語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>台風や梅雨も脅威

2011年05月29日 | 震災・原発事故
 毎日数百トン出る汚染水の処分と同じくらい気がかりなのは、台風だ。原子力事故対策の要諦とされる「止める」「冷やす」「閉じこめる」のうち、今はかろうじて核分裂反応を「止める」が保たれているだけだ。
 使用済み燃料、炉心燃料を含めて、閉じこめられていない放射性物質が台風で巻き上げられ、飛散するリスクに、日本社会は「直ちに」直面することになる。

 梅雨の雨も大敵だ。
 陸のミネラルに富んだ真水が海へ流れこみ、「梅雨の水を飲んだ魚はうまくなる」・・・・はずだが、今年の、来年の、X年先の福島第一原発界隈の海には、原発サイトの土壌にある放射性物質が流れこむ。当然、海水の放射線レベルは上がる。

 雨や風への対策も急務なのだ。
 巨大なドームを作ってレールで運び、原発の上にかぶせる、というアイデアを提案している人もいる。  

 以上、塩谷喜雄「なおも暴走する『原子力村』 虚構と偽りの戦後史」(『日本の原発 ~あなたの隣にあるリスク』、新潮社、2011)に拠る。

    *

 台風2号は、28日、風速25メートル以上の暴風域を伴ったまま東シナ海を北上した。この影響で本州に停滞する梅雨前線が活発化し、東日本大震災の被災地では29日から31日にかけて大雨に対する警戒が高まった。
 東京電力福島第1原発では、季節はずれの台風に対策が間に合わず、“応急対策”でしのぐ。
 現在、原子炉建屋の上部は水素爆発などで鉄骨がむきだしになったまま。建屋の一部や敷地内に散乱した放射性物質を含むがれきが強風に巻き上げられ別の場所へ飛ばされる可能性もある。東電の担当者は、「最大限努力しているが、建屋のカバーまでは出来上がっていない。風や雨に対する具体的な対策はなく申し訳ない」と話した。
 また、タービン建屋の外にあるトレンチの水位は、28日午前7時現在、2号機が地上まで58.6センチ、3号機が43.1センチにまで迫っている。フタのないトレンチに大量に降った雨水が流入すれば、汚染水が外にあふれ出ることもあり得る。これらの対策については「パトロールを強化するなどし、必要ならば応急処置をする」(広報担当者)とした。
 気象庁によれば、台風は今後、北東方面に進み、30日には関東地方の手前で温帯低気圧に変わる見込み。しかし、本州の南岸に停滞する梅雨前線の活動は活発になり、東北地方で29日午後6時までの24時間に予想される雨量は、多い所で30ミリ。30~31日にかけて太平洋側を中心に大雨となる模様。雨以外にも落雷や突風、ひょうの可能性もある。

 以上、記事「祈るのみ…あきれた東電、福島原発“台風対策なし”」( 2011年5月29日 06:00 Sponichi Annex)に拠る。
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【震災】原発>事故時系列データ(3) ~3・11まで~

