あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

イヤホンガイド

2015-12-11 | ガイドの現場
思いつくことは数あれど、いざそれを文にしようとすると躊躇してしまうことは多々ある。
本音を書けば傷つく人は必ずいるし、だからといって当たり障りのない話ばかりだとつまらない。
その辺りのバランスが大切なのだろう。

先日は1日ハイキングの仕事で添乗員にイヤホンガイドをしてくれと頼まれた。
ガイドが話すのがお客さん全員に聞こえると言えば聞こえはいいが、山でそれをやるか?
南極センターみたいな施設でやるとか、車の中なら話は分かる。
だがそれを自然の中でやるという感覚は僕にはまったく理解できない。
その時は添乗員がついて来ない仕事だったので、その場では適当にごまかして現場では使わなかった。
以前、山仲間のトーマスと同じような話をしたが、自分のところで実際に依頼されたのは初めてだ。
なんだろうね、こういうのって。
物事の本質を見失うとはこういうことなのだろうな。
森の中でイヤホンなんかつけたら、鳥のさえずりや水の音、風で木がこすれるなどの音という重要な要素が欠けてしまう。
それはその場にある最高のものを用意する、というおもてなしの心とは違う。
はっきり言ってしまえば、媚だ。
と、そこまで言えば添乗員も傷つくから、その場では「まあ、現場で様子を見ながら使うかどうか決めます」なんて言ってごまかした。
本音を言って、わざわざその人を不快にさせる必要はない。
それぐらいの社会性はある。
お客さんもイヤホンがないからといって文句をいうことなく、楽しく1日を過ごせた。
「もし、お客さん本人にそういうのを頼まれたらどうするの?」という質問にはこう答えよう。
「大丈夫、僕の前にはそういうお客さんは現れないから」

いつも僕のブログは長いから今回はこのへんでさくっと。
それでは皆様、また来週~。
コメント
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