語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【読書余滴】国会議員の国語力 ~『速記者たちの国会秘録』~

2011年03月12日 | ノンフィクション
 「みぞゆう」(未曾有)
 「ふしゅう」(踏襲)
 自民党の麻生太郎は、首相時代にこういった発言を連発し、さんざん揶揄された。

 首相がこうなら、大臣もやらかす。
 かつて一万田尚登元蔵相は、「プラトン輸出」(プラント輸出)などと言った。

 この手の発言は、党派を超えるらしい。
 昭和27年、井上良二という社会党議員は、ある特別委員会で「いちいのむらいかん」と発言した。
 このときの速記者はまだ駆け出しだったが、さすがプロで、前後の文脈から見事に何を言わんとしているかを察知した。
 「市井の無頼漢」のことであった。

 誰が言ったかは不明だが、「ほことん」(矛盾)、「ケザワヒガシ」(毛沢東)、「かたやまおりぐち」(片山哲)のごとき発言も国会で飛び交った。

 議員だけではない。文書のプロであるはずの官僚も、この手の発言をする。
 さる旧大蔵省の幹部は、国会で、「おいかよさん」と宣うた。追加予算のことである。

【参考】菊池正憲『速記者たちの国会秘録』(新潮新書、2010)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン