休みの日だが、このところ山歩きの仕事が続いたので、山に行く気にもならず。
それよりも細々とやることが溜まっている。
掃除、洗濯、家から持ってきた卵が古くなる前にマヨネーズも作りたいし、仕込んだビールの一時発酵が終わり瓶詰め作業の段階になった。
今回のビールはピルスナー。
夏らしくさっぱりしたビールを飲みたいからね。
以前、友達が作るのを手伝ったことがあるので、どんな具合かはなんとなく分かる。
2時間ぐらいかけて750cc入りの大瓶30本ができた。
2週間ぐらいで飲めるそうだ。楽しみである。
マヨネーズはどっさり作り友達にもおすそ分け。
最近ではマヨネーズを買うのがバカバカしくなった。
それは大手のマヨネーズ会社がどういうやり方でマヨネーズを作っているか、商社の人に聞いたこともあるが、なにより自分の所で食べきれないぐらいの卵を使わない手はない。
その代わり素材は厳選する。
マヨネーズは基本的に油、酢、卵、塩コショウで作る。
それぞれの素材で本物を使えばそれだけで旨くなる。
卵は家の卵、できるだけ新鮮なものを常温で使う。
油は米油、酢は純米黒酢、塩はブレナムの海の塩、胡椒はガリガリ削るやつ、ええい景気づけに粒マスタードも入れちゃえ、と調子に乗ってたくさん作ってしまった。
それならそれで友達に喜んでもらえるだろう。
その他、包丁研ぎ、洗濯などもろもろの事をしていたら夕方になってしまった。
その晩は友達のキヨミちゃんの家にお泊りをすることになっていた。
キヨミちゃんはパートナーのマイクと一緒にとあるビジネスをしている。
僕達がよく歩くルートバーントラックは全長32km、普通なら2泊3日で歩く、ニュージーランドで一二を争う人気トラックだ。
問題なのはスタートとゴールが違うのでレンタカーで旅をしている人は困ってしまう。
そこで彼らがお客さんの車を運転してゴール地点へ運び、彼らはその二泊三日の行程を一日で走り抜けてしまう。
そんな彼らしかできないようなビジネスを数年前から始め、今では需要が増え大人気。
人を雇ってやりくりするくらいに会社は成長した。
同時にグレーノーキーという場所に土地を買い、コツコツと自分達で家を建ててしまった。
車で40分ぐらいかかる所なので泊まりで遊びに行くことになった。
泊まりなら安心して飲めるからね。
「生ハムがあるから好きにやって。ご飯を作ってくれたら嬉しいから」
キヨミちゃんからそう言われて、家に行き秘密の鍵の隠し場所で鍵を開け中に入り、まずはキヨミちゃんの旦那のマイクが作ったビールを勝手に冷蔵庫を開けて飲む。
以前はさすがに一言聞いていたが、最近では何も聞かずに勝手に飲む。
遠慮とか一切なく自分のもののように飲む。
ビールを飲んで、山を眺める。
白い氷河を乗せたマウント・アーンスローが正面に見える。
うむ、悪くないぞ、これは。
庭に出れば野菜があるわあるわ。
大根、チンゲン菜、レタス、アーティチョーク、ジャガイモ、ソラマメ、ねぎ類、その他いろいろ、およそこの気候で育つであろう全ての野菜がある。
庭の片隅というかかなり広い範囲でニワトリコーナーがあり、二羽ニワトリがいる。
自給自足を目指す方向が同じだと、互いに何をやっているか分かる。
他人の庭だが、何を収穫すべきか、それによって献立を考える。
どれどれキッチンには、やはりというか予想通りというかジャガイモがゴロゴロ。
芽も出始めている。きっと庭で取れたものなんだろうな。これは使わねば。
生ハと一緒にポテトサラダだ。
こんなこともあろうと、自家製マヨネーズを持ってきたのだ。
ビールを飲みながら芋の皮を剥き、ゆでる。
ゆでたてのところに塩と酢できっちりと下味をつけるのがコツだ。
さてと生ハムね。
カウンターの上にはどかーんと豚の桃肉のかたまりが居座っている。
重さは4キロぐらいはあろうか。
生ハムなんていうと高級肉屋で、透けるくらい薄切りのが数枚でパックされているのを見たことがある。
旨そうだが高すぎて買えないというイメージだが、もともとはこういう塩漬け肉の塊を薄切りしただけの話だ。
試しに数枚切ってポテトサラダ用にフライパンで焼いてみたがこれがすこぶる美味い。
塩加減もほどよく、ああ、いかん、こんなのビールが進んでしまうではないか。
ガバガバビールを飲みながら料理をしているとマイクが帰ってきた。
「よう、兄弟、元気でやってるか?」
「おう、もう好い心地でやってるぜ」
固い握手を交わし、そして乾杯。ここでは乾杯の時に目を合わすのが流儀だ。
そうこうしているうちにキヨミちゃんもフラットメイトのロンも帰ってきた。
キヨミちゃんとの付き合いも10年以上になるだろうか。
元看護婦だが若いときにここへきて、山のガイドなどかなりワイルドなことをやってきた。
今ではルートバーンを週に何回も走るという、彼女でしかできないことを仕事としてやっている。
何年か前にはブロークンリバーで一緒に滑ったし、家庭菜園のやり方など何かと共通時効が多い友達である。
ロンは去年までルートバーンの山小屋の管理人で、何回も会っているので話が早い。
本日のメニューは前菜にアワビの煮しめ。
この前トモ子がお土産に持ってきたアワビは、山に住む彼らには最高のご馳走だ。
生ハムスライスを皿に並べ、刺身っぽく生肉で一皿。
そしてメインのハムステーキは、マイクが帰りがけに取って来たクレソンをどっさり敷いてその上に。
あとは大き目のサラダボールたっぷりのポテトサラダ。
これで充分でしょう。
飯は美味く、話は尽きず、酒も尽きず。
さらに彼らとの距離が縮まった一晩だった。
こんな休日も最高。

