十万本の矢
三国志絵本
唐 亜明 文
于 大武 絵
孔明の策略で、沢山の藁人形を載せた二十隻の呉の軍船は、霧の中を魏の軍陣に近づいていきました。
同士討ちになりかねない霧の中での戦いを避けた魏の陣幕からは、雨あられと矢が射かけられます。
しかし船の上には誰一人としておらず、藁人形だけが立っています。
およそ10万本もの矢を藁人形に受けた呉の船は、霧が晴れると悠々と引き揚げていきました。
孔明は10万本の矢を持ち帰り、周瑜との約束を果たしたのでした。
魯粛は、周瑜のもとへいそぎました。
報告をうけて、周瑜は、「孔明の才能には、まったくかなわないな」と、つぶやいただけでした。
『三国志演義』の赤壁の戦いの中でも最も有名なお話です。
中国の物語を中国の作家が絵本にしたものですが、日本で例えるなら豊臣秀吉の若い頃(藤吉郎)の成功譚でしょうか。
絵本の世界では、力より優れた知恵の方が取り上げられることが多いからです。
そしてこの絵本のことで書けば、絵の迫力は先日封切られた映画「レッドクリフ」にも引けを取りません。
兵士は本当に強そうでしたし、絵本の孔明はまさに金城武のそれを彷彿させるものでした。
魯粛に至っては、そのキャラクターは映画の中にそのまま出てもおかしくないくらいで、絵本の描くリアリティが映画や演劇にも匹敵するものであることをこの本は証明してくれます。
しかし、今の日本の絵本でこれだけのものがあるかは、自信のないところであってとても残念です。
三国志絵本
唐 亜明 文
于 大武 絵
孔明の策略で、沢山の藁人形を載せた二十隻の呉の軍船は、霧の中を魏の軍陣に近づいていきました。
同士討ちになりかねない霧の中での戦いを避けた魏の陣幕からは、雨あられと矢が射かけられます。
しかし船の上には誰一人としておらず、藁人形だけが立っています。
およそ10万本もの矢を藁人形に受けた呉の船は、霧が晴れると悠々と引き揚げていきました。
孔明は10万本の矢を持ち帰り、周瑜との約束を果たしたのでした。
魯粛は、周瑜のもとへいそぎました。
報告をうけて、周瑜は、「孔明の才能には、まったくかなわないな」と、つぶやいただけでした。
『三国志演義』の赤壁の戦いの中でも最も有名なお話です。
中国の物語を中国の作家が絵本にしたものですが、日本で例えるなら豊臣秀吉の若い頃(藤吉郎)の成功譚でしょうか。
絵本の世界では、力より優れた知恵の方が取り上げられることが多いからです。
そしてこの絵本のことで書けば、絵の迫力は先日封切られた映画「レッドクリフ」にも引けを取りません。
兵士は本当に強そうでしたし、絵本の孔明はまさに金城武のそれを彷彿させるものでした。
魯粛に至っては、そのキャラクターは映画の中にそのまま出てもおかしくないくらいで、絵本の描くリアリティが映画や演劇にも匹敵するものであることをこの本は証明してくれます。
しかし、今の日本の絵本でこれだけのものがあるかは、自信のないところであってとても残念です。