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話し方力アップ

2021-06-01 | わかりやすい表現
話し方力アップ
  

●話し方はどうしてこれほど気になるのか
 話し方に強い関心があるのは、なぜなのでしょうか。その理由は3つあると思います。
1つは、言語活動の中で話す、聴くにさく時間が圧倒的に多いからです。
 2つは、うまく話せなかったという失敗体験に起因するものです。話すのは、その時その場での実時間での行為です。この点、書くのとの大きな違いです。となると、当然うまく話せなかった、あるいは、言い落としてしまった、さらには言い間違いをしてしまった、といった体験をごく日常的にすることになります。後味の悪さばかりを引きずることになります。
 関連して個人的な体験を一つ。しかるべき地位につくと、スピーチが多くなります。時には突然の指名での即興もあります。プレゼンならそれなりの準備とそれなりの草稿がありますからこんなことはあまりないのですが、スピーチとなると、程度の差をあってもほぼ毎回こんな後味の悪さを感じています。
 第3には、しかし、努力すれば失敗しないようになるはず、さらにうまく話せるようになるはずなのですが、努力の仕方がわからないのです。それが、話すことに興味、関心を向かわせるのだと思います。

●子どもとは心で話す
 ところで、眼の前にいる一人の子どもとうまく話すには、どんなことに配慮したらよいのでしょうか。基本的なことを2つ挙げておきます。
 子どもは、話の内容より、話し手の意図や気持ちの方を読み取るのに長けていることを、まず認識する必要があります。とりわけ、低学年になるほど、この傾向は著しいものがあります。
「頭が痛いの?」と子どもに話しかけた時に、どれくらいその子どものことを本当に心配してくれているかを、子どもはただちに理解してしまいます。
 これは、考えてみれば当然のことで、生まれ落ちて言葉を自由自在に操れるようになる5、6歳頃までの間に、こうした力を自分の周囲りにいる人々とのコミュニケーションの中で体験的に身につけてきているからです。子どもはハート・リーダー(heart reader)の天才であることをしっかりと知っておく必要があります。

●第一声が大事
 その上で、やはり言葉を使って話しかけることになるのですが、その第一声が極めて重要になってきます。第一声にこそ、ハート・リーダーの天才・子どもは大人の気持ちをしっかりと読み取ってしまうからです。
 子どもに対する愛があり、自分の気持ちがポジティブであれば、おおかたの第一声は、ハート・リーダーの心をとらえるものが無意識のうちに自動的に出てきます。したがって、それほどあれこれと心配することはありません。
 問題は、意に反しての第一声です。
まずは、例えば、どやしつけたいほどの怒りをどうやって言葉で表現するかです。そのまま叱責するのが最適な場合もあります。子どもの方にそうされて当たり前との認識がある場合です。
 その認識がない子どもにストレートな叱責は禁物です。こちらの気持ちを静め、ゆっくりと、「どうしたのか」という問いによって、状況把握に努めるところからはじめることになります。これがあなたの気持ちを平静にしてくれることにもなります。
 もう1つ、意外に面倒なのが、いわば気持ちにはあまり依存しなくてよい第一声です。大人どうしの場面でよくみられます。ここでは、いつものしきたり通りに、あいさつと子どもの調子や用件を尋ねるのが一般的ですが、その後に続く一言が、思いもよらず子どもの心を傷つけてしまうことがあります。
 不登校の子どもと廊下でばったり。あなたの第一声は、「こんにちは。元気でやっている?」ですか、それとも「あら!久しぶりね。どうしていたの?」ですか。
「普通の状況では普通に語りかける」のが原則ですね。それでなくとも、子どもは普通でなく見られるのを極度に恐れているはずですから。それを増強するような後者のような語りは禁物です。

●話し方のコツ
 第一声に続く話し方は、状況に応じてさまざまですので、ここでは、一人の子どもに何かを説明する状況を想定して、そこでの話し方のコツを4つほど提案してみたいと思います。

  • 自分ひとりで話す時間を短く
 どんなテーマにしても、話す材料は、教師の方が圧倒的にたくさん持っています。ついつい一方的に話すようになってしまいがちです。会話とは違いますから、話のやりとりはそれほどなくてよいのですが、それでも、理解の確認を随所でしながらの語りをした方がよいと思います。
  • 一度に説明する量も少なめに
 一度にどうしてもあれもこれもとなりがちですが、これも、子どもの理解能力を超えたものになりがちです。量を減らすだけでなく、紙に要点を書いて手渡すくらいまでやらないと、せっかくの説明もうまく伝わらないことになります。その際に、「わからないことがあったら、また来て」の一言も忘れずに。
  • ほめ言葉を豊富に
 ほめられれば誰しもが気持ちよくなります。話すほうも、ほめ言葉を使うことで気持ちよくなります。安直なほめ言葉の乱発はただちにその嘘っぽさを見抜かれてしまいますが、気持ちが本気ならそれを言葉で表現できればそれに越したことはありません。
 あなたは、今ただちに、どれくらいのほめ言葉が思い浮かびますか。
昔いた大学の知り合いの女性教授は、すべてにわたりエレガントなのですが、もう一つ、ほめ言葉が実に豊富なのです。お会いするたびに、気持ちが浮ついてしまいました。
ほめ言葉の語彙を豊富にする努力をすることです。さらに、表現全体をポジティブなほうにバイアスをかけるようにしておくことです。ポジティブ・コミュニケーションの項を参照してください。
  • 対面より90度の位置で
 一番よくあるのは、180度の位置に座って話すことだと思います。この位置だと、お互いに相手のことがよく見えます。
しかし、説明してわかってもらうような状況では、相手が見えすぎてしまうのは、説明内容のじっくりとした理解には、ノイズになってしまうことが時にはあります。視線、ジェスチャー、表情などが気になってしまうのです。それに資料などを見せるときには、対面では具合がよくありません。そこで、90度の位置に座って、資料や紙に書いたりして一緒に見ながらの話も時には効果的です。

最後に、カウンセラーの東山紘久著「プロカウンセラーの聞く技術」(??)の目次から、話し方のコツを挙げておきますので参考にしてください。
 
 ・自分のことは話さない 
・聞かれたことしか話さない 
・情報以外の助言は無用 
・言い訳しない 
・話には小道具がいる 
・沈黙と間の効用を知る 
・評論家にならない


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