2011年05月29日 | 震災・原発事故
1954年
 03月01日 米国、ビキニ環礁で水爆実験。(:*10)
 03月05日 日本初の原子力予算案が衆院を通過。(:*10)
1955年
 11月14日 日米本原子力研究協定に署名。(:*10)
 12月16日 原子力基本法など原子力3法が成立。(:*10)
1956年
 01月01日 原子力委員会が発足。(:*10)
1957年
 06月10日 原子炉等規制法公布。(:*10)
 08月27日 日本原子力研究所の研究炉が臨界。(:*10)
 11月01日 日本原子力発電株式会社が発足。(:*10)
1960年
 福島県が原発誘致を表明。(*2)
1961年
 大熊、双葉町議会が原発誘致を議決。(*2)
1964年
 05月27日 原子炉立地審査指針が決定。(:*10)
1966年
 09月01日 国内初の商業炉、東海発電所(茨城県)が営業運転を開始。(*2)(:*10)
1971年
 福島第一原発1号機の営業運転開始(4基目)。(*1)
1974年
 06月06日 電源3法(発電用施設周辺地域整備法、電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法)が公布。(:*10)
1975年
 02月27日 初の電源立地促進対策交付金が福井、福島、愛知の3県に公布。(:*10)
1977年
 09月30日 電力10社、フランス核燃料公社と再処理委託契約に調印。(:*10)
1978年
 01月30日 福島原発の使用済み核燃料が商用として初めて東海再処理工場へ搬入された。(:*10)
 11月02日 福島第一原発3号機、5本の制御棒落下、7時間半も危険な臨界が続いた。07年3月発覚。(:*8) 
1979年
 福島第一原発6号機が運転開始(20基目)。(*2) 
1979年
 米スリーマイル島原発事故で炉心溶融。(*1)
1981年
 01月17日 東海再処理工場が本格稼働開始。
1984年
 07月27日 電気事業連合会、核燃料サイクル施設を青森県六ヶ所村に立地することを同村に申し入れ。(:*10)
1985年
 福島第二原発3号機が運転開始(30基目)。(*2)
1986年
 04月26日 チェルノブイリ原発事故。(*1)
 06月23日 動燃東海事業所でIAEAの査察官を含む12人がプルトニウム汚染。(:*10)
1988年
 10月14日 六ヶ所村でウラン濃縮工場の建設が開始。(:*10)
1989年
 米国で、規制当局が沸騰水型原発にベント配管を設置するよう勧告。(*1)
1991年
 5月 浜岡原発3号機、定期検査中に制御棒3本脱落。07年3月発覚。(:*8)
1992年
 原子力安全委員会がアクシデント・マネジメント(AM)の導入を勧告。(*1)
1994年
 電力業界、勧告に沿って報告書作成。(*1)
1955年
 08月29日 動燃の高速増殖炉「もんじゅ」が初送電を開始。(:*10)
1998
 03月31日 東海発電所の営業運転が終了。国内初の商用炉の廃炉処分が開始。(:*10)
1999年
 福島第一原発1号機でベント配管設置などを含むAM整備が完了。(*1)
 02月08日 東電、関電、原電、「運転開始後30年以上経過の原子力発電所についての60年の運転を想定しても安全性に問題なし」とする報告書。(:*10)
 09月30日 JCO東海事業所で臨界事故。大量被曝した3人の作業員のうち2人が死亡。(:*10)
 12月13日 原子力災害対策特別措置法と改正原子炉等規制法が成立。(:*10)
2000年
 12月 浜岡原発1号機、定期検査中に制御棒3本脱落。07年3月に発覚。(:*8)
2001年
 01月06日 資源エネルギー庁管下に原子力安全・保安院が発足。(:*10)
2002年
 全ての原発でAMの整備が完了。(*1)
 08月29日 東電の福島原発における自主点検作業記録の偽装が発覚。(:*10)
2003年
 03月15日 東電、不正発覚問題を受けて全原子炉17基を停止。(:*10)
2004年
 8月、福島第一原発、第二原発の建設に使われた砂利、砂にコンクリートを弱くする有害成分が含まれていることが発覚(内部告発)。(:*7)
2006年
 北陸電志賀2号機が運転開始(54基目)。(*2)
 04月28日 原子力安全委員会、原発耐震設計審査の新指針案を発表。
2007年
 07月16日 新潟中越沖地震。柏崎刈羽原発、変圧器に火災発生、圧力容器に歪み、など多数の損傷が発生。運転再開まで2年間を要し、しかも全7基中4基しか運転していない(11年4月現在)。(:*8) 断層を、したがって想定地震を過小評価していた結果であり、放射線が漏れた。(:*10) 
2009年
 8月11日 駿河湾地震。浜岡原発5号機タービン建屋でひび割れ発生。外壁に沿った15メートル四方で最大10センチメートルの地盤沈下。制御棒約250本のうち、約30本の駆動装置が故障。(:*8)
2010年
 06月17日 福島第一原発1号機で外部電源遮断、非常用ディーゼル発電機作動せず。原子炉内水位約2m低下の重大事故。【注】
  【注】(:*8)によれば、2号機。 
 08月06日 福島県知事、プルサーマル受け入れ。
 09月02日 福島県で初めてのプルサーマル始動。
 11月21日 「もんじゅ」再事故。
2011年
 02月07日 福島第一原発1号機の10年延長を国が許可。

