しろいうさぎとくろいうさぎ
作・絵: ガース・ウィリアムズ
訳: 松岡 享子
くろいうさぎも、めを まんまるくして、いっしょうけんめい
かんがえました。そして、こころをこめて いいました。
「これからさき、いつも きみといっしょにいられますように!」
いつも楽しく遊んでいる白いウサギと離れたくない黒いウサギは、いつも白いウサギの前で悲しそうな顔をしていました。
黒いウサギはいつまでも白いウサギと一緒にいられるように祈っていたのでした。
物語はこの普段一緒にいる仲良しの二匹(?)が心を通わせて結婚するまでのことです。
二匹が結婚して楽しく暮らすようになると黒いウサギは悲しそうな顔をしなくなりました。
結婚が「成就」と考えれば、「百万回いきたねこ」の主人公が白い猫と一緒に暮らしたことも同じでしょう。
主人公の猫は二度と生まれ変わらなくなったからです。
この二つの物語は、心に秘めたものの「成就」がキーワードだと私は思っています。
しかし、この極めてシンプルな筋書きを白黒を基調として描いたこの絵本は、絵だけが訴えることのできる力を見せつけてくれます。
黒いウサギの悲しそうな表情と、黒いウサギの気持ちを受け入れた時の白いウサギの表情、そして受け入れてもらった時の黒いウサギのリアルな表情は、読者層の中心となる幼児にどのように映ったのでしょうか?
読み聞かせるお母さんの心の中に、在りし日のときめきが過るのではないかと思うのは私ばかりでしょうか?