あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

空間

2012-10-01 | 日記


最近の日課は犬の散歩である。
家から歩いて5分ぐらいの所にカンタベリーパークという大きな公園がある。
どれぐらい大きいかと言うと、ありきたりな言い方だが東京ドームが30個分ぐらいか。
ちなみにガイドネタだが、ハグレーパークはドーム38個分なんだそうな。
地図で見るとそこよりちょっと小さいぐらいなのでたぶん30個分ぐらいだろう。
まあそれが28個だろうが30個だろうがどうでもいい。
とにかくそれぐらいの大きな公園が近所にある。



小川を越える橋を渡り、小道を抜けるとだだっ広い空間が広がる。
公園の中は牧場もあり、この時期は子羊が跳ねまわる。
茂みの脇には大きな木をくりぬいたベンチがあり、そこからの眺めも好きだ。
遠くには雪を載せた山並みが見え、典型的なニュージーランドの景色がある。
自分が何回も滑ったポーターズのビッグママという斜面もここから見える。
こちらから向こうが見えるということは、向こうからこちらが見えることだ。
先週、山に上がった時もポーターズのてっぺんから僕は街を眺めた。
大地から見れば塵の一つほどの自分が、場所を越えて時間を越えて存在し物を想う。



公園には池があり、池の周りを遊歩道がある。
鴨や黒鳥が居て、犬は気が向くとザブンと水に飛び込み泳いで鳥を追う。
鳥も簡単には犬に捕まらない。犬も気が済むと飼い主の所に戻ってくる。
ここでは犬も自由で幸せそうだ。
池の周りにはキャベッジツリーが生えている。
キャベッジツリーはシュロのような木で、この国の原生種である。
原生の木としては一番多いのではなかろうか。
例えば原生のブナの木などは国立公園へ行けばたくさんあるが、他の所にはほとんどない。
キャベッジツリーは国立公園はもちろん、普通の野山にもあるし牧場にも街角にもある。
家にも何本か生えている。
この国で普通に生活をしていてこの木を見ない日はない、というぐらいどこにでもある。
そんなキャベッジツリーのある何気ない風景が好きだ。
特別なものではない、当たり前の中に喜びはある。



青空にポッカリと浮かんだ雲がゆっくりと風に流される。
僕は心を空っぽにして空を見る。
子供の頃、ただ広い場所にいるだけでうれしかった、あの感覚。
空間とは空の間でありり、『そら』とは『くう』なのだ。
そしてその先は宇宙に繋がり、同時に自分の内部へも繋がる。
何もしないでボケーとこういう景色を眺めること。
心を空にしなければ、入ってこないこともある。
そしてこういう何気ない広い空間が家の近所にある。
それが僕の幸せであり、幸せを感じることが活力の源なのだ。

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