語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】世界に広がる支援の輪 ~各国の支援状況~

2011年03月27日 | 震災・原発事故
 128ヵ国・地域、33の国際機関、約200団体・個人が支援を表明しているが、3月20日現在、実際の受け入れ状況は次のとおり(義援金を除く)。

 ・韓国:救助隊102人、救助犬2匹・スタッフ5人、レトルト食品3万食・毛布6,000枚など。
 ・中国:救助隊12人、テント200張・掛け布団2,000枚。
 ・台湾:救助隊28人、防寒着1,000着・発電機500台・食料など。
 ・モンゴル:緊急援助12人、非常事態庁長官、毛布2,515枚など。
 ・タイ:毛布20,000万枚。
 ・フィリピン人:救助隊41人。
 ・インドネシア:毛布6,700枚。
 ・インド:毛布25,000枚。
 ・パキスタン:救助隊35人。
 ・シンガポール:救助犬5匹・スタッフ5人、毛布1,000枚・マットレス500~600個など。
 ・モルディブ:ツナ缶86,400個。
 ・オーストラリア:救助隊75人、救助犬2匹。
 ・ニュージーランド:救助隊52人。
 ・トルコ:救助隊33人。
 ・ウクライナ:毛布2,000枚。
 ・ロシア:救助隊155人、車両7台、毛布17,600枚。
 ・スイス:救助隊27人、救助犬9匹。
 ・ドイツ:救助隊41人、救助犬3匹。
 ・イギリス:救助隊63人、救助犬2匹。
 ・フランス:救助隊130人(モナコ人含む)、毛布8,000枚。
 ・イタリア:先遣隊(救助専門家)6人。東京でニーズ調査。
 ・南アフリカ:救助隊49人。
 ・カナダ:毛布25,000枚。
 ・アメリカ:救助隊144人、救助犬、消防車2台。
 ・メキシコ:救助犬6匹・スタッフ12人。
 ・UNDAC国連災害評価調整チーム:7人。
 ・世界食糧計画(WFP):各国支援物資、NGOの輸送担当。
 ・国際電気通信連合(ITU):衛星携帯電話などの通信機器。
 ・国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

 以上、「ニューズウィーク」・小暮聡子/大橋希「世界が送る『ガンバレ、ニッポン』」(「ニューズウィーク」2011年3月30日号)に拠る。
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【震災】原発で働く作業員の現実

2011年03月27日 | 震災・原発事故
 地震の翌日、ある作業員にその友人経由で東電の下請け会社からメールが来た。
 「現在の報道は非常にセンセーショナルで、当社が確認したところでは、そこまで深刻ではないとの回答を東電サイドから得ています。今後、多数の方々のお力を必要といたします。これまでのベースから日給を3倍をめどにご賛同いただける方々を募集しております」
 3倍なら日給5万円だ。より危険な区域を担当したり、経験が豊富な場合は10万円という噂も、その作業員は聞いた。下請け会社の話では、原子炉への海水注入を迫られた際、東電側は言い放った。
 「この原発にどれだけカネを使っているのか、知っているのか。原発がなくなれば、お前らの仕事もなくなるぞ。海水を入れて廃炉にするなんて、とんでもない」
 はたして、3月11日、福島第一原発の冷却装置が壊れて炉心の冷却ができなくなったことが判明したとき、菅首相は海水を炉内に注水するよう指示したが、東電は拒否した。また、米国が原子炉冷却に係る技術支援を申し入れたものの、東電側が東電だけで対応できると強調したため、政府が支援を断ったと報じられた【注】。

 以上、「週刊朝日」取材班・堀井正明/三嶋伸一/大貫聡子/長井貴子/今西憲之/シャノン・ヒギンス「3.11東北関東大震災M9.0 負けないぞ!ニッポン」(「週刊朝日」2011年4月1日号)に拠る。ただし、【注】のくだりは、「サンデー毎日」・武内亮/ジャーナリスト・山田厚俊「『官邸vs.東電』不都合な真実」(「サンデー毎日」2011年4月3日号)に拠る。

