国鉄東京印刷場製金額式乗車券いろいろ ~その5

国鉄東京印刷場製金額式乗車券のいろいろ第五弾は「地方に飛び出した東京印刷場製金額式乗車券」についてです。

昭和60年代に入り、国鉄に於ける硬券需要が全国レベルで減って行き、赤字に悩まされた国鉄の合理化の一環で、新潟印刷場と仙台印刷場が閉鎖されて硬券の印刷は民間の印刷場に委託され、その後、民間に委託されていた硬券印刷業務は東京印刷場に移管されました。
またこの時期、名古屋印刷場で印刷されていた静岡地区の硬券についても東京印刷場に移管されたようです。

① 新潟仙台地区用大人・小児券

   images (会津田島駅発行) images (門田駅発行)

まずは一般的な大人・小児券です。
首都圏近郊のものと基本的には同じですが、駅名下の小児運賃の記載がありません。
ただ、活字を組む上での誤差レベルとして、門田駅のもののように発行駅名と「発売当日限り有効」との行間隔が狭いパターンも存在し、東京近郊のものとは少々風貌が異なります。

   images (南福島駅発行)

地方には「管理駅」という駅の管理方法があり、南福島駅のように出札窓口は現地の駅に存在しても、収入管理上では東北本線福島駅の○31番窓口という扱いであったりする場合があります。このような場合、発行駅名もそれに準じた方法で「○31 (北)福島駅発行」と記載されます。
この場合、小児断片の中の記載が「金 80」ではどこの駅の分だか明白でないため、商品名を示す「金」の代わりに「発行駅名→」と記載されます。
これが今回連載の第一目において小児断片のところで触れさせて戴きました、「一部の例外」についてです。

   images (七日町駅発行)

○ム券に至っては、管理駅型の様式と似ていますが、左上に大きな活字で「○ム」と記載されています。
東京近郊のものの場合、「○ム」の表示は「円区間」の右上に記載されていますが、こちらの場合は左上になります。そして、「○ム」の活字を無理やり入れたからなのか、「国鉄線」の文字が気持ち右側に追いやられてしまっています。

   images (金田一温泉(旧金田一)駅発行)

   images (金田一温泉駅発行新券)

活字ついでですが、国鉄末期になりますと硬券の需要は急激に衰退し、長い駅名等を印刷する時に作成されてきた特活も新調されなくなってきたようで、民営化を2箇月後に控えた昭和62年2月に駅名改称された金田一温泉駅(旧金田一駅)の例を見ますと、特活を組むことなく、通常の漢字の2段組で印刷されています。
また、金田一駅の駅名改称と同時に、管理駅「○31 北福岡駅」「○31 二戸駅」に改称されたため修正されたようです。

それでは次回、新潟仙台地区用の小児券を含め、別の観点から研究して行きましょう。

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