温室はないが板ガラスを上手く利用している。

野菜は豊富だ。

庭には二羽ニワトリ

自家製ビールの樽が当たり前のようにキッチンの隅に居座る。

生ハムとはもともとはこういうものなんだよね。
それよりも細々とやることが溜まっている。
掃除、洗濯、家から持ってきた卵が古くなる前にマヨネーズも作りたいし、仕込んだビールの一時発酵が終わり瓶詰め作業の段階になった。
今回のビールはピルスナー。
夏らしくさっぱりしたビールを飲みたいからね。
以前、友達が作るのを手伝ったことがあるので、どんな具合かはなんとなく分かる。
2時間ぐらいかけて750cc入りの大瓶30本ができた。
2週間ぐらいで飲めるそうだ。楽しみである。
マヨネーズはどっさり作り友達にもおすそ分け。
最近ではマヨネーズを買うのがバカバカしくなった。
それは大手のマヨネーズ会社がどういうやり方でマヨネーズを作っているか、商社の人に聞いたこともあるが、なにより自分の所で食べきれないぐらいの卵を使わない手はない。
その代わり素材は厳選する。
マヨネーズは基本的に油、酢、卵、塩コショウで作る。
それぞれの素材で本物を使えばそれだけで旨くなる。
卵は家の卵、できるだけ新鮮なものを常温で使う。
油は米油、酢は純米黒酢、塩はブレナムの海の塩、胡椒はガリガリ削るやつ、ええい景気づけに粒マスタードも入れちゃえ、と調子に乗ってたくさん作ってしまった。
それならそれで友達に喜んでもらえるだろう。
その他、包丁研ぎ、洗濯などもろもろの事をしていたら夕方になってしまった。
その晩は友達のキヨミちゃんの家にお泊りをすることになっていた。
キヨミちゃんはパートナーのマイクと一緒にとあるビジネスをしている。
僕達がよく歩くルートバーントラックは全長32km、普通なら2泊3日で歩く、ニュージーランドで一二を争う人気トラックだ。
問題なのはスタートとゴールが違うのでレンタカーで旅をしている人は困ってしまう。
そこで彼らがお客さんの車を運転してゴール地点へ運び、彼らはその二泊三日の行程を一日で走り抜けてしまう。
そんな彼らしかできないようなビジネスを数年前から始め、今では需要が増え大人気。
人を雇ってやりくりするくらいに会社は成長した。
同時にグレーノーキーという場所に土地を買い、コツコツと自分達で家を建ててしまった。
車で40分ぐらいかかる所なので泊まりで遊びに行くことになった。
泊まりなら安心して飲めるからね。
「生ハムがあるから好きにやって。ご飯を作ってくれたら嬉しいから」
キヨミちゃんからそう言われて、家に行き秘密の鍵の隠し場所で鍵を開け中に入り、まずはキヨミちゃんの旦那のマイクが作ったビールを勝手に冷蔵庫を開けて飲む。
以前はさすがに一言聞いていたが、最近では何も聞かずに勝手に飲む。
遠慮とか一切なく自分のもののように飲む。
ビールを飲んで、山を眺める。
白い氷河を乗せたマウント・アーンスローが正面に見える。
うむ、悪くないぞ、これは。