   *

 福島原発で働く者から、佐藤栄佐久・前福島県知事(刑事被告、上告中)が在任中、内部告発が30件以上あった。
 佐藤前知事のもとへ来たのは、原子力安全・保安院に告発すれば「握りつぶされるから」だ。
 その内容は、電力自由化という時代の流れの中で原発の定期検査の期間が次第に短くなり、個々の作業員にとって負担が重くなっている。コスト管理が厳しくなった。・・・・という訴えが多かった。「安全性がどこかへ飛んでしまった中で、現場の職員は苦労しています。これ以外にも、たとえば未成年を働かせているとか、東京・山谷から(日雇い労働者を)1日万円で連れてきている、ガイガーカウンター(放射線量計測器)を外して仕事をさせられている--などという噂も耳に入ってきました」
 
 以上、「サンデー毎日」・青木英一「原発政策、政治家は関与できず霞が関の独裁だ」(「サンデー毎日」2011年4月3日号)に拠る。

   *

 日本の原発の設計も優秀だが、施工段階でおかしくなる。
 かつては、現場作業には、棒心(ぼうしん)と呼ばれる職人、若い監督より経験を積んだ職人が班長として必ず付いた。職人は自分の仕事にプライドを持ち、事故や手抜きは恥だと考えていたし、事故の恐ろしさもよく知っていた。
 しかし、今では全くの素人を経験不問で募集している。95%以上まるっきりの素人だ。農夫や漁師が仕事が暇な冬場などにやる。いわゆる出稼ぎの人だ。そういう経験のない人が、怖さを全く知らないで作業をする。
 素人は、事故の怖さを知らない。なにが不正工事やら手抜きやら、全く知らないで作業している。それが今の原発の実情だ。
 現場に職人が少なくなってから、素人でも造れるように工事がマニュアル化された。図面を見て作るのではなく、工場である程度組み立てた物を現場で1番と1番、2番と2番というように、ただ積木を積み重ねるようにして合わせていく。自分が何をしているのか、どれほど重要なことをしているのか、全く分からないままに作っていく。事故や故障がひんぱんに起こるようになった原因のひとつだ。
 「例えば、東京電力の福島原発では、針金を原子炉の中に落としたまま運転していて、1歩間違えば、世界中を巻き込むような大事故になっていたところでした。本人は針金を落としたことは知っていたのに、それがどれだけの大事故につながるかの認識は全然なかったのです。そういう意味では老朽化した原発も危ないのですが、新しい原発も素人が造るという意味で危ないのは同じです」

 以上、「原発がどんなものか知ってほしい」に拠る。
 筆者の平井憲夫氏は、1級プラント配管技能士、原発事故調査国民会議顧問、原発被曝労働者救済センター代表、北陸電力能登(現・志賀)原発差し止め裁判原告特別補佐人、東北電力女川原発差し止め裁判原告特別補佐人、福島第2原発3号機運転差し止め訴訟原告証人。1997年逝去。
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【震災】東日本から全日本へ広がる電力不足、その対処法

2011年03月27日 | ●野口悠紀雄
(1)東日本の深刻な電力不足
 3月12~14日、東電の供給能力は3,100万~3,700万KW【注1】で、ピーク時(18~19時)想定需要量3,700万~4,100万KW【注2】を下回るか、ぎりぎりの水準だ。4月末までに4,200万KWまで向上する見こみ【注3】だが、この水準が続くかぎり、今夏のピーク需要6,000万KW【注4】の7割弱しか供給できない。福島第一原発(発電量470万KW)が廃炉となることを前提とすると、電力不足は長期にわたる。、
 そこで、野口悠紀雄は「ダイヤモンド・オンライン」で電気料金見直しを提言した【注5】。しかし、これで対処できるのは家庭用電力だけだ。販売電力量合計8,585億KWのうち、家庭用は2,850億KWにすぎない(09年度)。量的に重要な意味をもつのは、企業等によって経済活動のために使われているものだ。これを抑制するために、大口需要の料金体系見直しは不可欠だ。

