令和7年1月13日21時19分頃の日向灘の地震について(気象庁報道発表)
日向灘で震度5弱の地震が発生した。この地域でこの規模の地震が発生したのは、昨年8月8日、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された震度6強の地震以来だ。
先ほど、午後11時15分から行われた気象庁記者会見で公表された報道発表(上記リンク先)を見ると、地震の規模はM6.9。昨年8月の地震が7.1だったから今回のほうがわずかに小さい。震央は昨年8月8日の地震(報道発表)から九州本土に10kmほど近い場所である。震源深さは約30kmで、昨年8月とまったく同じ。海溝型地震は、深さ20~30kmの場所で起きるとされており、今回もプレート境界での活発な地殻の動きを強く推認させる。
気象庁の報道発表では最近、地震のメカニズムを示す発震機構解に関する内容が掲載されなくなったため、今回と昨年の発震機構解を比較することはできないが、昨年8月の地震では西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と公表されている。ただ、震央の位置、震源深さともに昨年8月とほとんど同じであることを考えると、実質的に昨年8月の地震の余震または関連地震と見て差し支えないと思う。
2011年の東日本大震災のときも、2~3年前からM6~7クラスの地震がプレート境界より内側で相次いだ。2008年5月8日の茨城県沖地震(最大震度5弱)、2008年6月14日の岩手県内陸南部地震(最大震度6強)、2008年7月24日の岩手県沿岸北部地震(最大震度6強)と続いた。
その後、「不気味な沈黙」とでも呼ぶべき空白期間が2年近くあった。2010年3月14日(最大震度5弱)、6月13日(最大震度5弱)の地震が相次いで福島県沖で発生後、東日本大震災(2011年3月11日)に至っている。
南海トラフ地震の発生時期を見通すことが困難であることには違いないが、2030年代にはその発生危険性が格段に高まるとの見方で多くの地震学者が一致する。すでに、この海域で最大震度5弱以上の地震は、2024年4月8日(報道発表)、2024年4月17日(報道発表)、そして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された8月8日と3回も起きており、今回で4度目となる。1年も経たないうちに4回もの発生は、東日本大震災直前の東北をしのぐハイペースであり、極めて危険である。地震学界の大勢である2030年代よりは、かなり早まるのではないかと私は思っている。
1999年の段階で東日本大震災の発生を予言していたと話題になり、「平成の奇書」と呼ばれた漫画家・たつき諒さんによる「私が見た未来」が昨年以降話題になっている。たつきさんの漫画家引退後は絶版となっていたが、東日本大震災後に「私が見た未来 完全版」として復刻された(作者・たつきさんのインタビュー記事)。いったんブームが沈静化したものの、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された昨年8月以降、再び話題になっている。この「平成の奇書」の中で、たつきさんは「本当の大災難は2025年7月にやってくる」とし、その発生日時を「2025年7月5日午前4時18分」と分単位で予言している。
最近の南海トラフ地震想定震源域内でのたび重なる地震発生を見ると、たかが漫画と笑うことなく、備えくらいはしておく必要があるのではないだろうか。