うさちゃんのニュース
なにかが、なにかが、よんでいる
作・絵: ルース・L・ボーンスタイン
訳: 楠田 枝里子
出版社: ほるぷ出版
税込価格: \1,470
(本体価格:\1,400)
発行日: 1996年
暗いけれど暖かい土の下の穴の中で、この子ウサギ(作品の中では「うさちゃん」と書かれています)だけは目を覚ましていました。
子ウサギはそっと外を覗いてみます。
そこには子ウサギが初めて出会う不思議なふしぎな感じがありました。
*なにかが ふわんと、うさちゃんの けを なでていった。
*なにかが するんと、うさちゃんの ひげを くすぐった。
*なにかが、なにかが、よんでいる。
*いったい、なに?
子ウサギは耳をすませて、じっと聞いていましたが「*なんていっているのか」分かりません。
でもどうしてもその正体を知りたくて、暗いけれど暖かい穴から飛び出してしまいました。
そこには咲いたばかりの花があり、ハチもチョウも飛んでいます。
子ウサギは花の匂いを嗅ぎました。
確かに何かが「*やわらかな みどりいろの こえ」で呼んでいるのです。
子ウサギは何かを探しにまた飛び出していきました。
地面からはミミズも顔を出しています。子ウサギはまた匂いを嗅ぎます。
子ウサギは何かに引きよせられるのを感じます。
何を言っているのかも分かるような気がしてきました。
子ウサギは、ミミズにお別れを言って「*やわらかな みどりいろの こえ」を追いかけるのです。
茂みには孵ったばかりの小鳥もいます。子ウサギはまた匂いを嗅ぎます。
子ウサギはこんどこそ言葉が聞こえてきた気がします。
子ウサギは、小鳥にさよならを言うと、「やわらかな みどりいろの こえ」についていきました。
チョウが飛ぶ練習をしています。
子ウサギは手をのばして匂いをかごうとしましたが、チョウはひらりと舞い上がって行ってしまいました。
*うさちゃんは
*まあたらしい みどりの くさのなかに しゃがみこんで、じいっと みみを かたむけた。
*なんども なんども みみを すませて きいたんだ。
そして分かったのです!
「*やわらかな みどりいろの こえ」が何て言っているのかを。
子ウサギは自分の家にまっしぐらに飛んで帰ります。
そしてみんなにこう言ったのです。
*はるが きてるよ!
みんなは一斉に穴から飛び出します!
そこでは鳥たちが空を舞い、暖かい太陽が草原を照らしていました。
―レビュー部分―
子ウサギは冬の間に産まれたのでしょう。
そして暗いけれど暖かい穴の中で、「やわらかな みどりいろの こえ」のことを聞かせてもらったのでしょう。
まだ広い外を知らない子ウサギにとっては、家族もいて暖かい穴の中から飛び出すのは勇気が要ることですが、「やわらかな みどりいろの こえ」の誘惑が勝りました。
私たち生き物にとって、「春」は身も心もわくわくさせてくれるものだということを、この先品は示してくれます。
そしてここには、初めて出遭う心をわくわくさせてくれるものへの共感があります。
さて、この子ウサギのように、私たちもまた人生で「何か」を感じる瞬間は多いと思います。
しかしその「何か」は、「やわらかな みどりいろの こえ」ばかりではありません。
私たちはまず感じることが先であり、その正体と向き合うことで経験を積んだと言えるのでしょう。
ボーンスタインの作品は、以前に「ちびゴリラのちびちび」を紹介したことがありますが、彼の作品は分かりやすさの中に秘めた人の心の奥深さを感じさせてくれます。
今絵本に対する姿勢を述べれば、作品とは作者と読者が一緒になって作り上げていくものだとの確信をこの作品は強くさせてくれます。
絵本「ちびゴリラのちびちび」の紹介
ルース・L・ボーンスタインの著作の紹介
なにかが、なにかが、よんでいる
作・絵: ルース・L・ボーンスタイン
訳: 楠田 枝里子
出版社: ほるぷ出版
税込価格: \1,470
(本体価格:\1,400)
発行日: 1996年
暗いけれど暖かい土の下の穴の中で、この子ウサギ(作品の中では「うさちゃん」と書かれています)だけは目を覚ましていました。
子ウサギはそっと外を覗いてみます。
そこには子ウサギが初めて出会う不思議なふしぎな感じがありました。
*なにかが ふわんと、うさちゃんの けを なでていった。
*なにかが するんと、うさちゃんの ひげを くすぐった。
*なにかが、なにかが、よんでいる。
*いったい、なに?
子ウサギは耳をすませて、じっと聞いていましたが「*なんていっているのか」分かりません。
でもどうしてもその正体を知りたくて、暗いけれど暖かい穴から飛び出してしまいました。
そこには咲いたばかりの花があり、ハチもチョウも飛んでいます。
子ウサギは花の匂いを嗅ぎました。
確かに何かが「*やわらかな みどりいろの こえ」で呼んでいるのです。
子ウサギは何かを探しにまた飛び出していきました。
地面からはミミズも顔を出しています。子ウサギはまた匂いを嗅ぎます。
子ウサギは何かに引きよせられるのを感じます。
何を言っているのかも分かるような気がしてきました。
子ウサギは、ミミズにお別れを言って「*やわらかな みどりいろの こえ」を追いかけるのです。
茂みには孵ったばかりの小鳥もいます。子ウサギはまた匂いを嗅ぎます。
子ウサギはこんどこそ言葉が聞こえてきた気がします。
子ウサギは、小鳥にさよならを言うと、「やわらかな みどりいろの こえ」についていきました。
チョウが飛ぶ練習をしています。
子ウサギは手をのばして匂いをかごうとしましたが、チョウはひらりと舞い上がって行ってしまいました。
*うさちゃんは
*まあたらしい みどりの くさのなかに しゃがみこんで、じいっと みみを かたむけた。
*なんども なんども みみを すませて きいたんだ。
そして分かったのです!
「*やわらかな みどりいろの こえ」が何て言っているのかを。
子ウサギは自分の家にまっしぐらに飛んで帰ります。
そしてみんなにこう言ったのです。
*はるが きてるよ!
みんなは一斉に穴から飛び出します!
そこでは鳥たちが空を舞い、暖かい太陽が草原を照らしていました。
―レビュー部分―
子ウサギは冬の間に産まれたのでしょう。
そして暗いけれど暖かい穴の中で、「やわらかな みどりいろの こえ」のことを聞かせてもらったのでしょう。
まだ広い外を知らない子ウサギにとっては、家族もいて暖かい穴の中から飛び出すのは勇気が要ることですが、「やわらかな みどりいろの こえ」の誘惑が勝りました。
私たち生き物にとって、「春」は身も心もわくわくさせてくれるものだということを、この先品は示してくれます。
そしてここには、初めて出遭う心をわくわくさせてくれるものへの共感があります。
さて、この子ウサギのように、私たちもまた人生で「何か」を感じる瞬間は多いと思います。
しかしその「何か」は、「やわらかな みどりいろの こえ」ばかりではありません。
私たちはまず感じることが先であり、その正体と向き合うことで経験を積んだと言えるのでしょう。
ボーンスタインの作品は、以前に「ちびゴリラのちびちび」を紹介したことがありますが、彼の作品は分かりやすさの中に秘めた人の心の奥深さを感じさせてくれます。
今絵本に対する姿勢を述べれば、作品とは作者と読者が一緒になって作り上げていくものだとの確信をこの作品は強くさせてくれます。
絵本「ちびゴリラのちびちび」の紹介
ルース・L・ボーンスタインの著作の紹介