(2)中部・関西が電力不足となる可能性
 仮に大口需要を抑制できたとしても、それは生産拡大に対するボトルネックになる。経済活動にも国民生活にも大きな影響が及ぶ。
 西日本や北海道の電力を東北・関東地方に融通するのは、容易ではないし、融通しても限度がある。
 こうした事情を考えると、電力を融通するよりは、生産活動が東から西へ移転するほうが現実的だ。西で生産したものを東に回すのだ。ただし、量的に調整可能か、定かではない。なぜなら、東北・関東地方での電力需要は、日本全体の中できわめて大きな比重を占めているからだ。
 09年度の数字をみると、大口電力販売量は、東北電力と東京電力を合わせて1,037億KW時で、全国(2,609億KW時)の40%だ。そのうち製造業が77%(799億KW時)を占める。他方、中部電力と関西電力の大口電力販売量合計は895億KW時だ。だから、仮に東北・関東地方の製造業の大口需要の3分の1(266億KW時)が中部・関西地方に移動したら、中部・関西の需要は3割も増加してしまうことになり、深刻な電力不足が生じてしまう。

(3)長期的な問題 ~原子力~
 原発は、すでに日本の発電総量の約3割を占めている。19年にはこれを4割超にまで高めることが計画されていた。しかし、今後の原子力政策の見直しは必至だし、新規建設ができなくなる事態は大いにありうる。となると、日本の総発電量は、計画に比べて1割程度不足する。日本経済は深刻な打撃を受ける。さらに、現在稼働中の原発が停止に追いこまれると、日本経済は壊滅的な打撃を受けてしまう。
 今後予想される長期的な電力不足は、東北・関東地方に限定された問題ではなく、日本全体の問題なのだ(世界全体の問題ともなりうる)。
 電力はどんな経済活動にも必要なので、深刻なボトルネックになる。しかも、それが長期的に続く。仮に量的に解決されても、電力コストは必然的に高まる。原油価格の上昇もあいまって、コスト高はいっそう深刻な問題になる。風力・太陽光発電など再生可能エネルギーは、規模の点で原子力に代替できない。

(4)対処法 ~省電力型産業構造への転換~
 製造業は、東北電力・東京電力(1,037億KW時)の大口電力需要の77%(799億KW時)、全国(2,609億KW時)のそれの81%(2,123億KW時)を占める。これは販売電力量合計8,585億KW時の25%だ。 
 「製造業の電力需要がかくも大きい産業構造は、日本では維持できなくなったのだ。製造業の比率を下げ、サービス産業にシフトするしか方法はない」
 経済全体に占める製造業の比率が米国なみ(現在の半分近く)に低下すれば、電力に対する需要総量は1割以上減少する。日本の電力問題は解決される。
 それができないならば、原子力発電所の建設を今後も進め、原子力の比率を引き上げていくしかない。
 二者択一だ。

 【注1】東京電力のプレスリリースをもとにした数字。なお、東電の25日発表によれば5,500万KW(3月26日付け朝日新聞)。
 【注2】同上。なお、東電の25日発表によれば4,650万KW、よって需要の2割が不足する(3月26日付け朝日新聞)。 
 【注3】3月20日付け「日本経済新聞」をもとにした数字。
 【注4】3月26日付け「週刊ダイヤモンド」をもとにした数字。
 【注5】要旨は、「緊急提言1」、「緊急提言2」、「今夏の電力不足に基本料金見直しの必要性は大」。

 以上、野口悠紀雄「深刻な電力不足が経済活動を制約する ~「超」整理日記No.555~」(「週刊ダイヤモンド」2011年4月2日号)に拠る。
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする