散日拾遺

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聖パトリキウスの祈り

2021-06-20 22:18:49 | 聖書と教会
2021年6月20日(日)
 本日の説教者、YK先生が配布なさった資料から転載。

A Prayer of Saint Patrick《聖パトリックの祈り》
Words from Saint Patrick Breastplate (5th Century) 
Translated by Mrs. C. F. Alexander (1823-95) 

Christ be with me, Christ within me,
Christ behind me, Christ before me, 
Christ beside me, Christ to win me,
Christ to comfort and restore me,
Christ above me, Christ beneath me,
Christ in quiet, Christ in danger,
Christ in hearts of all that love me,
Christ in mouth of friend and stranger,

キリストは私と共におられる キリストは私の内側におられる
キリストは私の背後にも 私の前にもおられる
キリストは私の傍らに立ち 私をとらえたもう
キリストは私を慰め 回復させてくださる
キリストは私の上にあり 私の下におられる
キリストは平安の中にも 危険の中にもおられる
キリストは私を愛してくれる皆の心の中にもおられ、
キリストは友の口にも 異邦人の口にもおられる。

【解説】
 聖パトリキウス(英語読みでは聖パトリック)は、5世紀にアイルランドにキリスト教を伝えたことからアイルランドの守護聖人とされ、その命日である3月17日は、「聖パトリックの日」と呼はれ、カトリックの祭日として祝われている。パトリックは、ウェールズのケルト人家庭に生まれた後、拉致され奴隷としてアイルランド地方で少年時代を過ごした。その後、神のお告げを聴き、農場を脱走して大陸に渡ってキリスト教を学んだ。
 自分が虐待を受けた土地に福音を伝えるためにアイルランドに渡り、365の教会を建て、12 万人を改宗させたと伝えられる。常にシャムロック(三つ葉)の葉を持ち緑色の衣を着た姿で描かれるのは、シャムロックの葉によって父・子・聖霊の三位一体を説いたことによる。
 讃美歌作者としては、「聖パトリックの胸当て(英語では"breastplate"、ゲール語では"Lorica")」と呼ばれる祈りがよく知られており、上記はその一部である。元々は古アイルランド語で記されたのであるが、セシル・フランシス・アレクサンダーによる現代英語訳によって親しまれている。作曲家のスタンフォード、ジョン・ラターなどが讃美歌(アンセム)として曲をつけ、イギリスを中心として世界中で愛唱されている。

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 小学4年生で父親を亡くし、中学3年以来多年にわたる闘病を余儀なくされた人が、あるとき出会ってその後の人生を支えられてきた祈りであると伺った。
 パトリキウス(387?- 461)は「アイルランドに伝道した最初の人間でもなければ、唯一の人物でもなかった 」が、その伝道の規模ゆえに象徴的存在になったとWikiにある。むしろ自分が虐待された土地にこうした形で恩を返したことを特筆したい。家族は同地への伝道に反対したと伝承にある。
 なお、Wiki は御丁寧に崇敬する教派として「カトリック、正教会」と注記するが、上記は今年の父の日にプロテスタント教会の説教で語られたものである。

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