 以上、記事「東電の本質 161件も起きていた福島原発事故 ~『事故隠し』と『安全神話』~」(「宝島07」No.708、2011年7月号)の「原発事故時系列データ」を基に、若干追記した。

 【追記の出典】
 (*1)記事「神話の陰に(2)」(2011年5月26日付け朝日新聞)。
 (*2)記事「神話の陰に(3)」(2011年5月27日付け朝日新聞)。
 (*3)記事「福島第一震災直後に何が 東電解析結果から」(2011年5月26日付け朝日新聞)。
 (*4)記事「原発情報また訂正」(2011年5月27日付け朝日新聞)。
 (*5)山根祐作・野村昌二・岩田智博・澤田晃(編集部)「浜岡の次に止める原発」(「AERA」2011年5月23日号)
 (*6)記事「政府・東電の情報隠蔽が生む終わりなき『放射能不安』地獄」(「週刊朝日」2011年6月3日号)
 (:*7)記事「東電の本質 161件も起きていた福島原発事故 ~『事故隠し』と『安全神話』~」(「宝島07」No.708、2011年7月号)
 (:*8)広瀬隆『福島原発メルトダウン』(朝日新聞出版、2011)
 (:*9)新潮45取材班「福島第一原発で何が起きたか」(『日本の原発 ~あなたの隣にあるリスク』、新潮社、2011)
 (:*10)塩谷喜雄「なおも暴走する『原子力村』 虚構と偽りの戦後史」(『日本の原発 ~あなたの隣にあるリスク』、新潮社、2011)
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【震災】原発>事故時系列データ(2) ~3月17日以降~

