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橋下大阪市長の暴言に抗議する

2013-05-17 21:08:52 | その他社会・時事
ここ数日来報道されている橋下徹・大阪市長の一連の発言は、当ブログとしてはコメントにも値しない粗暴で低レベルのものであり、本来なら今までと同様、黙殺するつもりだった。しかし、これ以上沈黙を続けることで発言を容認していると受け止められた場合、当ブログにとって政治的打撃になりかねないことから態度を表明することにする。とはいえ、橋下市長の暴言に対し、理性的に対応できる自信が当ブログにはないので、これまでに各界から出されている声明などをご紹介する。

韓国など諸外国からも声明は出されているが、あえて国内団体のものを中心に引用する理由は、日本にも良心を持った人々が大勢いて橋下発言に抗議していること、この問題が先の戦争における加害国・日本の問題であることを示すためである。

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国際人権NGO「ヒューマンライツナウ」の抗議声明

【声明】橋下徹大阪市長・日本維新の会共同代表の従軍慰安婦・沖縄発言に抗議し、発言の撤回・慰安婦制度の被害者への謝罪を求める

橋下徹大阪市長・日本維新の会共同代表の従軍慰安婦・沖縄発言に抗議し、発言の撤回・慰安婦制度の被害者への謝罪を求める。

1 5月13 日、橋下徹大阪市長・日本維新の会共同代表は、第二次世界大戦中の「従軍慰安婦」は「必要だということは誰でもわかる」などと述べ、2007年の第一次安倍内閣の閣議決定に言及しつつ、「暴行脅迫をして女性を拉致したという事実は今のところ証拠に裏付けられていませんとも述べた。橋下氏の発言は、「従軍慰安婦」制度の強制性を否定するとともに、深刻な人権侵害である「従軍慰安婦」制度を「必要性」の名のもとに正当化・容認するものである。さらに、性犯罪が続く沖縄の在日米軍に関連して、沖縄米軍の司令官に対して「日本の風俗業を活用してほしい」とも発言している。橋下氏は、「反省とおわび」「慰安婦に配慮を」などと弁明し、在日米軍に対する発言については「国際感覚がなかった」などと弁明を繰り返しているものの、発言の根幹は撤回していない。国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、女性の人権と人間の尊厳を踏みにじり、紛争下の性暴力という最も深刻な人権侵害を正当化しようとする橋下氏の一連の発言に強く抗議する。

2 第二次世界大戦中、朝鮮半島、中国、フィリピン、インドネシア、オランダ等の女性が、旧日本軍兵士によって「従軍慰安婦」として性的な凌辱を受けてきた。女性たちは監禁され、性行為を強要され、拒絶すれば残酷な暴力がふるわれた。その実態は国連「女性に対する暴力」特別報告者ラディカ・クマラスワミ氏の調査報告その他の国連調査報告に正当に認定されている通り、旧日本軍による「性奴隷制」にほかならない。

「従軍慰安婦」制度の実態は、人間の尊厳を著しく踏みにじるものであったため、女性たちは心身に極めて深刻な傷を負い続けてきたものである。国際刑事裁判所に関するローマ規程に明記されている通り、組織的かつ広範な、または戦時下におけるレイプ、性奴隷制、強制買春は、「人道に対する罪」「戦争犯罪」を構成する最も深刻な国際犯罪のひとつである。「従軍慰安婦」制度が、国際法に違反する、深刻な女性に対する人権侵害であり、いかなる意味においても正当化・合理化できないことは明白である。

一連の発言は、「慰安婦」とされた被害女性たちの心情をさらに深く傷つけるとともに、重大な人権侵害である戦時性暴力を容認するものであって到底許されない。また、沖縄に関する発言は、戦争遂行・軍の維持のためには女性が性的搾取の対象となってもよいと積極的に推奨するに等しく、軍隊による紛争下の性暴力の廃絶の努力を否定しようとするものであり、同時に基地があるがゆえに性犯罪被害に苦しみ続けてきた沖縄の人々をさらに傷つけるものである。発言の重大性に鑑みれば、橋下氏は、速やかに発言を撤回・謝罪し、公職を自ら辞任すべきである。

