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パレスチナ「内戦」非常事態宣言

2007-06-15 23:26:33 | 反戦・平和
パレスチナに2内閣 ファハタ、ハマス アッバス議長、非常事態を宣言(産経新聞) - goo ニュース

今日は非常にお堅いニュースを取り上げる。パレスチナ情勢である。
15日、パレスチナ自治政府統治地域であるガザ地区で、ハマス武装勢力がファタハ拠点を軍事制圧し、実権を掌握。ファタハ出身のアッバス議長が非常事態宣言を出した。
日本のメディアは「内戦」と報じているところもあるが、ハマスは自治政府の与党の一部なので、権力内部にいる者による権力中枢の奪取、すなわちクーデターとするべきだろう。ハマスによる軍事クーデターである。

中東情勢は日本人が一番苦手とする分野で、歴史的背景など説明するだけで一エントリを優に超えてしまうが、要約するとこうである。

1.中東戦争における、イスラエルによるガザ、ヨルダン川西岸地区の占領
  ↓
2.占領地でのイスラエルへの抵抗運動(インティファーダ)の激化
  ↓
3.パレスチナ和平協議と「オスロ合意」を経てパレスチナ自治政府発足(ファタハ単独政権、アラファト議長)
  ↓
4.アラファト議長死去(2004年)
  ↓
5.パレスチナ自治評議会(自治政府の議会)選挙でハマス圧勝、ファタハ、ハマスによる挙国一致内閣の成立

ちなみに、ハマス圧勝前までパレスチナ自治政府の中心となっていたファタハとは、PLO(パレスチナ解放機構)内のアラファト議長率いる主流派。かつてはPLO内に反アラファト派も存在したが、その後は活動が沈静化し、自治政府発足当時は事実上ファタハ=PLO=自治政府、と言っていい状況にあった。

そして、今回の事態である。
ハマスの行為は、話し合いによって成立した挙国一致内閣を暴力で一方的に壊したものであり、受け入れることはできない。確かにハマスは選挙に勝ち、単独過半数を握る自治政府与党となったが、例えば日本で自民党が自衛隊を動員し、公明党本部を武力制圧して内閣をすげ替えたらどうなるか、考えてみればわかるだろう。

ただ、日本と全く政治状況の違うパレスチナを同列に論ずることができないことはもちろんである。国家予算の4分の1以上を軍事費に消費し、自国が攻撃されなくても「予防先制攻撃」として周辺諸国を先にぶん殴ってしまうイスラエルという「ならず者国家」と対峙しなければならないからだ。

同時に、パレスチナではハマスはただ軍事力でのし上がってきたわけでは決してない。貧しい人たちに慈善事業を施しながら地道に貧困層の支持を得る努力をしてきた。
それに対しファタハは、良くも悪くもアラファト議長の個人的カリスマ性に負うところが大きく、その国際的地位とは裏腹に事実上「アラファト商店」状態だった。後継者を育成し、ファタハ組織が全体としてパレスチナ代表者としての正当性を得ようとする努力を怠ってきたと言えよう。その「個人商店状態」のツケが、アラファト議長の死去によって一挙に噴出したのである。
ハマスが自治政府の与党になってからも国際社会がファタハ支持を変えないのは、ファタハ以外に支持できる勢力がないという現実的問題の他に、「あのアラファトが率いていた組織だから」という理由も大きいように思うのだ。

しかし、先に述べたように事実上のアラファト個人商店状態だったファタハは、そのアラファト議長の死によって耐用年数が切れたように思われる。地道に貧困層の心をつかむ活動をしてきたハマスを「イスラエル壊滅を綱領に掲げるイスラム原理主義勢力だから」という理由だけで無視し続けることはこれまで以上に難しくなるのではないだろうか。

ローマ帝国の時代から続いているパレスチナ問題が、10年や20年で簡単に解決できるなどという脳天気なことは私も思っていない。が、これまでの歴史的経過を踏まえれば、問題解決のために見えてきたこともいろいろあると思うのだ。

1.イスラエルを承認させる代わりに大幅な軍事力縮小を行わせる
2.ファタハに代わってパレスチナ住民の代表となりうる勢力の育成
3.パレスチナについては、イスラエルとパレスチナ代表(2で掲げた新しい勢力)とによる共同統治

このあたりが現実的で、最大多数が納得できる解決策ではないだろうか。
1はすぐにでも初めてもらいたいと思う(もちろん入植地の段階的縮小を終えた後のイスラエルの承認が条件)が、2はすぐにできる話ではなく、10年スパンで見るべき話だと思う。それまでは、ハマスが住民の支持を得ている事実を踏まえ、彼らにイスラエル破壊の綱領放棄、原理主義による統治をしないこと、等々について保証するよう、粘り強く説得するしか道はないと思う。

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