2011年05月29日 | 震災・原発事故
2011年
 03月17日
  09:48 自衛隊ヘリ、上空から3号機に放水を開始。(:*9)
  19:35 自衛隊消防車両、3号機への地上からの放水を開始。以後、継続的に放水作業が続く。(:*9)
 03月19日
  00:30 東京消防庁ハイパーレスキュー隊、放水開始。5、6号機でECCS復旧。(:*9)
 03月20日
  03:40 東京消防庁、3号機への13時間半に及ぶ海水の放水作業を完了。(:*9)
 03月22日
  17:17 東電、生コン圧送機を使い、4号機の保管プールへ放水を開始。
 03月23日
  14:20頃 葛飾区金町浄水場で乳児の飲用に適さない放射性物質が検出され、摂取制限を勧告。(:*9)
 03月24日
  12:10頃 3号機タービン建屋内で、ケーブル付設中作業員3人が被曝。(:*9)
 03月25日
  01:30 保安院、放射線管理の改善を指示。
  11:46 政府、屋内退避の地域住民に自主避難を要請。(:*9)
 03月26日
  10:10 2号機原子炉への注水を海水から真水に切り替え。
 03月27日
  東電、「通常の原子炉の水と比べて放射性物質の濃度が約1,000万倍」とした評価は誤りだった、と訂正。
 03月28日
  東電、一度訂正した物質名を再訂正。
 03月29日
  東電、東電社長は体調不良で入院、今後の指揮は勝俣恒久会長が行う、と発表。
 03月30日
  東電会長、第一原発について「恐らく廃止せざるをえないと考えている」と明言。
 03月31日
  東電、作業員180人が線量計を持たずに作業していた、と発表。 
 04月03日
  東電、4号機タービン建屋地下で3月30日に行方不明となっていた作業員2人が遺体で見つかっていたことを発表。(:*9)
 04月04日
  19:03 集中廃棄物処理施設の「低濃度汚染水」を海に放出。(:*9)
 04月07日
  余震。運転開始から5年余しかたっていない東通原発(青森県)が、震度4の余震で外部電源が遮断され、ようやく翌8日未明に回復した。(*5)(*8)
  余震。女川原発、外部電源3系統のうち2系統が停止。(:*8)
  余震。六ヶ所再処理工場でも外部電源が遮断され、非常用電源でかろうじて核燃料貯蔵プールや高レベル放射性廃液の冷却を続けることができた。「日本消滅の一歩手前」(*8)
 04月09日
  保安院の西山審議官、「多重防護、5重の壁など絶対大丈夫と言ってきたことについて信じてやってきたが、こういう事態になった」と原発の安全対策の不備を認めた。その上で、「今回の経験を踏まえ、これまでのことにとらわれず、すべてのことについて見直す必要がある」と述べた。
 04月11日
  官房長官、「計画的避難区域」と「緊急時避難区域」の設定を発表。
 04月12日
  保安院、福島第一原発事故の国際原子力事故評価尺度(INES)の暫定評価が旧ソ連のチェルノブイリ原発事故とお案じ最悪の「レベル7」と発表。
 04月13日
  東電社長、自身の進退について、「最大の責務は福島第一原発を始めとする現状の事態の収束に最大限取り組むこと」と述べ、引責辞任を否定。一方、経団連副会長、電気事業連合会会長の職はそれぞれ辞任。
 04月15日
  東電社長、「原発避難住民に賠償金の仮払いを4月中に始める」と明言。
 04月17日
  東電、福島第一原発1~4号機の事故を6~9ヵ月かけて収束させるとした「工程表」を発表。
 04月25日
  東電、役員報酬の減額を発表。会長、社長、副社長、常務取締役は、総報酬から50%減額。執行役員については40%減額。
 04月30日
  鼓紀男・東電副社長、飯館村を訪れ、住民に謝罪。
 05月02日
  経産相、経産省を退職後に電力企業の役員または顧問に天下りした人数が過去50年間に合計68人に上る、と発表。
 05月04日
  東電社長、避難生活を送る福島県浪江町の住民に土下座して謝罪。
 05月06日
  首相、「中部電力浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転中止を海江田産業相を通じて中部電力に要請」と発表。
 05月09日
  中部電力、臨時取締役会を開き、浜岡原発の全面運転停止要請を受諾する、と正式決定。
 05月12日
  東電、福島第一原発1号機で溶融した燃料は圧力容器の底部に溜まっているとみられ、核燃料の炉心溶融である、と認めた。
 05月13日
  政府、東電の資産売却やリストラを監視するための専門家チームをつくり、実質的に政府の管理下に置くことを決定。

 以上、記事「東電の本質 161件も起きていた福島原発事故 ~『事故隠し』と『安全神話』~」(「宝島07」No.708、2011年7月号)の「原発事故時系列データ」を基に、若干追記した。

 【追記の出典】
 (*1)記事「神話の陰に(2)」(2011年5月26日付け朝日新聞)。
 (*2)記事「神話の陰に(3)」(2011年5月27日付け朝日新聞)。
 (*3)記事「福島第一震災直後に何が 東電解析結果から」(2011年5月26日付け朝日新聞)。
 (*4)記事「原発情報また訂正」(2011年5月27日付け朝日新聞)。
 (*5)山根祐作・野村昌二・岩田智博・澤田晃(編集部)「浜岡の次に止める原発」(「AERA」2011年5月23日号)
 (*6)記事「政府・東電の情報隠蔽が生む終わりなき『放射能不安』地獄」(「週刊朝日」2011年6月3日号)
 (:*7)記事「東電の本質 161件も起きていた福島原発事故 ~『事故隠し』と『安全神話』~」(「宝島07」No.708、2011年7月号)
 (:*8)広瀬隆『福島原発メルトダウン』(朝日新聞出版、2011)
 (:*9)新潮45取材班「福島第一原発で何が起きたか」(『日本の原発 ~あなたの隣にあるリスク』、新潮社、2011)
 (:*10)塩谷喜雄「なおも暴走する『原子力村』 虚構と偽りの戦後史」(『日本の原発 ~あなたの隣にあるリスク』、新潮社、2011)
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