3 慰安婦に対する強制が証拠によって裏付けられていない、とする橋下氏の発言は、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」とする2007年の第一次安倍内閣の閣議決定に端を発したものであり、 今回の発言は橋下氏一人の問題にとどまらない。1993年8月3日の河野官房長官(当時)談話は「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。」と明確に軍の関与と慰安婦制度の強制性を認めている。また、少なからぬ戦後補償裁判において、「従軍慰安婦制度の強制的な性格は認定されてきた。さらに、多くの生存する被害者たちは、強制的な連行や、甘言による詐欺によって集められ、意に反して慰安婦とされたことを訴えている。この期に及んで「従軍慰安婦制度の強制的性格は否定することは歴史の歪曲として到底許されない。

人権侵害の重大性にもかかわらず、日本政府は被害者に対する直接的な国家補償、謝罪、被害者への十分な救済措置を怠り、安倍政権下では、河野談話を見直して、慰安婦制度の強制性を否定しようとする動きもある。 こうした日本の態度は自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会、拷問禁止委員会、ならびに国連人権理事会普遍的審査等の国連人権機関から繰り返し非難されている。長年にわたり救済を受けてこなかった「慰安婦制度の被害者に対して、人権侵害の事実を正面から認めたうえで公的な謝罪をすることが求められている。

私たちは、日本政府に対し、橋下氏の一連の発言を公式に非難し、「従軍慰安婦制度が強制的性格を有し、重大な人権侵害であることについて、留保なしに明確に再確認するよう求める。

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「女たちの戦争と平和資料館」(WAM)の抗議声明

抗議声明
日本維新の会共同代表・橋下徹大阪市長の発言に抗議し、謝罪と発言撤回、退陣を求めます

 2013年5月13日の大阪市庁舎での記者会見で、大阪市長であり、政党の共同代表であるあなたは、かつて日本軍がアジア全域に慰安所を作り、アジア各地の女性たちを性奴隷にして強かんを繰り返した日本軍「慰安婦」制度を「必要だった」と述べました。

 「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」と言ったのです。

 これを聞いて私たちは、激しい怒りを抑えることができませんでした。

 それは、今も心身の傷に苦しんで尊厳の回復を求めている被害者たちを、一層深く傷つけるものだからです。

 女性を戦争の道具とし、性暴力を肯定することは、全ての女性を冒?し、女性の人権を著しく侵害するのだということを、あなたはご存じないのでしょうか。

 あなたの“「慰安婦」制度必要論”は、各地におびただしい数の慰安所を作った旧日本軍の論理そのものです。

 1937年の「南京大虐殺」では多数の強かん事件が発生し、中国の人々の反日感情の高まりと国際的な非難の声を抑えようとした軍の上層部は、強かん防止のためにも慰安所の設置を急ぎました。これが中国各地に慰安所が作られるようになったきっかけです。しかし、慰安所の設置は兵士の「性的な欲求を解消」するどころか、更なる強かん事件を生み出しました。

 あなたは、「当時の歴史を調べたら、日本国軍だけでなく、いろんな軍で(慰安婦を)活用していた」と言っていますが、日本軍のように戦地や占領地の全域に、それも15年以上もの長期間、慰安所を設置・運営し、占領地や植民地の女性たちを監禁して強かんし続けた国は世界に見当たりません。

 万が一そのような軍隊が他国にあったとしても、だからと言って日本軍の犯罪が許されるわけではありません。また、あなたは繰り返し、「軍や官憲による、慰安婦の強制連行を示す証拠は無かった」と主張しますが、被害者の証言から分かる事実に、なぜ向き合うことができないのでしょうか。

 私たち資料館は7年にわたり日本軍「慰安婦」制度の被害と加害の事実について記憶し記録する活動を続けています。

 アジア各地で被害に遭われた、たくさんの女性たちの証言から分かるのは、彼女たちが意に反して慰安所へと連行され、強かんされた事実です。そして休暇を取ることも、辞めることも、逃げることも許されず、強かんされたという事実です。日本軍が制度として慰安所を設置・管理・運営したことが持つ意味を直視してください。

 日本軍が「慰安婦」制度を作り上げて女性たちを犠牲にしてきたことは歴史的な事実として、世界の人々が知っています。

 戦時性暴力が重大な人権侵害で、根絶すべき戦争犯罪であるということもすでに国際的に認知されてきました。

 このような戦争犯罪を肯定する人が公職にあり、衆議院では第3にある党の共同代表であることに、私たちは恥ずかしさと強い憤りを覚えます。

 さらにあなたが沖縄の普天間基地を視察した時、米軍の司令官に、「もっと風俗業を活用してほしい」と発言し、「ばかげている」といなされました。しかしあなたは、「アメリカはずるい。アメリカは一貫して、公娼制度を否定する。しかし米軍基地の周囲で風俗業が盛んだったことも歴史の事実」と開き直っています。このように差別的で人権を無視し、旧態依然とした性意識が染み付いている人が、政治的リーダーであることに大きな恐怖をおぼえます。

 私たちはあなたの発言に対して激しく憤り、強く抗議します。

 直ちに「慰安婦」被害者を深く傷つけたことを謝罪し、発言を撤回してください。

 そして大阪市民とすべての日本人に対して、公職にあるまじき発言を繰り返したことを謝罪し、その責任をとって退陣されることを求めます。

2013年5月17日
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
運営委員一同 館長 池田恵理子
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橋下市長の破廉恥な暴言に断固抗議します

「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」

これほど非常識で人権感覚のかけらも見当たらない考え方を「誰だってわかる」という根拠は一体なんなのでしょうか。

どう考えても「慰安婦制度が必要だ」などとは理解できない私たちは、橋下市長、あなたから見たら「誰だって」に入らない、つまり「人」の範疇にも入らないのでしょうか。

改めて伺います。

「慰安婦」制度はなぜ「必要」なのですか。戦争に駆り出された男たちを「休息」させるため、とあなたは言うでしょう。では、なぜ男たちを「休息」させなければならないのですか。「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて」いるから、とあなたは言うでしょう。

では、なぜ彼らは「命をかけ」なければならないのですか。

結局、あなたの論は、侵略戦争の肯定から始まっているのです。戦争を否定するならば、男たちが「命をかける」必要も、「慰安婦」制度も必要ないことが分かるはずです。

私たちは、他国を侵略し殺し奪うこと、そのような戦争に男性たちを駆り出すこと、そしてその兵士たちに「休息」を与えるために女性を性奴隷にすること、それらすべてを徹底的に否定し、拒否します。人が人として生きていくことを守りたいと願う私たちには、あなたの言っていることの意味が全く分かりません。

これに止まらず、あなたは「普天間に行った時に、沖縄の海兵隊の司令官にもっと風俗業を活用して欲しいと言った」と臆面もなく述べています。「凍り付いたように苦笑いになってしまった」司令官に対して「性的なエネルギーをある意味合法的に解消できる場所が日本にあるわけですから、もっと真っ正面からそういうとこを活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーをきちんとコントロールできないじゃないですか、と。建前論じゃなくてもっとそういうところを活用してくださいよ」とさらに食い下がり、「もうこの話はこれ以上やめようと打ち切られた」と、恥ずかし気もなく公表するあなたの厚顔無恥さには開いた口が塞がりません。

あなたは「なぜ日本が世界から非難されているかを日本国民は知らなければならない」と繰り返し述べています。

なぜ非難されるのか。あなたのような為政者がいるからです。

女性の人権を一顧だにせず、21世紀に生きる多くの人々が共有する人権感覚も共有できずに、女性を戦争の具として蹂躙することをよしとする立ち後れた認識が「誰にでも」共有されると信じている幼稚な為政者がいるからです。

あなたは「無理矢理、強制的に、意に反して、慰安婦を拉致して、そういう職業につかせた、レイプ国家だということで世界は日本を非難している」とし、日本だけではない、世界中のどこの国にも「慰安所」制度はあったし、「強制連行」した証拠はないと繰り返しています。

このような言説こそが、世界の人権感覚から非難されているのだという事実に、そろそろ気づいてもいいのではないですか。世界は「強制連行」を問題にしているのではありません。女性たちが「意に反して」慰安所に捕らわれ、居住の自由、外出の自由、廃業の自由、拒否する自由もない中で兵隊の性処理の相手を強要されたこと、そのような制度を軍が主導して、軍が管理統制していたこと、そしてその事実に対して未だに日本の為政者が「官憲が暴力的に連行」していないと弁明すれば国家の威信が保たれると勘違いしている、その人権感覚の低劣さと現状認識のお粗末さを非難しているのです。

橋下市長に要求します。

―再び日本軍「慰安婦」被害者を傷つけ、癒しがたい傷を負わせたことに対し謝罪すること
―沖縄を貶め、大阪市民ならびに日本国民が世界に対して恥をかくような発言をしたことに対し謝罪すること
―人権無視の暴言の責任をとって直ちに退陣すること

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
共同代表  梁澄子 渡辺美奈
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