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指差呼称にはどんな効果が期待できるか

2008-10-20 | 安全、安心、
指差呼称にはどんな効果が期待できるか

指差呼称では、指で差すことで、そこに注意を焦点化することになる。注意を焦点化すれば、それだけ情報処理は効率的かつ精緻になる。ぼんやりしていたら見えなかったものが見えることもある。

これが指差呼称の効果の一つである。
さらに、行為の意識化の効果も期待できる。習慣的な行為は意識的な努力をせずとも自動的にどんどんおこなわれていく。いつもと状況が同じなら何も問題ない。しかし、状況は時々刻々と変化する。コンロでお湯をわかそうと火をつけたら、子供が泣き出してしまうこともある。インターフォーンに対応しなければならないこともある。
こんな時でも、コンロの火の消化というような、事故と直結する行為は必ず指差確認、と決めている(習慣づけている)なら、魔の一瞬を未然に防ぐことができる。

行為の意識化効果に付随して、行為が記憶に残る効果もある。よくあるのは、施錠したかどうか、火を消したかどうかがはっきりしないために、もう一度、部屋に戻って確認するというケースである。現実モニタリングの混乱と呼ばれている現象である。意識的な努力なしにおこなう行為は、現実モニタリングが適切になされないために、こうしたことがおこってしまう。指で差して口で言うような行為は、しっかりと記憶もされているので、混乱は起こらない。

指差呼称の4つ目の効果は、行動調整効果である。指で差す、口に出すという行為、やや大げさな感じがするが、それが、習慣的になにげなくやっている一連の行為の流れを調整することに役立っている。危険、事故に直結する行為の直前では、指差呼称を必ずおこなうような仕掛けが必要である。
 指差呼称の効果の最後は、周囲の人との情報の共有である。仕事をするような時には、周囲に仲間がいる。そうした人々に、自分の行為が目に見える、音に聞こえる形で示せることの利点は大きい。とりわけ、組織の安全風土の醸成には寄与するところが大きい。


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