庭に出れば野菜があるわあるわ。
大根、チンゲン菜、レタス、アーティチョーク、ジャガイモ、ソラマメ、ねぎ類、その他いろいろ、およそこの気候で育つであろう全ての野菜がある。
庭の片隅というかかなり広い範囲でニワトリコーナーがあり、二羽ニワトリがいる。
自給自足を目指す方向が同じだと、互いに何をやっているか分かる。
他人の庭だが、何を収穫すべきか、それによって献立を考える。
どれどれキッチンには、やはりというか予想通りというかジャガイモがゴロゴロ。
芽も出始めている。きっと庭で取れたものなんだろうな。これは使わねば。
生ハと一緒にポテトサラダだ。
こんなこともあろうと、自家製マヨネーズを持ってきたのだ。
ビールを飲みながら芋の皮を剥き、ゆでる。
ゆでたてのところに塩と酢できっちりと下味をつけるのがコツだ。
さてと生ハムね。
カウンターの上にはどかーんと豚の桃肉のかたまりが居座っている。
重さは4キロぐらいはあろうか。
生ハムなんていうと高級肉屋で、透けるくらい薄切りのが数枚でパックされているのを見たことがある。
旨そうだが高すぎて買えないというイメージだが、もともとはこういう塩漬け肉の塊を薄切りしただけの話だ。
試しに数枚切ってポテトサラダ用にフライパンで焼いてみたがこれがすこぶる美味い。
塩加減もほどよく、ああ、いかん、こんなのビールが進んでしまうではないか。
ガバガバビールを飲みながら料理をしているとマイクが帰ってきた。
「よう、兄弟、元気でやってるか?」
「おう、もう好い心地でやってるぜ」
固い握手を交わし、そして乾杯。ここでは乾杯の時に目を合わすのが流儀だ。
そうこうしているうちにキヨミちゃんもフラットメイトのロンも帰ってきた。
キヨミちゃんとの付き合いも10年以上になるだろうか。
元看護婦だが若いときにここへきて、山のガイドなどかなりワイルドなことをやってきた。
今ではルートバーンを週に何回も走るという、彼女でしかできないことを仕事としてやっている。
何年か前にはブロークンリバーで一緒に滑ったし、家庭菜園のやり方など何かと共通時効が多い友達である。
ロンは去年までルートバーンの山小屋の管理人で、何回も会っているので話が早い。
本日のメニューは前菜にアワビの煮しめ。
この前トモ子がお土産に持ってきたアワビは、山に住む彼らには最高のご馳走だ。
生ハムスライスを皿に並べ、刺身っぽく生肉で一皿。
そしてメインのハムステーキは、マイクが帰りがけに取って来たクレソンをどっさり敷いてその上に。
あとは大き目のサラダボールたっぷりのポテトサラダ。
これで充分でしょう。
飯は美味く、話は尽きず、酒も尽きず。
さらに彼らとの距離が縮まった一晩だった。
こんな休日も最高。

温室はないが板ガラスを上手く利用している。

野菜は豊富だ。

庭には二羽ニワトリ

自家製ビールの樽が当たり前のようにキッチンの隅に居座る。

生ハムとはもともとはこういうものなんだよね。