語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】浜岡の次に停止すべき原発

2011年05月30日 | 震災・原発事故
 「AERA」誌は、全国の原発の危険度について取材し、地震や原発の専門家9人に意見を聞いた。
 原発リスクは多岐にわたる(地震・津波・活断層・周辺人口・主要施設など)。
 なぜ浜岡原発を止めるのか、という意見(石川迪夫・日本原子力技術協会最高顧問)もあったが、7人は浜岡以外に止めるべき原発を挙げた。

(1)原発が抱えるリスク
 (a)老朽化
 敦賀原発、美浜原発(ともに福井県)など若狭湾岸の原発。

 (b)地震
 浜岡原発(静岡県)は、今後30年以内に震度6弱以上が起こる確率95%。
 東海第二原発(茨城県)は33.4%。
 女川原発(宮城県)は16.9%。

 (c)活断層とプレート(岩盤)
 敦賀原発は、敷地内に活断層があることを電力会社が公式に認めている。
 浜岡原発、東通原発(青森県)、六ケ所村再処理工場(青森県)は、活断層がある可能性が大きい【渡辺満久】。浜岡は、プレート境界型地震が予想されている。
 中央構造線上の伊方原発は、原発のある佐田半島事態が中央構造線の活動によって生まれた土地で、周辺に大地震を引き起こす活断層が数多く存在するのは当然だ【広瀬隆】。なお、最大M8.6の地震が各県庁・各電力会社によって予想されている。

 (d)地震・津波対策
 震災から2ヵ月を経て、海水ポンプの防水癖、扉にシール施工といった対策は進んだ。
 しかし、非常用ディーゼル発電機の設置場所に変化はない。電源車の配備や発電機の追加で対応している。
 防潮堤は、どの原発にも無い。26基の原子炉で防潮堤の設置、防波堤や防波壁のかさ上げが決まっている。

 (e)避難人口(50キロ圏内)
 浜岡原発が214万人。東海第二原発が149万人。玄海原発が148万人。

(2)学者が選ぶ危険度ワースト5
 (a)小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
 すべての原発が危険。
 予測できないから事故なのだ。その上、未知の活断層が続々出てきている。

 (b)小林圭二(元京都大学原子炉実験所講師)
 ①浜岡、②伊方、③美浜、④大飯、⑤高浜。
 伊方は、耐震評価が甘い。東電と関電は、他の電力会社と比べて事故想定が甘い。美浜、大飯、高浜は、若狭湾一帯の活断層の存在とともに、老朽化に大きな不安を感じる。

 (c)石川迪夫(日本原子力技術協会最高顧問)
 当面、電源が喪失しないよう対策を立てればよい。

 (d)中林一樹(明治大学大学院特任教授)
 敦賀、美浜、大飯、高浜。
 若狭湾周辺に集中する関電、日本原電、「もんじゅ」の14原発が不安だ。

 (e)桜井淳(技術評論家)
 ①浜岡、②敦賀、③美浜、④伊方、⑤女川/福島第二。

 (f)広瀬隆(作家)
 浜岡、敦賀、美浜、大飯、高浜、もんじゅ、六ケ所村再処理工場。
 若狭湾には14基が密集している。敦賀には日本最古の原子炉があり、2番目に古い美浜、さらに「もんじゅ」がある。どれか1基がおかしくなれば、残り13基に影響を与えるだろう。六ケ所村には96年から10年まで全国の原発から使用済み核燃料が運びこまれた。電源喪失、爆発で、福島とは比較にならない規模の大惨事になる。

 (g)諸葛宗男(東京大学公共政策大学院特任教授(エネルギー))
 浜岡。
 住民の不安、危機感はわかるし、浜岡の停止は政策措置としてはわかる。しかし、科学的合理性の観点からは、国内で危ない原発は一つもない。

 (h)武田邦彦(中部大学教授・元原子力安全委員会委員)
 すべての原発が危険。
 電源喪失の可能性は、原発の新旧に無関係。個別に停止させ、検査するしかない。問題なければ使用していいだろう。

 (i)渡辺満久(東洋大学社会学部教授(変動地形学))
 敦賀、東通、六ケ所村再処理工場、浜岡。
 活断層があると「揺れ」に対する対策(耐震)をいくらしても、いざ地震が起こると地面が「ズレ」るので、建物の基礎そのものが崩れてしまう。結果として、想像できない甚大な被害が出る可能性がある。調査では、近くに大きな活断層のない原発は、玄海と東海第二の2つだけだった。 

 以上、山根祐作・野村昌二・岩田智博・澤田晃(編集部)「浜岡の次に止める原発」(「AERA」2011年5月23日号)に拠る。
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