国鉄の無札証明いろいろ

列車の発車間際など、何らかの事情できっぷを購入する時間が無いとき、駅では旅客を列車に乗せ、車内もしくは着駅で精算するように案内します。
この時に「その駅から乗車した旨」を駅が証明する連絡書が無札証明です。

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これは高崎線の本庄駅で発行されたもので、私の知る限りでは一番立派な硬券の無札証明です。本庄駅の他、水戸駅など首都圏各地で発行例があるようです。
今回例に挙げたのは東京印刷場のものですが、他に新潟印刷場のものなどが確認されております。

無札証明は特に「これっ」という規定はないらしく、必ずしも硬券のものを設備しているというわけではなく、駅ごとに独自のものを作成していることが多く、結構バラエティに富んでおりました。
今回はその中からいくつか特徴的なものを御紹介いたしましょう。

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これは荒川沖駅発行のものです。キレート式券売機用の券紙に無札証明(ここでは『無札承認』になっています)のゴム印を捺して鋏で切ってあります。上に隣の券の印字が見えるくらい、窮屈に捺して作ったような感じです。

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次は上尾駅発行のものです。印発機用の券紙に無札証明のゴム印を捺して鋏で切ってあります。「お乗車」という聞きなれない言葉がなんともユーモラスです。上の荒川沖のものより堂々とした出で立ちです。

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今度は天竜川駅発行のものです。これは画用紙を切ったものに捺印のうえ発行されています。また、「無札証明」の文字が全く無いのが特徴です。貰った時からくたびれていて、回収したものを再利用したような感じです。

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最後に旧足尾線の通洞駅発行のものです。これは専用のゴム印ではなく、「無札証明」というゴム印を捺したうえで、駅名印を捺してあります。
ところで、これは何の用紙を切って作成されたものでしょうか?
答えは次の画像です。

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どうやら、新聞の折込広告のようなものを切って作ったようです。

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硬券の乗車証明はJRになっても引き継がれたようですが、

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硬券の廃止とともに軟券に切り替わったようです。

菅沼天虎様のブログ「菅沼天虎の紙屑談義」12月1日エントリーの「東京印刷の常備式乗車証明 無札証明」にトラックバックさせていただきます。

おことわり
乗車証明はむやみやたらに発行できるわけではありません。これらのものは駅の方のご理解によるご好意でいただけたものです。無理に貰おうとする行為はお止めください。
また、国鉄時代のものと硬券についてはそのままの状態にてスキャンいたしましたが、JRの現行券(軟券)については、駅名の公表は控えさせていただきました。

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