるのが我が家のお気に入りである。

ハーブ、香草も何種類か。
コリアンダーはタイ料理に欠かせない。我が家自慢のチキンライスもこれを入れる。
この時期、種がたくさんついたので、来年はその辺から芽が出るだろう。
セロリもこぼれ種からそこらでできている。
野菜として食べるには株が小さいが、カレー、ミートソースなど煮物の香味野菜にするぐらいには育っている。
煮物と言えば、月桂樹の葉っぱ。
これは家の裏に植えた月桂樹の木が育ち、枝を剪定した後の葉っぱを乾燥させたもの。甘い香りが良い。
パセリもこぼれ種から立派な株が育った。
葉っぱをみじん切りにしてサラダに入れるし、茎は香りつけに煮物に入れる。
今は花が咲き種をたくさんつけたので来年も又その辺から芽を出すだろう。
バジルも一株植えたが、これが育ちに育って大きな株になった。
スパゲッティ・ジュノベーゼでもやってみようかな。
日本の香草、シソも好調。シソの葉っぱの天ぷらなんてのも好きだし、自家製スモークサーモンと一緒に食うのも旨い。
去年シソが大量に取れた時には、ジュノベーゼのバジルの代わりにシソを使ったシソベーゼが旨かった。
日本の野菜、春菊もあるが葉っぱを取る前に花が咲いてしまった。
ふき、そしてみょうがもあるがこれは植えた場所が日当たりが良すぎたのだろう、あまりうまく育っていないのでまだ収穫にはいたっていない。家の影のじめじめした場所に植え変えてあげようと思っている。
番外編は山芋。
苗をもらい、木が生い茂っている場所に植えて3年。そろそろ採っても良い頃だ。
これもうまくやれば増やせるだろうから、食べる分と増やす分を分けていくだろう。

果物に関してはいちご、ラズベリーがそこそこ取れる。
ニワトリコーナーには果物の木を何本か植えてある。
3年前に植えたリンゴの木、品種は冨士。これが今年は大きな実を10以上もつけた。
いちじくはまだ木が小さくて実も小さいが順調に育っているので、ゆくゆくは食べられる大きさの実をつけることだろう。
その他、洋ナシ、桃、フィジョアも成長中。これからが楽しみだ。

こうやって見てみると我が家の菜園は実に充実しており、野菜はほとんど買わないで済む。
僕は時間がある時はほとんど庭にいて、何かしら畑の仕事をしている。
植物によって日当たりを好む物、日陰を好む物。水をそれほど必要としない物、水をたっぷりやらないと育たない物、などなど個性がある。
コンパニオンプラントと言い、一緒に育てると良く育つ野菜、又は相性の悪い野菜もある。
連作障害の出る野菜は適当に場所を変えて植えるし、毎年同じところで育つ野菜もある。
さらに農業の基本は土作りである。
家では堆肥も作るし、ニワトリの糞はおがくずと混ぜて肥料にしている。
自分の敷地でこういうサイクルができるのは嬉しいことだ。
土に埋めた堆肥を犬が掘り起こしてしまったりとハプニングもあるが、こういう作業は楽しいことである。
働くという言葉の語源は、はた(他人)らく(楽、楽しい)他人を幸せにすることから来ている。
人を幸せにするには自分が幸せでなければできない。
働いてお金を稼いでそのお金で食べ物を買う。
これが今の資本主義社会の根底である。
今、その経済というものが崩壊しつつある。
それは本来、人を幸せにするための労働が、自分の利益のためだけに苦痛をともなった仕事となっているというのが一つの要因だと僕は思っている。
僕が野菜を作るのに費やす時間は少なくない。
できた野菜は売らないので、この労働ではお金を全く稼いでいない。
だがこれはお金を稼ぐための労働ではなく、人類が生きていくための労働なのである。
そういう仕事はやりがいがあるし、やっていて気持ちが良い。
何より自分を含め周りの人が幸せになれる。
直感に基づいた行動に間違いはない。
僕の直感がささやいている。「聖よ、次は温室じゃ。温室を作るのじゃ」
仕事もヒマになってきたし暖めておいた温室計画をそろそろ始めようかな。
コメント
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