JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
国鉄線乗車票
今はあまり派手にしなくなりましたが、かつて国鉄では、国労・動労のストライキや順法闘争などで列車の運行を全く取りやめたり、間引きしたりすることが年に数回ありました。
列車の運行が止められた場合、国鉄は定期券客に対して振替乗車票を配ることはありませんでしたが、列車運行開始後1~2日後になると、運行取り止め日数分、定期券の期限を延長をするか、日数分×1往復分のA型硬券の乗車票を発行することでその穴埋めをする取り扱いが行われました。
単純に考えれば定期券の延長を申し出た方が乗車回数の面で乗客側が有利になりますが、乗車票は乗車回数の面で不利なものの、期限内であればいつでも乗車できる利点がありました。これは窓口に申し出た際に乗客側が選択するのですが、やはり、きっぷコレクターである私は、当然の如く乗車票を受け取ってしまいます。
これは昭和51年春に配布された東京印刷の乗車票です。区間は原定期券の区間を記入のうえで発行することになっていましたが、これは、区間記入漏れの状態で発行されてしまったものです。期限は昭和51年6月30日まで有効となっておりました。
裏にはその使用方法が記載されております。
昭和51年秋にも同じく発行されております。今回は昭和51年10月31日まで有効となっております。
これは昭和55年秋に発行されたものです。有効期限は昭和55年10月31日までとなっておりますが、今回については誤植エラー券となってしまい、昭和55年10月日31まで有効というお粗末なものになってしまいました。
その後も発行され、従来の発行都度新たに印刷する方式から、有効期限はブランクに改められ、発行する都度記入する方式に変更されました。
これらの乗車票は発行箇所名を記載するところは全く無く、また、区間が予め印刷されているものは見たことありませんので、恐らくそういうものは無かったと思われます。
(発行箇所名の記載が無いのは不思議ですが、都度区間を違えて発行する関係上、区間常備式の必要性が無かったものと思われます。)
また、有効期限部分の相違があれども、様式の変更がされずに発行されてきました。
しかし、「変わり者」っていうのはどこの世界にもいるもので、国鉄線乗車票にも変わり者が存在しました。
これは一番最初に御紹介した昭和51年春に発行されたものですが、B型硬券で発行されております。きっぷの参考図書で調べても、乗車票がB型で発行されたものはこの時だけであったそうです。
定期券発行窓口で発行されていある関係上、A型でも定期券用の△「事務管コード」のついた大型印を捺印する機会が多いためにスペースが若干窮屈そうな気がしますが、B型券になるとなおさらです。
裏面の注意書きはA型券と同一ですが、こちらは大量生産された片券番のものになっています。
JRになった現在でも、列車の運行が取り止められたときには定期券の延長等をする規則は残っていますが、千葉の一部地区を除いては列車の運行への影響があるようなストライキは皆無になってきており、このような乗車票を拝む機会もなくなってきました。